2024/09/30

EMD Serono 社が Tableau の AI を活用したパーソナライズされたインサイトを活用して患者ケアを改善した方法

大手バイオ医薬品企業で、Tableau と Tableau Pulse がどのように革新的な分析ソリューションの提供を支援しているかをご覧ください。

Suresh Martha 氏は、AI の進歩によって急速に進化している 2 つの業界、つまりビジネスインテリジェンスとバイオ医薬品/ヘルスケアが交わる領域で活躍しています。Merck KGaA 社 (ドイツ、ダルムシュタット) のヘルスケア事業である EMD Serono 社 (米国) で、データドリブンイノベーション & アナリティクス部門の責任者を務めています。Suresh 氏は、コマーシャルレポートやメディカルレポート、データサイエンスにフォーカスしたチームを率い、営業やマーケティングから患者サポートプログラムまで、組織全体をサポートしています。

Suresh 氏は、Dreamforce で行った講演において、自らが率いるチームが Tableau (Tableau Cloud の一部である、AI を活用した Tableau Pulse を含む) を活用し、革新的な分析イニシアチブを通じて業務効率と患者ケアの改善に取り組んでいる様子を紹介しました。彼らの目標は次のとおりです。

  • セルフサービス分析を強化し、アドホックなリクエストを削減する。
  • データに詳しくないユーザーによる分析の導入を促進する。
  • AI を組み込むことで、新たなインサイトを自動的に明らかにする。
  • 業務フローにインサイトを組み込む。

EMD Serono 社は、機械学習と AI を活用したイノベーションに長年取り組んでいます。Suresh 氏と分析グループは長年にわたり、営業チームやマーケティングチームを支援するための予測モデルを運用してきました。医師ネットワークの処方行動を分析することで新規リードを予測し、新規顧客 (または優良顧客) となる可能性のある類似のプロファイルを見つけようとしています。また、営業活動のインタラクションを分析し、さまざまな顧客プロファイルに適したリードを生み出しています。

生成 AI は、Suresh 氏のチームがすでに投資してきた分析ソリューションを効率化するための大きな可能性をもたらしました。「Tableau Pulse に移行することで、過去 8 年間に社内で構築してきた多くの作業がより簡単に行えるようになりました」と Suresh 氏は語ります。

自然言語による迅速な分析の促進

EMD Serono 社の営業担当者の多くは、顧客に関するインサイトを得るために、15 分から 20 分かけて複数のレポートに目を通しています。どの薬が最も処方されているのか、それを処方している医師は誰か、そして各医師が特定の薬を服用している患者を何人抱えているのかを把握するには、通常 3 ~ 5 種類のレポートを確認する必要があります。これを毎回の顧客対応の前に行うとしたらどうでしょう。

Tableau Pulse を使えば、営業担当者は自然言語で質問するだけで、必要なデータを探すためにさまざまなレポートを行き来することなく、即座に回答を得ることができます。「担当者はこの機能に非常に満足しています」と Suresh 氏は述べます。「特に、移動が多いため、スマートフォンからインサイトにアクセスできる点が好評です。」

自然言語を使うことは、ダッシュボードの操作が苦手な人にとっても、必要な情報を見つけるのに便利です。Suresh 氏は、ダッシュボードを解釈することなく、理解しやすいインサイトを求めているユーザーは、社内 (および業界全体) の 20 ~ 25% に上ると推定しています。こうしたユーザーの現状に応えるため、Suresh 氏のチームは、ユーザーがただ質問するだけで回答が得られるように (しかもそれが平易な英語で行われるように) しています。

「新しいツールを提供することで、すべての従業員が直感に頼るのではなく、データを活用して情報に基づいたビジネス上の意思決定を行えるようにしています」と Suresh 氏は語ります。今望んでいるのは、1 年以内に Pulse が広く採用されることです。

こうした取り組みにより、レポートを作成するためのアドホックなリクエストが最小限に抑えられ、データに詳しくない従業員でも、関連する指標を自分でモニタリングできるようになります。Suresh 氏と彼のチームは、堅牢なデータレイクと既存のインフラストラクチャを基盤に、従業員が Pulse を通じてその場で質問できるように取り組んでいます。これにより、Suresh 氏のチームに頼らなくても、誰もが小規模なアドホックなリクエストで結果を得ることができます。

AI の力で隠れたトレンドを浮き彫りにする

EMD Serono 社の分析グループのもう一つの取り組みは、Tableau Cloud にデータを取り込み、Pulse が AI を使って発見できる内容、特にダッシュボードを自分で調べるだけでは得られない新たなインサイトを検証することです。

Tableau の AI は、治療のあらゆる段階のデータを見ることで、チームがよりよいケアの機会を特定し、医師や患者が直面するボトルネックを軽減するのを支援します。たとえば、特定の医師や、薬の提供プロセスのある段階が、遅延の原因になっていることはないでしょうか? あるいは、必要な薬が入手できるまでの所要期間を最短にするにはどうすればいいでしょうか?

