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鹿島建設、設計・監理・施工をつなぐ"自走する意思決定"

設計案件別の進捗と設計料収支を可視化し、プロセス管理の精度を向上

施工図・計画書の承認プロセスを可視化し、進捗確認の迅速化と工数削減を実現

勤務状況を可視化し、労働時間の偏りを改善

鹿島建設の関西支店では、Tableauを活用して設計・監理・施工部門が連携し、現場主導のデータ活用を推進しています。設計プロセスの可視化による進捗・収支の正確なモニタリング、承認プロセスの可視化による進捗確認の迅速化、勤務状況の可視化による労働時間の平準化など、複数の部門で業務効率と意思決定スピードが大幅に向上しました。各部門が同一のデータ基盤を共有することで、部門を越えた情報共有とマネジメントの最適化を実現。現場の担当者が自らデータにアクセスし、意思決定や業務改善を行う“自律的データ活用”の文化が、建設業界における新たな働き方とDXを支える基盤となっています。

鹿島建設について

鹿島建設は、国内外で建築・土木・開発・エンジニアリングなどを手がける、日本を代表する総合建設会社です。 創業以来、「品質と信頼」を軸に、超高層ビルや大型インフラから再開発事業まで、多様なプロジェクトを通じて社会基盤の整備を支えています。近年は、BIM/CIMを核にデジタルツインやスマート施工を推進し、建物のライフサイクル全体で生産性向上と資産価値の最大化を目指しています。

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鹿島建設の挑戦

鹿島建設は、建設業界における生産性の向上と働き方改革の両立を目指し、「現場からのデータ活用」を軸にDXを推進しています。同社の関西支店では、設計・監理・施工部門がそれぞれの業務でTableauを活用し、部門を越えた共通データ基盤のもとでマネジメントの最適化を実現しました。

この取り組みの発端となったのは、支店内での業務課題の解決です。設計部門では、外注費や収支をTableauで自動集計し、外注比率を適正にコントロールしながら収支計画を維持。品質監理部門では、施工図や計画書の承認プロセスを可視化し、進捗確認の迅速化と工数削減を実現。管理部門では、勤務状況の可視化によって労働時間の偏りを是正し、働き方改革を後押ししています。

こうしたデータ活用の広がりにより、支店内では業務効率が飛躍的に向上。「数字に基づく判断」が文化として定着しました。現在はTableau Serverを中核に、部門間でデータを共有し、リアルタイムに近いスピードでの意思決定を支えています。

塩見浩一郎氏は次のように語ります。

「“現場の感覚をデータで裏づける”ことが重要でした。誰かが集計してから共有するのではなく、各部門が自分たちの業務データを即座に見て判断できるようになったことで、業務のスピードもコミュニケーションの質も大きく変わりました。設計収支の可視化によって、設計プロセスと収支のバランスをとろうとする意識が生まれ、計画的な業務配分や戦略的な判断を行うようになりました。」

“現場の感覚をデータで裏づける”ことが重要でした。誰かが集計してから共有するのではなく、各部門が自分たちの業務データを即座に見て判断できるようになったことで、業務のスピードもコミュニケーションの質も大きく変わりました。設計収支の可視化によって、設計プロセスと収支のバランスをとろうとする意識が生まれ、計画的な業務配分や戦略的な判断を行うようになりました。

Tableauが鹿島建設をどのようにサポートしているか

鹿島建設 関西支店では、設計・監理・施工といった部門を横断してデータを活用し、「勘と経験」から「データと検証」へと業務の在り方を進化させています。Tableauはその共通基盤として、部門間の情報連携を促進し、働き方の改善からコストマネジメント、品質向上まで、現場主導の意思決定を支えています。

 

設計プロセスと人件費・外注費を可視化し、収支計画を維持

最初に取り組んだのは、設計部門における設計プロセスの見える化と設計収支の最適化です。案件ごとの設計進捗や人件費・外注費の変動をタイムリーに把握できないことが課題になっていました。

この課題に対し、設計部門ではTableauを活用して設計プロセスや繁忙度・収支の可視化を推進。これにより、設計進捗と設計料支出のバランスを保とうとする意識が全員に浸透し、コストマネジメントがより計画的かつ戦略的に行われるようになりました。

塩見浩一郎氏は、「以前は計画とのズレを意識することも少なかった」と振り返ります。「可視化によって“今の設計料消化率はどのぐらいか”“どこで膨らみそうか”を日々確認できるようになり、設計段階からコストの精度やプロセスの正確性を高めようという意識に変わりました。」

