拡張分析とは: 定義、ユースケース、利点、機能など

拡張分析とは

拡張分析は、人工知能 (AI) と機械学習 (ML) を利用した分析クラスで、コンテキストレベルでデータを操作する人間の能力を強化するものです。拡張分析は、推奨、インサイト、クエリに関するガイダンスなどの分析機能をより多くの人にもたらすツールやソフトウェアで構成されています。

世界的な研究およびアドバイザリー企業である ガートナー社によると、「拡張分析とは、機械学習や AI などのテクノロジーを使用して、データの準備、インサイトの生成、およびインサイトの説明を助け、人々が分析および BI プラットフォームでデータを探索および分析する方法を強化するもの」と定義されています。

拡張分析における機械学習の役割

機械学習はコンピューターサイエンスの 1 つの領域で、データを使用してアルゴリズムや学習モデルを抽出します。機械学習は、多くの拡張分析機能のコアテクノロジーとなっており、多くの場合、面倒な作業を軽減または不要にすることで人々の分析を支援します。これにより、データを使用してより迅速にインサイトを獲得し、意思決定を行うことができます。その利点はデータのクリーニング、変換、調査、フィルタリングにも及び、より正確で詳細な検証が可能になります。

BI プラットフォーム内での機械学習の機能は、多くの場合、高度なアルゴリズムの結果を推奨事項として提示します。また、拡張分析の一部のアプリケーションでは、ML を活用して業界および組織のセマンティック、さらにはユーザーの好みを時間をかけて学習し、分析時に質問や結果をビジネスのコンテキストに従ってパーソナライズしてより効果的なものにします。

拡張分析と自動化

自動化は拡張分析ソリューションの一般的な機能ですが、多くのテクノロジーが行うようなタスクの自動化と、分析による情報を使用した意思決定の自動化とは別物であることを理解することが重要です。また、 データドリブンな意思決定 を自動化することで人的能力が不要となり、その一方で拡張機能によって、基盤となるテクノロジーのための方法が提供され、それがなければ気付いたり、見つけたりできなかったインサイトをユーザーが明らかにするためのガイドとなります。

対象分野の知識はいつの時代でもアナリストにとって重要なものでしたが、AI と機械学習を活用した拡張分析により、そのスキルセットはさらに重要性を増しました。多くの場合、必要なコンテキストは人間が埋める必要があり、分析から得られたインサイトを使用することで、現在直面している問題に対する最適な意思決定を行うのに役立てることができます。

拡張分析は誰のため?

ビジネスユーザーおよびエグゼクティブは拡張分析から驚くほどの価値を得られます。これらのテクノロジーのおかげで、データ処理に関する高い技術的スキルや専門知識がなくても、データから迅速に価値を得られるからです拡張分析により、ビジネスユーザーおよびエグゼクティブはより簡単に関連データを見つけ、最適な質問を投げかけ、ビジネスコンテキストに沿ったインサイトをすばやく明らかにすることができます。

拡張分析の利点の多くは、分析に関する深い専門知識を必要としないということに焦点が当てられますが、それだけではなく、アナリストや上級ユーザーにとっても、さらに徹底的な分析を行い、データ準備をより迅速に行うために役立ちます。

拡張分析の利点

拡張分析は、アナリストがより迅速、効果的、かつ正確に作業を行うことを可能にします。また、機械学習および自然言語テクノロジーにより、分析に対する技術的障壁がなくなるため、分野の専門家が直接データを操作することが可能になります。つまり、データスキルや経験がそれほどなくても、高度なテクニックを利用できるということです。

アジリティ: インサイト取得までの時間の短縮

AI 搭載の拡張機能は、検索空間をトリミングし、関連するデータを適切なタイミングで適切な人に提示し、効果的な分析の道筋を示すことで、インサイトの探索スピードを速めることができます。ユーザーのふるまいを広範囲にわたって追跡することにより、システムはよりスマートな既定値を提示し、アクションを推奨することができます。また、ユーザーの反応に基づいて、時間の経過とともに既定値やアクションを微調整し、パーソナライズすることも可能です。データに対する質問への答えをすばやく得られるようになれば、より戦略的なタスクに集中することができ、インサイトを求めてデータを調べる時間を削減することができます。

正確性: より包括的な全体像を提供

眠ることのないマシンは、繰り返し作業や計算の実行に極めて優れています。拡張分析を支える AI および ML テクノロジーは、埋もれている部分まですべてを効果的に見ることができるため、ユーザーは徹底的な分析による豊富な情報に基づいて意思決定を行うことができます。そしてそれによって得られる全体像は、結論を求める際の確証バイアスを回避するのに役立ちます。

