Data Doctor

導入ガイド

世界中のユーザーが集まる Tableau Conference で Tableau Doctor の診断セッションを体験されたことがあれば、その素晴らしさを確信していただけるでしょう。今回、お客様自身が簡単にクリニックを始めることができるように、Tableau Doctor で長年実施してきた診断の経験とそこで得た教訓を活かして、お客様にご利用いただけるリソースをツールキットにまとめました。この資料では、プログラムの概要とガイドについて説明します。

Data Doctor は、組織内で Tableau の使用における障害を取り除いて普及させることによって、ユーザー同士が協力し合うデータカルチャーを築くことを目指しているすべての組織に適しています。内部での個人、部門、あるいは組織全体での知識のギャップを特定したり、Tableau のセルフサービスと FAQ ソリューションの提供のためにセンターオブエクセレンス (COE) を発展させたり、組織内のユーザー同士でトレーニングすることができる環境を実現したりするといった目的のために Data Doctor が利用されています。

クリニックをデザインする

ビジネスニーズ

なぜ Data Doctor クリニックを開業する必要があるのかを見極めることは、目的を明確にして成功させるためのデータを収集する最初のステップとして非常に重要です。ビジネスニーズの例としては、Tableau にアクセスできる個人は組織内に大勢いるが使用されていない、あるいは積極的に使用しているものの、問題が発生したときにストレスを感じているユーザーがいるなどが考えられます。

ビジネスニーズを特定したら、どのように状況を変えたいか (目標) と成果が出たかどうかの判断基準 (指標) を決めます。




Data Doctor の診療形態

Data Doctor クリニックの診療形態は、組織のニーズに合わせてカスタマイズすることができます。完全予約制で診察しているお客様もいれば、臨機応変に予約なしのセッションのみのお客様もいます。また、その両方を組み合わせているお客様もいます。他にも、たとえば Viz のベストプラクティスに関連する組織的なコンピテンシーを高め、パフォーマンスの最適化を促して、計算能力を向上させるために、あるテーマを中心にしたセッションを提供したり、質問がある、または問題を抱えているユーザーが参加できる公開フォーラムを提供したりしているお客様がいます。


組織文化: 組織文化は、Data Doctor クリニックがユーザーにどのような診療を提供するのかと同様に、診察の予約を管理する方法にも影響します。組織文化が形成されている団体や組織であれば、事前予約での管理が最も適した選択肢になるでしょう。組織文化が変わりやすい組織なら、予約なしで診察を受けられるようにするのがベストです。

予約の管理方法: 予約制にするか、予約なしにするか、どちらを選ぶかは、ユーザーの Tableau 使用経験レベルによって変わってきます。たとえば、Tableau コミュニティ参加者の大半が Tableau 初心者であれば、事前の予約は必要ないかもしれません。なぜなら、対応するドクターに専門的な知識が求められないからです。ユーザーが気軽に質問できるようにしたい場合は、いつでも診察できるようにするほうが、戦略として適している場合があります。

逆に、Tableau コミュニティの大半が経験豊富なユーザーの場合は、事前に予約してもらうことで、ユーザーをサポートするのに必要な専門知識があるドクターを紹介できるようにすることが可能です。

スキルに差があるユーザーのために複数のコミュニティを持っている組織は、事前予約制と予約なしで診察する体制の両方を組み合わせるのが効果的です。両方の方法での診察は、非常に多くのリソースを要する可能性があるため、コミュニティとドクターの双方に自己啓発を促すための定期クリニック (3 か月ごと、月ごと、週ごと) を行える組織に適しています。
どちらの方法で予約を管理するかは、予約のトピックの種類によっても変わります。

予約のトピック: Data Doctor クリニックでは、どのような質問や問題でもディスカッションできるように、予約のトピックを自由形式にすることができます。あるいは、具体的な予約のトピックにテーマを絞り込むこともできます。

自由形式の Data Doctor では、誰もが自由に質問や問題について相談を持ち込むことができます。この手法は、組織内で発生している多様な問題をすべて把握するのに最適な方法であり、データを収集して、後から知識のギャップを特定するときに活用することができます。この手法では、各相談者をサポートするスキルがあるドクターを紹介する方法を探すことも必要です。予約なしでの体制でも診察は可能ですが、事前に予約してもらうと、よりプロセスが簡単になります。