Tableauによるデータの“見える化”が、設計部門における意識改革を促し、設計プロセスの正確性向上と収支の安定化を同時に実現しています。

 ダッシュボード

人件費と外注費を一元管理し、プロジェクトの健全性を見える化したダッシュボード

 

施工図・計画書の承認プロセスを可視化し、進捗確認の迅速化と工数削減を実現

さらに、施工段階における施工図・計画書の承認プロセスの遅れは品質と納期に直結する重要課題です。これまでは、日付を一覧にした管理表を元に、「どこで止まっているのか」「誰の承認がまだなのか」を電話やメールで都度確認する必要がありました。この非効率なやり取りが承認工程の遅延や品質リスクを引き起こしていたのです。

そこで鹿島建設では、承認プロセス全体をTableauで可視化。施工図や計画書の提出から承認までの進捗を一覧で把握できる仕組みを構築しました。さらに、作成したガントチャートを毎週メールで自動配信する「サブスクリプション」機能を活用し、関係者全員が常に最新の情報を共有。ボトルネックの早期発見と迅速な是正を実現しています。

「以前は施工図や計画書の承認がどこで止まっているのか、確認するのに時間がかかっていました。

Tableauで承認状況を一覧で見られるようになってからは、進捗確認のスピードもやり取りの工数も大きく削減できました。」と塩見氏は語ります。

 進捗管理ダッシュボード

承認状況をガントチャートで一目で把握できる、施工図・計画書の進捗管理ダッシュボード

 

品質データを“知見”に変え、カビ発生要因をデータで科学する

そして現在、鹿島建設は「品質をデータで評価する」取り組みを始めています。現場で発生した品質課題をデータで検証し、再発を防ぐ仕組みづくりを進めているのです。その一例が、カビの発生要因分析です。

気温・湿度・計測時期・場所・使用建材などのデータをTableau上で掛け合わせ、どの条件で発生リスクが高まるのかを可視化。これまで経験や勘に頼っていた判断を、科学的根拠に基づく再現性ある分析へと進化させています。

名倉真紀子氏は次のように述べます。

「以前は測定した温湿度データや、ダウンロードした気象条件を担当者がExcel上で整形してグラフを作成する必要がありました。TableauでCSVデータを読み込むだけで特定の地域や室のカビの発生しやすさを可視化することができれば、リスクの説明やカビ発生原因の早期特定につながります。誰でも品質をデータで語れるようになることで、品質管理の精度とスピードの向上が期待できると感じています。」

こうした分析は、品質トラブルを定量的に捉え、再発防止策を設計段階から検討できる体制づくりにつながっています。現場の気づきをデータとして蓄積し、次のプロジェクトに活かす。その循環が、鹿島建設における“品質を改善するナレッジサイクル”を動かし始めています。

 分析画面

気温・湿度・計測時期などのデータを組み合わせ、カビ発生の要因を可視化した分析画面

 

勤務状況を可視化し、労働時間の偏りを改善

建設業界において、業務の繁閑や担当者間の負荷の偏りを適正化することは、重要なマネジメント課題のひとつです。鹿島建設では、「忙しさの傾向を早期に把握し、適切に分散する」ことを目的に、勤務状況の可視化に取り組みました。

同社はTableauを活用し、勤務データを日次レベルで可視化。月の途中でも「今月この人が多くなりそう」といった傾向を把握し、事前に対策を講じられる体制を構築しました。さらに、2ヶ月平均・3ヶ月平均など法令基準に基づく複数指標の自動算出を導入しています。これにより、個別にExcel集計を行う必要がなくなり、全社共通のダッシュボードで勤務状況をモニタリングできるようになりました。結果として、業務負荷の平準化・マネジメント効率の向上・働き方の適正化を同時に実現。データを活用した労働時間のマネジメントが現場に定着しつつあります。

関西支店建築部の阪口濃氏は次のように語ります。

「以前は月1回Excelで各部署や工事事務所で残業時間のデータを配ってそれぞれの部署で集計を行なっていましたが、Tableauでは月の途中でも“今月この人は多くなりそう”と分かるようになりました。2ヶ月平均や3ヶ月平均などの法令基準の指標も自動で表示されるようにしており、各部署がExcelで煩雑な計算をして管理する必要がなくなりました。誰がどれくらい残業しているかを日次ベースで確認できるようになったのは大きな進化です。」