効率: 業務の自動化

機械学習と人工知能は、高度に専門的な繰り返し作業によってアルゴリズムが促進されている分野で、非常に大きな前進を遂げています。(例えば、関連するコンテンツや商品の「おすすめ」の提案をしてくる Web サイトや不正検出プログラムです。)拡張分析が提供するタスク自動化により、データ準備、データディスカバリ、統計分析の実行など、データ作業時の時間と労力を節約できます。

自信: コンテキストに従った強力な分析

多くの場合、拡張テクノロジーは使いやすく、データ作業への障壁を軽減し、より幅広いグループの人々が簡単にインサイトを取得するのに役立ちます。拡張テクノロジーは、コンテキストに従ってデータをモデル化して、明示化するように調整できるため、ユーザーは自分の直感に対する裏付けを得て、結論の質に自信を持つことができます。分析テクニックについてあまり詳しく理解していないビジネスユーザーでも、自身の担当領域や業界については良く知っているため、拡張分析によって提示された所見をどのように使用するか評価する際にその専門知識を適用することができます。ビジネスワークフローに組み込まれ、他のツールやソフトウェアと統合されている拡張テクノロジーもあり、それを使用すれば、分析を中断することなく特定の質問についてすばやく探索できます。その場合、データ準備に追加の手順は必要ないこともあります。

拡張分析の機能

自動化されたデータ識別

AI を使用して、データの特定の属性、たとえばそのフィールドに グラフィック情報 (郵便番号など) や個人情報 (電話番号やメールアドレス) が含まれているかどうかを検出するモダン BI プラットフォームもあります。

また、PDF やテキストなどの形式の文書にあるデータテーブルを読み取ることができ、特殊な形式設定を自動的に削除し、それらを変換して効果的に分析するプラットフォームもあります。

統計のテクニック

拡張分析テクノロジーは、確実性が最も高い方法を基準として、 予測、クラスタリング、その他の統計アルゴリズムから最適なものを自動的に選択することもできます。また、モデルが自動的に実行され、ユーザーが見たこともないようなインサイトをデータ内から明らかにし、提示するシステムもあります。これらのテクニックは、データセット内の外れ値や予想外の値の要因など、データポイントの背後にある「理由」を説明できます。エンドユーザーはこれらの機能をクリック 1 つで使用できます。計算やコードを記述するための専門知識は必要ありません。

スマートなデータ準備

データを準備する際、ユーザーはバックグラウンドで動作するパワフルなアルゴリズムによって、より迅速にデータを準備し、手作業によるクリーニングを最小限に抑えることができます。拡張分析システムは、発音や共通の文字によって関連語句のインデックス化とグループ化を行うことができるため、フィールドや値の手作業による検索や更新の時間を節約できます。

また、Null 値の削除やフィールドを別の列に分割することなど、クリーニング手順に関する推奨を行うシステムもあります。

推奨事項の提供

多くの拡張分析システムの機能として有名なのは、AI 主導の推奨事項をユーザーに提示する機能です。推奨事項は、データ準備からディスカバリ、分析、共有まで多岐にわたります。たとえば、データの準備時に、システムがデータソースの結合やクリーニング手順を推奨したり、ユーザーが表示するデータの行と列に基づいて、使用すべき効果的なグラフの種類を推奨することなどがあげられます。

また、自身の役割、チーム、分析に関するブラウジング行動に基づいて、(多くのビジネスが提供している「おすすめ」の提案のように) 分析コンテンツを探索するための提案を受け取ることもあります。この機能は、新しいユーザーを迅速にオンボーディングし、最も関連性の高いデータアセットを見つけるのに役立ちます。

自然言語による操作

自然言語クエリは、データクエリ言語やコードを使用するのではなく、普通の言葉で質問を入力してデータをクエリできるようにする拡張分析機能です。システムはテキストをクエリに変換し、ユーザーの質問の背後にある意図やコンテキストとのギャップを埋めるための提案を行い、ユーザーにガイダンスを提供します。これは多くの人が、基盤となるデータモデルを理解していなくても、データからインサイトを取得するのに役立ちます。

自然言語の生成により、データから得たインサイトがテキストで説明されます。これにはデータビジュアライゼーションの説明が含まれることもあります。普通の言葉によるこれらの説明は、ビジュアライゼーションの操作や解釈に関する深い専門知識がなくても、データのストーリーを理解するのに役立ちます。

拡張分析のユースケース

拡張分析の多くのユースケースでは、AI と機械学習によって高度な分析をより素早く簡単にできるようにしており、データスキルや技術的能力に関係なく、より多くの人々が最良の質問をして 豊富な情報に基づいて意思決定を行い、データから価値を導き出しています。