Data Doctor のテーマを決めると、ユーザーコミュニティで注目の問題トピックに対処したり、特定のトピック関連に的を絞ったスキルトレーニングを提供したりすることができます。また、ワークブックのパフォーマンスの最適化、マッピング、またはビジュアルベストプラクティスに関連するテーマに限定した Data Doctor デーを定例化している組織もあります。特定のワークブックを使用して、ドクターが問題をどのように解決するかをグループに説明するワークショップとして実施することも、あるいは診療時間を設けて、その日のテーマになっているトピックに関連する質問や問題が発生しているワークブックを持ってきてもらうのも良いでしょう。テーマが決まっている Data Doctor では、すべての質問が同じトピックに関連する内容になるため、事前の予約は必要ありません。

Data Doctor クリニックでどのような診療を行うかを計画する際に、このガイドの付録にある「 Data Doctor デザインワークシート」をお役立てください。

診療計画を作成する: テクノロジー

Tableau 以外にも、ユーザーが診察の予約を取ったり、ドクターが対処した問題に関するデータを収集したり、チームのスキルを評価して業務に最適な人材を配置したりするために、別のテクノロジーソリューションがいくつか必要になります。



予約の管理

市場には、予約を管理するためのツールがいろいろとあります。ツールを選択するときは、ユーザーから収集したいデータ、実施している Data Doctor で管理する予約の種類、各相談者をサポートするスキルがあるドクターを紹介するのに必要な情報の粒度を念頭に置くようにしましょう。

予約管理ツールに求める性能は、Data Doctor クリニックの予約を管理する方法とユーザーの製品に対する経験レベルの両方によって変わります。たとえば、テーマを決めて Data Doctor を実施している場合、収集する主な情報はユーザー自身のデータとユーザーが抱えている問題に関する基本的な情報になるため、予約管理ツールは Excel のワークブックや Google スプレッドシートなどのシンプルなツールで十分でしょう。

いつでも診察できる体制または事前の予約が必要な体制で Data Doctor の診療を実施している場合は、もう少し多機能な予約管理ツールが必要になります。問題に対処できるドクターを紹介できるようにするには、製品 (Tableau Desktop、Tableau Server、Tableau Prep など) と利用できる機能のレベル (Creator、Explorer、Viewer) を含め、ユーザーが抱えている問題についての基本的な情報を収集する必要があります。

しかし、事前予約制にしている、またはユーザーのコミュニティに Tableau の経験が比較的豊富なユーザーが参加している、あるいはその両方の場合は、特定のトピック (調査分析、共有とコラボレーション、モバイルデバイスからのアクセス)、特殊なスキル (データベースのアーキテクチャや構造、R、API)、または言語で絞り込む機能など、さらに高度なマッチング機能を備えた予約管理ソリューションが必要になります。

予約時に収集したユーザーデータは、ユーザーをサポートできるドクターを紹介し、Data Doctor の利用状況と成果を評価するのに役立ちます。予約時に収集するデータとしては、名前、メール、部門、問題の種類、問題の詳細情報などがあります。HIPAA などのコンプライアンス要件の対象にはならなくても、組織の人事部門に連絡して、責任を持ってこれらのデータを扱っていることを確実にしておきましょう。

Tableau や一部のお客様が予約管理で利用しているソリューションを付録でいくつか紹介しています。すべて網羅しているわけではありませんが、選択肢を検討するときに役立つはずです。

問題の収集 (処方箋)

Data Doctor の診療でドクターが治療時に収集する情報は、組織の健康状態を評価するのに役立ちます。また、問題が再発したときに自分で対処するのに必要なツールをユーザーに提供し、目標の達成状況を追跡するのにも役立ちます。ソリューションを選ぶときは、診察でドクターが問題についての情報を記録する際の使いやすさ、ユーザーに提供する情報、Data Doctor の診療の評価を追跡するのに必要なデータを考慮しましょう。

シンプルで親しみやすく、使いやすいツールから始めるのがお勧めです。このようなツールを使用することで、ドクターのトレーニングにかかる時間を減らすことができ、必要なすべての情報を一貫して正確に収集することができます。これは、Data Doctor の診療の評価を追跡するためのデータで特に重要です。ドクターの名前、治療を担当した問題、問題が解決したかどうかなどのデータを収集すると、ドクターの中で誰が優れているか、あるいは組織内の機能的なスキルのギャップがどこにあるかを把握するのに役立ちます。