Examples of the Tableau Pulse interface with mock data seen across four mobile devices that represent a look at EMD Serono's drug referrals and turnaround time from a prescription to the customer receiving their medication.

EMD Serono 社の従業員は、スマートフォンで Tableau Pulse にアクセスし、薬の照会件数 (左の 2 つの画像) や、処方から配送までの所要時間 (右の 2 つの画像) などの指標を簡単に確認できます。注: これらの画像のデータは模擬データです。

業務フローにインサイトを組み込む

Suresh 氏と彼のチームは、人々がすでに使用しているツールに、パーソナライズされ、状況に応じたインテリジェントなインサイトを提供することの価値を理解しています。Tableau が推進している取り組みの一つは、チームが「次善のアクション」と呼ぶものです。

これは、各営業担当者に、それぞれの地理的な場所に関連するデータと機械学習モデルの出力に基づいて、毎日いくつかの実用的なインサイトを送信するというものです。これにより、営業担当者は自ら探す手間をかけなくても、担当の営業エリアで何が最も重要なのかを把握できるようになります。

たとえば、営業担当者は、医療機関に一定の間隔で均等に電話をかけるのではなく、データドリブンな提案をもとに、対応に優先順位を付けて最適化することができます。Tableau によって実現されるこのような効率性の向上は、大きなメリットをもたらします。

もう 1 つのイノベーションは、Tableau REST API を活用したもので、外出先でも顧客情報にアクセスできる同社の能力が変革されました。社員の大半が Outlook に多くの時間を費やしていることを踏まえ、Suresh 氏と彼のチームは、Tableau 環境にサインインすることなく、社内の誰もが顧客に関する PDF レポートをメールで受け取れるソリューションを開発しました。

Suresh 氏は、「Tableau はレポートツールであるという考えで頭が固くなっている人もいますが、Tableau には数多くの便利な機能があり、その多くはすぐに使える状態で提供されています。これを独自のソリューションと組み合わせることで、組織に大きなメリットをもたらします」と述べています。

AI 分析を導入する組織へのアドバイス

Suresh 氏は、組織に AI 分析ソリューションを導入しようとしている企業に向けて、貴重なアドバイスを提供しています。AI が、以下のようないくつかの要素に依存していることを忘れないことが重要です。

  1. インフラストラクチャアーキテクチャ: AI モデルをサポートするための、十分なコンピューティングパワーと適切なアーキテクチャが必要です。
  2. データ: 「ごみを入れたらごみしか出てこない」という言葉を耳にしたことがあると思います。正確な情報を得るためには、AI モデルはクリーンかつ非常に粒度の高いデータを必要とします。
  3. ガバナンス: 特に医療のような規制の厳しい業界では、データを保護し、生成 AI の使用を管理するためのガードレールを整備する必要があります。

「原則とガードレールに気をつけていれば、モデルが生成するものの多くは有益なものになり得ます」と Suresh 氏は付け加えました。「すべては、ガイダンスをどのように受け取り、そのアウトプットをどのように実行するかにかかっています」

Tableau Pulse は、Suresh 氏が AI を活用して新たな効率性の獲得と成果の向上を目指すという、同社のより広範な目標の達成に役立っています。Tableau チームは、彼の革新的なチームと組織が次に何を達成するのか、期待を持って注視しています。

Dreamforce での Suresh 氏のプレゼンテーションをご覧ください。Salesforce+ でオンデマンド配信中です。

詳細については、Tableau Pulse のページをご覧ください。また、Tableau Cloud の無料トライアル版もぜひお試しください。


 

免責事項: 本記事に記載されている見解および意見は、著者および取材対象者のものであり、必ずしもその雇用主の見解や立場を反映するものではありません。

EMD Serono 社、データドリブンイノベーション & アナリティクス部門の責任者、Suresh Martha 氏の顔写真

Suresh Martha 氏は、Merck KGaA (ドイツ、ダルムシュタット) のヘルスケア事業部門である EMD Serono 社 (米国) で、データドリブンイノベーション & アナリティクス部門の責任者を務めています。データからインサイトとアクションを生み出し、患者の転帰を改善し、ビジネスの成長を促進することに情熱を注ぐ、データプロフェッショナルのチームを率いています。Suresh 氏は、データウェアハウスとビジネスインテリジェンスの分野で 19 年の経験を持ち、BI システムの設計、計画、戦略実行において豊富な経験を持っています。

EMD Serono 社 (米国) は、Merck KGaA (ドイツ、ダルムシュタット) のヘルスケア事業部門であり、意義のある治療法の開発と提供を通じて人々の生活に変革をもたらすために尽力しています。同社は、不妊症、多発性硬化症、がんといった治療困難な疾患を抱える人々の生活を創造、改善、延長することを目指しています。