 勤務状況一覧ダッシュボード

労働時間の傾向を可視化し、業務負荷の偏りを防ぐダッシュボード

以前は月1回Excelで各部署や工事事務所で残業時間のデータを配ってそれぞれの部署で集計を行なっていましたが、Tableauでは月の途中でも“今月この人は多くなりそう”と分かるようになりました。2ヶ月平均や3ヶ月平均などの法令基準の指標も自動で表示されるようにしており、各部署がExcelで煩雑な計算をして管理する必要がなくなりました。誰がどれくらい残業しているかを日次ベースで確認できるようになったのは大きな進化です。

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他社にはないTableauの価値

“探索しながら気づく”自由度の高さ

鹿島建設が感じる Tableau の最大の価値は、“探索しながら気づく”自由度の高さにあります。他社 BI ツールでは、あらかじめ設定や構成を固めてから可視化を行う必要があり、「この切り口で少し見てみよう」といった探索的な分析を行うには高いハードルがありました。一方、Tableau はドラッグ&ドロップで思いついた分析をすぐに試せる直感的な操作性を備えています。

名倉真紀子氏は、実際の労働時間データの分析を例にこう語ります。

「使い方が難しいと、『こういう分析をしてみよう』『このグラフを作ってみよう』という発想が進みません。Tableauはドラッグして直感的に操作できるので、“こうしたらどう見えるだろう”といった試行錯誤がすぐできるのが良いですね。他社BIツールは集計を見るツール、Tableauは原因を探るツールであると感じます。」

さらに、生成 AI の活用が広がる中でも「人の理解が欠かせない」と強調します。

「AIでも多くの分析はできると思います。ただ、それを正しく評価して活用するには、人の理解が欠かせません。Tableauは“自分で見て確かめる”ことができるからこそ、AIの結果を鵜呑みにせず、納得感を持って判断できるツールだと思います。AI の結果をヒントとして活用しながら、自ら Tableau で検証し、理解を深めることが重要です。」

 

 残業時間の平均値

残業時間の平均値を見ながら、ばらつきを把握する

AIでも多くの分析はできると思います。ただ、それを正しく評価して活用するには、人の理解が欠かせません。Tableauは“自分で見て確かめる”ことができるからこそ、AIの結果を鵜呑みにせず、納得感を持って判断できるツールだと思います。AI の結果をヒントとして活用しながら、自らTableauで検証し、理解を深めることが重要です。

現場の知識と直感を活かす“自走型”データ活用

鹿島建設がTableauに感じるもうひとつの価値は、“現場の知識”と“ツールの直感性”が自然に結びつき、データ活用が「情報をもらう」から「自分で動かす」へと変わったことにあります。

従来は、システム部門や一部の担当者が作成したレポートを共有する“情報提供型”の運用が中心でした。

しかしTableauの導入によって、現場の担当者が自らデータを扱い、業務に合わせて可視化や分析を行える環境が整いました。

関西支店では、建築品質監理部 部長の塩見浩一郎氏が自らTableauを活用し、繁忙度予測や収支管理、進捗状況を可視化するダッシュボードを構築。この取り組みが波及し、設計・監理・施工部門それぞれで活用が広がりました。

「グラフ表現の自由度が高く、現場の担当者でもすぐに形にできる。データ加工や更新も簡単で、システム部門に頼らず自分で触れるのが大きい。」と塩見氏は語ります。

この“自分で触って分かる”体験が、現場の判断力を大きく変えました。担当者が自らの業務データを見て考え、改善を重ねることで、“現場の感覚をデータで裏づける”文化が根づきつつあります。

 

見るべきデータを整理し、意思決定につながる指標を磨く

鹿島建設 関西支店では、Tableauによって現場主導のデータ活用が根づき、設計・監理・施工部門が共通のデータで対話できる環境が整いました。

塩見浩一郎氏は、次のフェーズをこう語ります。

「全部のデータをつなぐことが目的ではなく、“見るべきデータをどう整理して、どう使うか”を考えることが重要です。その整理ができないまま可視化しても、結局は見なくなってしまう。まずは業務ごとにどのデータが意思決定につながるのかを整理したいと思っています。」

現場でのデータ活用が定着した今、次に目指すのは「見るためのデータ」から「意思決定を変えるためのデータ」への進化です。すべてを可視化するのではなく、意思決定に直結するデータを選び抜き、組織として共有する指標を磨いていく、鹿島建設はこれからも、Tableauとともに“現場が自ら考え、データで動く”未来の建設業のかたちを描いていきます。