役割ごとの例

  • 営業チーム は、自分たちのノルマと案件に関する傾向を調査するために拡張分析を使用することができます。
  • エグゼクティブ は、役員会議中に、静的なレポートを使用するのではなく、データを簡単にライブで探索するために拡張分析を使用することができます。
  • IT 部門 は、サーバーやシステムの使用が急増した要因を明らかにするために拡張分析を使用することができます。
  • アナリストおよびデータスチュワード は、分析に向けたデータのクリーニング、変換、準備をより迅速に行うために拡張分析を使用することができます。

業界ごとの例

  • サプライチェーン管理 の業界では、特定の場所で、期待されている速度で製品が提供されていない理由を把握するために、拡張分析を使用することができます。
  • 旅行および観光 業界の組織では、顧客のアップセルまたはクロスセルに最適な、パーソナライズされたオファーを見つけるために、拡張分析を使用することができます。
  • マーケティングおよびコミュニケーションエージェンシー では、広告キャンペーンの効果を調査し、データに隠れている可能性のある変数を明らかにするために拡張分析を使用することができます。

その他の一般的なユースケース

  • 大企業は多くの場合、分析プログラムを新規ユーザーへと拡大する際に拡張分析を活用しています。その多くの機能が、データ作業の経験が浅い人々のオンボーディングプロセスを迅速化するのに役立つからです。
  • 静的なレポートから、拡張されたインタラクティブな ダッシュボードに切り替える組織もあります。これにより、アナリストのレポート作成時間が節約されるだけでなく、データに関する質問を行うことへの障壁が低くなり、より多くの人に答えを効果的に得るためにダッシュボードを使用するという道が開かれます。

拡張分析の使用に関する課題

AI と ML に関する誤解

AI および ML は、一般の人々がどのようにして操作し、恩恵を得られるかではなく、その根本的な複雑さが原因で未だにテクノロジー自体に注目が集まっている状態です。この状態と、機械が人間の仕事を奪うという 誤解 により、データ作業に取り組む人々に実用的なメリットをもたらすソリューションの採用が停滞している可能性があります。AI と拡張分析の価値を理解し、信用していなければ、誰もそれらを使おうとはしないでしょう。

拡張分析の限界

一方で、こうした種類のテクノロジーが何を達成し、提供できるかについて、過大な期待を抱いている人もいることでしょう。このテクノロジーが実際にどのように人々を支援できるかについて十分理解せずに、あるいはその実装およびサポートに関する明確な戦略を持たずに、大きな投資を行うと、その結果としてサンクコストが発生する可能性があります。

また、人間とマシンがそれぞれどの分野に長けているかを理解することも必要です。マシンにとって、限られたコンテキストの中で人の意図を理解することは困難です。マシンはデータ自体を保有してはいますが、専門知識を持っている人間と同じように全体像を把握することはできません。マシンは、使用に関する行動の監視やユーザーのフィードバックにより、時間をかけて人の好みを学んでいく必要があります。

データリテラシーと分析スキル

ツールとテクノロジーは大きな潮流の中で重要な役割を果たしますが、従業員がデータについて批判的に考えることを学ぶことも必要です。誤ったデータや AI システムからの誤った推奨事項を基に行動すると、不適切な意思決定につながり、リソースも無駄にしてしまいます。そこで必要なのが データリテラシー、批判的な思考、人材開発です。

拡張分析が成功するのは、組織が全部門にわたって分析スキルの習得を優先し、誰もがデータ言語を理解し、自信をもって利用できるようになった場合のみです。説明や推奨が有効となるのは、利用者がデータコンセプトを理解し、自分のビジネスデータとどのように関連付けられるかを理解している場合に限ります。たとえば、ビジネスコンテキストを把握している人間は、マシンが相関関係を発見した際に、その因果関係を是認または否認する可能性が高くなります。

データガバナンス、管理、キュレーション

データは AI システムの基盤です。つまり、AI を使用した規範的な推奨事項や自動化タスクは、システムのトレーニングに使用するデータの品質および信頼性と直接の相関関係にあります。健全な データガバナンス または データ管理 プラクティスに投資していない組織や、BI の導入に関する牽引力や自信を築くのに苦労している組織は、AI の採用を成功させる可能性が低いと言えます。

AI の倫理的な利用

アルゴリズムやモデルがさらに複雑になるにつれて、理解できないものになってしまわないことが重要です。言い換えると、組織は「ブラックボックス」の AI ソリューションに飽き飽きしている必要があります。透明で「説明可能な AI」というのが強力なコンセプトです。人々は、答えを導き出すのに使用された工程と論理を理解できることが必要です。そうすることで、バイアスがかかったモデルを組織が使用しないようにできるだけでなく、得た答えが意思決定のための情報として信頼できるということを人々に納得させることができます。