セッションの最後に、診察の記録 (処方箋) をユーザーに提供することをお勧めします。ユーザーは問題に対処するためのソリューションに最も関心を示しますが、治療の全体的な状況も重要な情報です。問題の内容、実施したトラブルシューティング、参照した入手可能なドキュメントなどを記録するのも、ドクターとして必要な技量であり、ユーザーが同じ問題や類似する問題に直面した際に自分で解決できるようになるためには、どれも同じように重要です。

スキルの評価

スキルの評価は、2 つの方法で利用することができます。最も基本的な利用目的は、ユーザーにより適したドクターを紹介するために、ドクターの知識を把握する場合です。個人が集まった、より大きなグループ (チーム、部門、組織) に関する情報の場合は、ユーザーグループ全体での知識のギャップを把握することができます。

知識のギャップを特定することで、組織で Tableau を有効活用するためには、テーマを決めた Data Doctor デーを設定するか、あるいは定期的にクリニックを開くかの、どちらが最も効果的なソリューションかを見極めることができます。さらに、組織内でのトレーニングを推奨するのに必要なデータを得ることも可能です。

スキル調査、データ収集用のスプレッドシート、Tableau ワークブックのそれぞれのサンプルは、付録にあります。

診療計画を作成する: ロケーションと経験

組織の文化や利用できるリソースは、ここでの選択肢に大きく影響します。これまでの経験に基づいたベストプラクティスをいくつかご紹介します。



役割とスタッフ

Data Doctor のチームは、組織内のボランティアで構成されています。この仕事に適切な人材を選任することが重要です。一部の役割は、Data Doctor の診療規模に関係なく、成功させるための要となります。また、診療の規模を拡大して組織全体に広げるときのみ必要になる役割もあります。どの役割でも、自己管理能力があり、気が利いて何事にも一生懸命取り組み、与えられた仕事をきちんとこなせるスキルと対応力のある人材を探しましょう。

以下に、それぞれの職務について詳しく説明します。説明の内容から、不可欠な役割と Data Doctor の診療規模によって必要になる役割がわかるようになっています。また、このツールキットにあるスキル評価の例に基づいて役割の要件をまとめ、その要件を満たす理想の人材像も記載しました。スタッフの候補者を評価する際には、確認すべき点の例としてスキル評価用ワークブックのサンプルを使用しましょう。


院長: 院長は、Data Doctor クリニックを率いるまとめ役です。どの規模でも必ず必要な人材です。担当業務は、Data Doctor クリニックのコンセプトの定義、テクノロジーの選定と導入、ロジスティクス (場所、日程、時間、推進) の調整、スタッフの選任とスケジュール管理、診療デーの運営、活動報告の作成があり、ほかにも、活動のデータを活用して組織のニーズに合わせて診療を拡大したり、収集したデータから得たインサイトを組織のリーダーシップに報告したりします。

大規模な Data Doctor クリニックでは、1 人にかかる作業負荷を減らし、協働的リーダーシップの精神を育てるために、このリーダーシップの役割を複数人で分担しています。

受付: あらゆる規模の Data Doctor クリニックで必ず必要な人材です。小規模な Data Doctor クリニックでは、受付が Data Doctor のフローと運用を管理するのが一般的です。大規模なクリニックでは、業務フローをスムーズに進めるために、ユニットコーディネーターや診療アシスタントと連携して業務を行っています。受付が担当する主なタスクの例には、診察の予約、予約変更、キャンセル時のユーザーサポートのほか、担当ドクターがいる場所までの案内などがあります。Tableau 製品の使用経験があると業務に役立ちますが、通常は必須ではありません。理想の人材像: シンシア・フーパー、ジェリー・マーコヴィック (米国のテレビドラマ『ER 緊急救命室』に登場する架空の人物)

ドクター: あらゆる規模の Data Doctor クリニックで必ず必要な人材です。ドクターは、自分のスキルとユーザーの問題に基づいて、事前に、または予約の直前に各ユーザーの担当となります。ユーザーの問題についての問診を行い、ソリューションの調査やテストを行い、調査した結果や診断をユーザーへの処方箋や Data Doctor クリニックのレポート用に記録します。この役割には、Tableau の使用やトラブルシューティングの経験が必要です。Tableau 使用歴 1 ~ 2 年のユーザーがドクターになるのが一般的です。理想の人材像: マギー・ドイル、ロバート・ロマノ (米国のテレビドラマ『ER 緊急救命室』に登場する架空の人物)

