品質指標の共有で医療の改善とコストの削減を実現した Swedish Medical


Swedish Medical Center (Swedish) では、多くの地域の医師と病院のパフォーマンスを把握して報告する必要がありました。しかし、従来のレポーティングソリューションは導入が煩雑で、保守コストも高くなりました。 全社規模のメイン分析プラットフォームとして Tableau を導入した後、質の高い医療の改善促進、患者体験の向上、そしてプロセスの改善と効率向上を通じた大幅な節約を実現しています。

現在の状況と将来の目標

Swedish では常に、パフォーマンス指標の把握、共有、そして最終的には改善に注力しています。

この継続的な取り組みは、医療が従来の「fee-for-service(出来高払い)」モデルから離れ、価値ベースの診療報酬モデルへと急速に移行するにつれて、優先度がいっそう高まりました。 このような新しいモデルでは、再入院率や患者満足度、他のパフォーマンス指標といった要素で目標に達しない場合、組織に対する支払いが減少することになります。

Swedish ではさまざまなパフォーマンス指標を追跡して報告していますが、より効果的で低コストで、その取り組みを組織全体のパフォーマンス向上に結び付けるための方法を見つける必要がありました。

たとえば、Swedish ではこれまでも再入院率を追跡してきましたが、その作業にかなりの時間とリソースが必要であり、患者ケアからレポーティングまでの時間差が発生する原因となっていました。

「組織内のさまざまなグループが、再入院データの収集と整理にスプレッドシートを使っており、アナリストやマネージャーにとって時間のかかる作業となっていました。 すべてのデータを収集して良いレポートを得ようとすると、もっと重要なタスクにかける時間が少なくなってしまいました。 CEO からマネージャーまで全員が、その問題を解決するためにより良い方法があるはずだと感じていました」と語るのは、Swedish 組織の一部門である Swedish Medical Group 社で CFO を務める David Delafield 氏です。

Swedish は毎年、全患者の 15% 以上にサービスについてのアンケートを送付していますが、その結果をスタッフや医師と共有するためのシンプルで一元管理された方法がありませんでした。

「アンケートの回答が数万件になることもありました」と、Delafield 氏は言います。 「結果を共有していたものの、一貫性に大きく欠けていました。 各人が見る部分はそれぞれ違っており、結果をまったく見ない人もいました」 その結果、Swedish の医療提供者と管理者は、アンケートの指標が示す方向に着実に進むことが難しくなっていました。

Swedish では価値ベースの診療報酬に向けた準備に加え、手術室の効率、医師の関与、財務状態といった他の分野も改善したいと考えました。

「コストは際限なくかさんでいくでしょう」

財務とテクノロジーで経験を持つ Delafield 氏は、プラットフォームの選定および実装を任務としたチームを率いて、Swedish が改善を推進するためにパフォーマンス指標を理解し共有できるよう支援しました。

「実践的なデータがないことが大きな問題でした」と、Delafield 氏は言います。 「組織にとって大きな意味を持つことを、視覚的に見通すための方法がありませんでした」

「収益データ、医療の質、患者に対するサービスにそれぞれ別の技術プラットフォームを用意すると面倒なことになります。しかもユーザーは、必要な情報をすべて 1 か所で手に入れることができません」と、Delafield 氏は述べています。 「連携が非常に難しくなるのです」

まとまりを欠いたこのアプローチによって、高コストなアナリストのサポートがさらに必要になりました。

「思い付きで作ったカスタムレポートばかりで、重点項目への取り組みで調整が大変難しくなりました。 間接費を低く抑えることが重要なので、経営者や医師のためにデータを実践的な形にする、比較的低コストで効果的な方法を見つけたいと考えました」と、Delafield 氏は語ります。 「カスタムレポートが多すぎる状態だと、収拾を図らなければ間接費は際限なくかさんでいくでしょう」

「アナリストは多くのアドホックなリクエストに応えてくれますが、そうしたリクエストはターゲットが違うだけでどれもかなり似通っているのです」と、Delafield 氏は述べました。 「そして何度も何度も繰り返した結果、コストが非常にかさんでいくとともに、社内全体で何が起こっているのか見通すことがとても難しくなりました」

「Tableau には会社全体で使えるソリューションになってほしいと考えていました」

2012 年後半までに、Swedish は中短期の要件を満たそうと、可能性のある選択肢をいくつか検討していました。 IBM、SAP、そして Tableau です。

「私たちは IBM と SAP を熟知していました。何をできるかがわかっていたのです」と同氏は言います。 「しかし、それでは対処できない課題があることもわかっていました。 さらに、アナリストだけではなく、組織内の誰もがアクセスできて効果的なソリューションを求めていました」

Swedish の分析チームは、当時の最新バージョンだった Tableau 7 で試しに小さなビューを作ってみました。

「Tableau を使って統合プラットフォームを構築できる、と確信を得られるまで十分に調べました」と氏は語ります。 「アナリスト用のニッチなビジュアルツールをソリューションにするのは、避けたいと思いました。Tableau には、会社全体で使えるソリューションになってほしいと考えていたのです」

当初は、若干の懸念がありました。 「膨大な数のユーザーと大量のデータに Tableau Server を使うことについて、ためらっていました」と氏は明かします。 「ですが、ごくわずかな問題があっただけで、より多くのユーザーにまで展開することができました。そして Tableau 8 では、そのような問題も多くが解決されています。 現在は、アップグレードを進めている最中です」
Swedish では、アナリストの少人数のチームからサポートを得ながら、わずかな数のビジュアライゼーションから始めました。 「ユーザーはごくわずかな時間で Tableau に慣れました」と、Delafield 氏は述べています。

