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トヨタ自動車、Tableau とともに新たな車両開発を描く

100Hz(0.01秒ごと)の膨大な走行データを瞬時に可視化

製品開発チームとの評価結果の共有を改善

Tableau による可視化基盤が「より安全で快適なクルマづくり」を支援

東富士研究所では、走行データを100Hz(0.01秒ごと)で計測し、Tableau によって瞬時に可視化できる基盤を構築しました。車両開発において、テストドライバーが降車直後に分析結果を確認できる環境を整え、開発スピードと品質の両立に取り組んでいます。さらに、Tableauは実車走行データにも活用され、デジタルツインの実現を支える役割を担っています。

トヨタ自動車について

トヨタ自動車株式会社は、世界を代表する自動車メーカーとして「幸せの量産」を掲げ、持続可能なモビリティ社会の実現に取り組んでいます。環境対応や安全性の向上はもちろん、クルマ本来の楽しさを追求するために、研究開発のあらゆる現場でデータ活用を推進しています。東富士研究所はその中心として、先行技術開発やシミュレーションを駆使した走行性能研究を担い、未来のクルマづくりを支えています。

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トヨタ自動車の挑戦

トヨタ自動車の東富士研究所は、従来の試作車完成後に行う実走試験に加え、現在はシミュレーターと走行データを活用し、車両が形になる前から性能を検証できる新しい開発プロセスに取り組んでいます。

主幹の相川直樹氏は次のように語ります。

「クルマの基本性能は“走る・曲がる・止まる”に集約されます。ただ数値的な性能を高めるだけでなく、ドライバーにとって扱いやすく、安全であることが欠かせません。そうした感覚的な要素を大切にしながらも、データで裏付けて議論できるようにするためには、走行データの可視化が重要です。」

さらに従来の開発の課題についても振り返ります。

「従来の車両開発では、試作車が完成してから実走試験を行い、その結果をもとに性能を評価していました。しかし完成後では大幅な設計変更が難しく、開発スピードや柔軟性に課題がありました。」

そこで東富士研究所では、車両が形になる前からシミュレーターと走行データを活用して評価できる新しいプロセスに挑戦。ドライバーの操作感や安全性といった「感性」も取り込み、より人に寄り添ったクルマづくりを実現しながら、データドリブンな開発による効率化と品質向上を目指しています。

 トヨタ

データドリブンな意思決定の実現に向けた取り組み

クルマの基本性能は“走る・曲がる・止まる”に集約されます。ただ数値的な性能を高めるだけでなく、ドライバーにとって扱いやすく、安全であることが欠かせません。そうした感覚的な要素を大切にしながらも、データで裏付けて議論できるようにするためには、走行データの可視化が重要です。

Tableau がトヨタ自動車をどのようにサポートしているか

0.01秒ごとの膨大なデータを瞬時に可視化

トヨタ自動車の東富士研究所がデータ可視化・分析するツール選定に最も重視したのは、現場で迅速に試行錯誤できることでした。Tableau はコードに依存せず直感的に操作できるため、業務ユーザー自身が素早くトライアンドエラーを繰り返すことができます。

相川直樹氏はこう振り返ります。

「走行試験では、センサーから 100Hz(0.01秒ごと) という高頻度でデータが計測されます。走行1周だけでも膨大なデータが生成されます。クラウドに格納する際、Tableau Prep で処理しやすい形式に整えることで、ドライバーは降車直後に Tableau のダッシュボードで走行結果を確認可能になりました。」

この仕組みにより、Excel のような従来型ツールでは扱いきれない膨大なデータを即時に可視化できるようになり、従来は時間を要していた分析が、走行直後にフィードバックを共有できる高速な改善サイクルへと変わりました。

シミュレーターでテストドライバーを務める尾登康彦氏も、その即時性を大きな価値として実感しています。

「走行直後に結果が“丸裸”で出てくるので緊張感はありますが、その場で走行における改善点を把握できるのは大きな価値です。」

 

走行直後に結果が“丸裸”で出てくるので緊張感はありますが、その場で走行における改善点を把握できるのは大きな価値です。

Python連携でノイズを除去し、精度の高い分析を実現

東富士研究所は、走行データのノイズを除去するために Tableau Prep に Python を連携し、Scipy や Numpy などの科学技術ライブラリを活用してフィルタリングできる仕組みを構築しました。