拡張分析のベストプラクティス

モダン分析の強固な基盤で始める

モダン BI は、アジリティと、セキュリティおよびガバナンスの必要性のバランスを保ちながら、あらゆるスキルレベルのユーザーが自ら質問に答えられる方法を提供しています。モダン BI プラットフォームにとって、AI と ML の機能はこのパラダイムの延長です。それらはデジタルトランスフォーメーションに向けたさらなるステップを意味し、組織を従来型の BI とレポートから、誰もがデータに関して質問できるモダンな セルフサービス環境 へと変えていきます。

AI 分析への投資を拡大する前に成功を証明

大胆な新しいアイデアで前へと進む最善の方法は、スコープテストから始めることです。完璧なシステムをいきなり壮大な規模で展開することを求めるべきではありません。特定の部門やユースケースなど、非常に限定的なスコープで始めましょう。その後、投資の価値が証明されたら、組織全体のより幅広いグループへと展開していきましょう。

分かりやすい説明と教育で信頼とデータリテラシーを築く

影響力のあるデータ教育には、実践的スキルとクリエイティブな能力が必要になります。ビジネスプロセスに AI 分析を導入するには、これらのテクノロジーに対する信頼とともに、従業員による正しい判断が必要です。データサイエンティストは、実際の経験に基づいて、マシンを信頼することをためらう人もいるでしょう。また、経験の浅い分析ユーザーは、拡張分析による推奨事項の扱い方や検証方法について、また、方向性を修正するために人間の知識を投入する方法について学ぶことが必要です。

コラボレーションとコミュニティで成功を育む

こうしたさまざまな機能は、既存のワークフローに組み込まれるため、データチャンピオンと分野の専門家が緊密に連携することで、ユーザーを成功に導き、より広範な採用を促進できます。他のユーザーのためにダッシュボードを作成するアナリストたちは、AI と機械学習の機能がどのように利用されているかを理解し、データそのものやデータの説明に関して、オープンなコミュニケーションを促すことが必要です。アナリストは、分野の専門家が正しいデータを使用して適切なコンテキストで、自分にとって重要なデータポイントをドリルダウンできるように設定できます。たとえば、スターターダッシュボードを利用すると、インタラクティブな探索や適用が可能になります。

ビジネスインテリジェンス (BI) における拡張分析の役割

データは、より良いカスタマーエクスペリエンスの構築、より効率的なオペレーションの実現、新しい収益ストリームの開拓を推進するうえで不可欠な要素です。データ分析を得意とする組織は、最も高い競争力と影響力を備えることができます。そのため、多くの人が AI 分析テクノロジーと拡張分析に注目しています。それらには、 機械学習自然言語による操作、複雑なアルゴリズムが含まれており、それらを活用して競争力の獲得や従業員の分析能力のさらなる強化、デジタルトランスフォーメーションの促進、変化の局面におけるビジネスレジリエンスの構築を進めています。

拡張分析は、人間の好奇心を適切な答えに、より的確に変換することを可能にします。このような機能により、データ作業にあまり慣れていない多くの人にも分析の使用を拡大することができます。これは、データに関するビジネス上の質問への答えを自信をもって得る方法を、組織の全員に提供するのに役立ちます。

Tableau は、 AI を使用して人々が質問への答えを導き出し 、データを活用した有意義な意思決定を促進できるよう支援します。スマートなデータ準備やワンクリックでの統計的分析から自然言語クエリまで、Tableau の拡張分析機能は、より多くの人々がデータから知る必要のあることを学び、そこから得られる結果に自信を持つことを可能にします。Tableau の機能は、データに対する質問への答えを得られるように広範なビジネスオーディエンスを後押しし、増え続けるデータを活用できるように組織を支援します。

Tableau の 拡張分析について詳細をご確認ください。

その他のリソース

Tableau: AI + 分析

業界をリードする Tableau のセルフサービス分析プラットフォームに統合された、拡張分析、Tableau ビジネスサイエンス、データサイエンスで、AI 活用によるインサイトを引き出しましょう。

Tableau の Einstein Discovery

コード不要の直感的に使える環境で、Tableau の倫理的で透明性のある AI によるサポートを基にして誰もが迅速に自信を持って意思決定を行うことができます。

Einstein Discovery 技術ホワイトペーパー (Salesforce)

Salesforce の Einstein Discovery は、機械学習分野で他と一線を画す独自の機能を備えています。詳しくご覧ください。