参加者: 小規模の Data Doctor クリニックでは必須ではありませんが、10 ~ 15 人以上のドクターが一緒に働いているクリニックでは、必ず採用したい人材です。指導医は特定のユーザーを担当することはありません。回診してドクターをサポートしたり、ドクターからの相談に応じたりします。指導医は、Viz のベストプラクティス、詳細レベル計算、パーミッション管理など、Tableau の特定の機能やスキルセットを専門としているのが一般的です。指導医は、組織の内部データソース、データ構造、組織構造、ブランディング基準などにも詳しい場合があります。理想の人材像: ケリー・ウィーバー、ドナルド・アンスポー (米国のテレビドラマ『ER 緊急救命室』に登場する架空の人物)

ユニットコーディネーター: 小規模の Data Doctor クリニックでは必須ではありませんが、10 ~ 15 人以上のドクターが一緒に働いているクリニックでは、採用したい人材です。ユニットコーディネーターは、コミュニケーターや現場責任者としての役割を担い、ドクターが必要とするあらゆるものを準備し、診察を時間通りに行えるようにサポートします。支援を求めるドクターのサポートを指導医に依頼したり、テクノロジーやその他の問題を院長に報告したりするほか、5 分前通知や予約時間終了を知らせるタイムキーパーの役割も担います。比較的規模の大きなクリニックや事前予約制を採用していない Data Doctor クリニックでは、ユニットコーディネーターが受付や診療アシスタントと緊密に連携し、手が空いているドクターがいるかどうかや、どのような問題を解決してもらえるかについて連絡を取り合います。理想の人材像: ピーター・ベントン、クレオ・フィンチ (米国のテレビドラマ『ER 緊急救命室』に登場する架空の人物)

診療アシスタント: 小規模の Data Doctor クリニックでは必須ではありませんが、10 ~ 15 人以上のドクターが一緒に働いているクリニック、または複数の会議室で診察しているクリニックでは、採用したい人材です。理想の人材像: サマンサ・タガート (米国のテレビドラマ『ER 緊急救命室』に登場する架空の人物)

場所の要件

Data Doctor の診療規模が小さい場合 (ドクターが 5 人以下)、10 数名収容できる標準的な会議室があれば、診察を簡単に始めることができます。受付は、会議室に入って一番近いテーブルの端に設置するか、小さなテーブルを会議室の外に置いて受付にすることができます。また、会議室のテーブルを囲むようにドクターとユーザーが並んで座わる余裕もあります。

Data Doctor の診療規模が大きい場合は、大人数を収容できる会議スペースを探す必要があります。特に、ドクターが個別のテーブルで診察できるスペースを確保します。この場合、1 ~ 2 台のノート PC を置ける大きさの机と椅子 2 脚をセットで準備します。Data Doctor が 10 人を超える場合、または受付がドクター全員と面識がない場合の診療では、各テーブルの上にネームプレートを置くことも検討しましょう。これにより、ユーザーをドクターに正しく案内することができます。

オフィス以外でスペースを借りる場合は、電源とインターネット接続を必ず確認するようにしてください。ドクター、ユーザー、受付のノート PC 用に確保する必要があります。また、クラウドに置かれていないテクノロジーツールのネットワーク接続の問題、そして交通アクセスと借りた施設の入口から Data Doctor の診療を行っている場所までの順路 (特に誘導標識) も確認しましょう。ユーザーのフロー管理については、この後の「クリニックを開業する」でもう少し詳しく説明します。



クリニックの宣伝と運営

宣伝は、Data Doctor クリニックを成功させるための最初のステップです。口コミ、イントラネット、メール、組織内での掲示物などを活用し、関心や気分を高め、問題を抱えるユーザーコミュニティとつながるのが目的です。

宣伝のためのメールや掲示物のテンプレートは、付録にあります。

Data Doctor クリニックを宣伝し、ユーザーとドクターの関心が高まり、診察の予約が入ったら、いよいよクリニックの開業です。データを正確に記録して効率的にユーザーの治療を行うために必要なツールとプロセスのトレーニングをチームで実施し、開業を成功させましょう。

開業当日は、早めに集合するようチームに伝え、直前まで質問に答えて最終の実地トレーニングを行い、イベントに向けて全員の気分を高めましょう。クリニック内を頻繁に回り、ペンやメモ用紙が足りているか、水分補給やトイレ休憩ができているかなど、スタッフとユーザーに必要なものがすべてそろっているかを確認するのがベストプラクティスです。

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