使える「モダン分析プラットフォーム」を作ろう! - 第 1 回: 「ユースケース」を考える

「モダン分析」や「モダン BI」 という言葉を耳にする機会は増えていないでしょうか? モダンという言葉の響きから、何か新しく洗練されたものを予感させてはくれますが、どのようなメリットがあるものか今ひとつはっきりしない方も多いのではないかと思います。本シリーズでは、モダン分析の特徴や価値について、具体的な事例を交えながら皆さんと一緒に理解を深めていきます。

このところ、「モダン分析」や「モダン BI」 という言葉を耳にする機会は増えていないでしょうか? モダンという言葉の響きから、何か新しく洗練されたものを予感させてはくれますが、どのようなメリットがあるものか今ひとつはっきりしない方も多いのではないかと思います。

そこで、本シリーズでは、モダン分析の特徴や価値について、具体的な事例を交えながら皆さんと一緒に理解を深め、この新しい世界観を皆さんのビジネスに取り込んで頂ければと思います。

使える「モダン分析プラットフォーム」を作ろう! (全 5 回) の予定:

  • 第 1 回 「ユースケース」を考える (← 今回)
  • 第 2 回 「データ戦略」を考える
  • 第 3 回 「コンテンツ管理」を考える
  • 第 4 回 「アーキテクチャ」を考える
  • 第 5 回 「人と組織への定着」を考える

「モダン分析」とは?

「モダン分析」や「モダン BI」という言葉は、Tableau だけが提唱している言葉ではなく、世に広く流通し始めています
IT 分野の調査・助言を行う企業であるガートナー社の資料 (英語) からモダン分析フローの特徴を引用してみると、以下のようなキーワードが見つかります。

  • セルフサービス分析、セルフサービスデータ準備
  • アジャイル型
  • ビジュアル分析
  • 多彩なデータソース、パワフルなデータエンジン
  • 共有とコラボレーション
  • スマートなデータ探索
  • ストーリーテリング

特に注目したいキーワードは、セルフサービスアジャイル、そしてビジュアル分析です。

  • ビジネス部門においては、セルフサービス化により、データ利用や分析タスクの民主化 (全社員が BI を積極的に活用すること) が推進されます。一方で、IT 部門はそれらを協調的にサポートする役割へと変化していきます
  • 硬直的なウォーターフォール型ではなく、アジャイル型で小さな成功を繰り返し、そして積み上げていくことにより、時代の変化に強い継続運用が可能となります
  • ビジュアル (色、形、サイズ、位置、etc) は人の知覚に直接的に働きかけます。直感的な理解や気づきを促し、ビジネスのスピードを高めてくれます

分析の民主化が進み、組織の全員がデータに基づいた意志決定を行う

先ほどは、セルフサービス化によって、企業内に分析ユーザーが広がることを紹介しましたが、それはやはり簡単なものではありません。例えば、分析ツールが「スマート」でなかった場合 (使い方が難しい、アウトプットが美しくない、レスポンスが悪い、機能が不足、etc) には、ユーザーはすぐに使用を取りやめてしまいます。皆さんもスマートフォンのアプリで同様の体験をお持ちではないでしょうか。その点においては、Tableau に代表されるモダン分析ツールは、スマートさを兼ね備えており、日本国内でもファンをどんどん増やしてきています。

ユースケースを考える

これまで、セルフサービス化による分析ユーザーの広がりの可能性について見てきましたが、やはり組織の全員が同じレベルで分析タスクに携わるのはかなりの困難を伴います。業務内容によっては、レポートは参照にとどめ適切なアクションを取ることに専念したい人もいるでしょうし、また既存のレポートでは充分ではないためカスタマイズが必要な人もいるでしょう。

ここでは、以下の図をもとに、モダン分析を指向する組織での分析タスクの広がりやユーザーの役割分担について、ユースケースを見ていきましょう。

ユーザーのニーズと役割に応じて分析タスクを振り分けるモダン分析

上の図では、想定される分析ユーザーとして、CreatorsExplorersViewers という 3 つの異なるタイプが登場しています。組織により分析タスクに対する成熟度は大きく異なり、これら 3 つのタイプの構成比もまた異なることが一般的です。それぞれのタイプを紐解いていくことにより、組織へモダン分析を浸透させていくためのヒントが見つかります。

  • Creators: データ利用環境を整え、組織全体のデータ活用をリードする人たち
    • 組織のデータ管理に責任を持ち、認証済みのデータソースやワークブックを組織に展開する
    • モダン BI のフローやプロセスに精通し、また分析のエキスパートである
    • モダン BI が組織に定着することに責任を持つ IT 部門の構成員であることが多い
  • Explorers: 自身の業務課題に応じたレポートを作成し、組織への展開を図る人たち
    • 認証済みコンテンツを利用しながら、自身の業務課題に対する答えをセルフサービスで見つける
    • 有用な分析結果やレポートをアドホックコンテンツとして組織に展開し、データ利活用の活性化を促進する
  • Viewers: 展開されたレポートを参照しながら、データ活用による効率的な組織運営を行う人たち
    • 認証済みコンテンツやアドホックコンテンツを参照しながら、迅速な意志決定を行い、自身の業務を効率的に進める

多くの組織では Viewers が多数を占めますが、この Viewers 層に対するモダン分析の浸透度が成熟度を測るバロメーターの一つとなります。このようなコンテンツ (レポート) の参照が日常の業務プロセスに組み込まれた組織は、データに基づく意志決定が定着し、ビジネスのスピードや質が大幅に向上しています。このような新しい世界がモダン BI の導入により可能となります。

Tableau では、このような理想的なユースケースに柔軟に対応できるよう、各タイプに対応したライセンスモデルを採用しており、全組織へのモダン BI の導入を可能としています。

組織の分析ニーズに柔軟に対応するTableauのライセンスプログラム

シリーズ第 2 回の予告

次回は、モダン分析を導入するにあたり、分析の要である「データ」に対してどのような戦略を持つべきか、皆さんと一緒に考えていきたいと思います。どうぞご期待下さい!