永山珠美氏は次のように述べます。

「走行データには必ずノイズが含まれており、そのまま可視化すると、誤解を招いたり、有効な分析につながらない恐れがあります。そこで東富士研究所では、プログラミング言語『Python』 の豊富な科学技術ライブラリと Tableau Prep を連携。 計測データに含まれるノイズをフィルタリングし、正確で信頼できるデータのみを可視化・分析できる仕組みを構築しました。これにより、膨大な生データを現場で即座に価値あるインサイトへ変換できるようになっています。」

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Tableau Prep × Python 連携フロー図

製品開発チームとの評価結果の共有を改善

Tableau による走行データの可視化は、開発チーム内での議論にも活用されています。走行直後に得られたデータをもとに、具体的な改善点を即座に共有できるようになり、改善の検討スピードが向上しました。

「Tableau Prep で処理済みデータは Tableau Server に自動アップロードされ、PDFレポートとして即座に出力可能。製品開発チームとの共有も効率化し、データを裏付けとした信頼性の高い報告が行えるようになり、感覚だけでなくデータという裏付けをもって報告できるため、レポートの信頼性が格段に高まりました。」と相川氏は語ります。

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車両運動シミュレータでの走行データの可視化

他社にはないTableauの価値

コードに依存せず直感的に操作できる点

東富士研究所のチームが特に高く評価しているのは、コードに依存せず直感的に操作できる点です。プログラミングに熟達していなくても、思いついた仮説をすぐに試すことができ、改善のための検証サイクルを短時間で繰り返せます。

永山珠美氏は次のように語ります。

「コードが苦手でも直感的に操作できるため、業務ユーザー自身が素早く試行錯誤できます。改善のための仮説検証が短時間で繰り返せることは、車両技術開発の現場において大きな利点です。」

従来はデータ処理や可視化に多くの工数がかかり、改善策を検討するまでに時間を要していました。しかし Tableau を導入したことで、業務ユーザー自身がその場でデータを扱い、試行錯誤を高速に回せるようになったのです。これは開発規模が大きく関係者も多い車両開発の現場において、極めて大きなアドバンテージとなっています。

コードが苦手でも直感的に操作できるため、業務ユーザー自身が素早く試行錯誤できます。改善のための仮説検証が短時間で繰り返せることは、車両技術開発の現場において大きな利点です。

問い合わせに対する対応スピード

東富士研究所のチームがもう一つ高く評価するのが、Salesforce の迅速なサポート体制です。

永山珠美氏は次のように説明します。

「現場で疑問点や技術的な課題に直面した際にも、すぐに相談でき、回答までの時間が非常に短いため、改善のサイクルを止めることなく、新たな試行錯誤が可能になります。サポートのスピードは開発効率を左右する重要な要素です。Salesforce の素早い対応により、私たちは安心して新しい取り組みに挑戦でき、スピーディーに改善を積み重ねる体制が整いました。」

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トヨタが描く車両開発の未来

トヨタが描く車両開発の未来

走行直後のフィードバックやシミュレーションとの連携によって、従来の車両開発プロセスはすでに進化を遂げています。Tableau は実車とシミュレーション双方の走行データを可視化し、トヨタのデジタルツインを支えています。

トヨタはこうした成果を土台にして、さらなる未来のクルマづくりを描こうとしています。その取り組みを支えているのが、Tableau による「人とデータをつなぐデータ活用基盤」です。

東富士研究所が担うのは、走行データを活用した「より安全で快適なクルマづくり」への挑戦です。現在は走行直後のフィードバックやシミュレーションとの連携にとどまらず、今後は活用領域をさらに広げようとしています。

その一つが ドライバー教育です。これまでインストラクターの感覚に依存していた指導を、データで裏付けることで「どのライン取りが良いのか」「目線の動きが適切か」といった点を定量的に可視化。教育の質を高める仕組みとして活用を見込んでいます。

さらに、走行時に取得される膨大なデータを 資産として蓄積し、AI と組み合わせることで、将来的には車両開発やトレーニングを根本から変革する可能性も見据えています。

トヨタは、データを直感的に活用できる基盤を進化させ、人とクルマがより調和する未来のモビリティ開発を加速しています。

※ 本事例は 2025 年 10 月時点の情報です