最初のダッシュボードは少人数の人々に初めて公開されましたが、需要はすぐに拡張計画を上回りました。

「自然にあっという間に広がっていきました。 アクセスを求める人々から、毎週大量のメールが寄せられました」と、Delafield 氏は語りました。 「今では、このプラットフォームの新しいユーザーが毎週大勢増えており、連携とシンプル化に大きな影響を与えています。 これからはビューを拡張し、ビジネス上の新たな質問に答えることに集中していきます。 医師は価値ベースの医療へとますます移行していきます。ですから Swedish チームでは、医師たちにできる限り関与してもらうために一生懸命に努力しています」

現在のチームには、技術スタッフ 3 名とフルタイムのレポート作成担当者 3 名がいます。 「Swedish が生み出した成果は、非常に大きなチームの構築ではありません。 それは大きな価値であり、素晴らしい ROI です。そのため Swedish 全体で、他のレポーティングソリューションはほとんど使わなくて済むようになるでしょう」と、Delafield 氏は語っています。

Tableau のおかげで、数千万ドルもの価値があると見積もられる、効率性やプロセスの改善を実現することができました。

目標と透明性

今では Swedish Medical Center は、全社規模のパフォーマンス分析とレポーティングのメインプラットフォームとして、Tableau を活用する方向へと急速に向かいつつあり、全ユーザーが「同じバージョンのデータ」を見ています。

「低コストのこのようなシンプル化が、戦略上の目標を達成するうえで、Swedish のきわめて重要な基盤になるだろうと私は考えています。 手術室の外科医も、医長も、病院の経営者も全員が、病院と医療グループの全体にわたり、いずれは同じように Tableau ユーザーになるでしょう」と、Delafield 氏は言っています。 「ユーザー全員が素晴らしい結果を出しています」

「私たちはこのプロセスをスタートさせたばかりですが、経営陣や医師がシンプルで簡単にデータにアクセスできるようにしたことにより、数多くの分野でさまざまな改善が見られています。 全社規模の取り組みとなったのです」と Delafield 氏は述べました。

医療提供者はさまざまな指標でパフォーマンスをすぐ確認できます。

今では、従業員は評価を受ける際の指標をより深く理解できるようになり、組織内はもとより州内や国内で、そのパフォーマンスのレベルを他者と比較できるようにもなっています。

「Swedish が正確にパフォーマンスを測定し、ある程度の説明責任を負えるよう、組織内のほとんどの重点項目を完全に客観的なものにしようと取り組んでいます」と、Delafield 氏は語りました。 「できる限り、データドリブンな意思決定ができるようにしたいのです」

Swedish では再入院率を簡単に一目で把握できます。

Delafield 氏は「Swedish グループ全体の再入院が確認できます」と述べています。

「Swedish の再入院ダッシュボードは自動化され、国内の定義に合致しています。 再入院を担当するチームは、データの収集ではなく、再入院率を下げることに集中できます」

今や医療提供者は患者のフィードバックを得て対応が可能になりました。

「このプラットフォームを経営陣に使ってもらうことにより、Swedish では患者体験に大きな動きが見られるようになりました。 このシンプルで一貫性のあるビューは業務に連結しており、おかげで変革が進んでいます」と氏は述べました。

Swedish ではアナリストの雇用を凍結することもでき、すでにいるアナリストの一部を Tableau のパワーユーザーに転身させて、Vantage で使われるビューを作成しています。

「作成が可能なあらゆるレポートを作ろうと、次から次へとレポート作成担当者を雇い続けるのを止めることができました」 Delafield 氏の試算によると、導入が完了した後には、Swedish で毎年約 75 万ドルの節約になるとのことです。

またアナリストも、Tableau での作業に満足しています。 「ええ、アナリストたちは気に入っていますよ。 ビジネス上の重要な問題を解決し、視覚的な操作がどのようなものになるかについてエンドユーザーと協力して作業しています。 職場全体が満足しています」

同氏はまた、ビジュアライゼーションは一度完成するとデータの更新に応じた自動更新が可能であることを、アナリストが評価していると語っています。 「一度作って自動化したら、それで終わりです。 会社のために同じことを繰り返す必要はなく、同じものを全員が見ることになります」と、Delafield 氏は説明しました。

Swedish は、Tableau の導入で得られるようになったインサイトに大きな価値を見出しています。

「Tableau のおかげで、数千万ドルもの価値があると概算される効率性やプロセスの改善を実現することができました」と、Delafield 氏は述べています。

「次の一歩を踏み出す」

Swedish の組織と分析グループではいずれも、Tableau の活用が成功してそれが好意的に知られるようになりました。

「今回の導入のおかげで、必要とされる方向に向かっていくための強力な基盤を整備できました」と、Delafield 氏は語ります。 「会社全体で、レポーティングと分析を遅れず実施できるようになりました」

全体的に見て Delafield 氏は、Swedish が会社の変革へと歩みを進め、最終的にはサービスを提供する患者とコミュニティのニーズにより効率的に対応できるようにするために、Tableau が欠かせない存在だと考えています。

「医療に携わるほとんど誰もが、電子診療記録を使っているか使うことになります。 私たちは次の一歩を踏み出そうとしています。データを使って自分たちのパフォーマンスを把握し、それに基づいて戦略上の目標達成への動きを推進していこうとしているのです。 いずれこのプラットフォームのおかげで、社内のパフォーマンスを改善するだけではなく、顧客つまり患者との関わり方も変えられるかもしれないと期待しています」と、氏は述べています。

「Tableau は業務の改善を支えてくれました。 ここはかなり大きい組織です。これからがとても楽しみです」