2018 年の BI トレンド Top 10

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BI ソリューションは急速に進化しています。今日まで使えていたソリューションも、明日には改善が必要となるかもしれません。Tableau は、自然言語処理やデータ保険分野の成長などについて、お客様と社内スタッフにインタビューを行い、2018 年の話題となりそうな影響力の強い 10 のトレンドをまとめました。データロックスターや、IT 部門のエキスパート、社内の BI 体制を構築している企業のエグゼクティブなど、さまざまな役職の方でも、これらのトレンドを理解すれば、組織をワンランク上にレベルアップするための重要な戦略が見えてくるはずです。

1 AI は怖くない

アナリストの助けとなる機械学習

世間では、機械学習によってディストピア (反ユートピア) が実現してしまうのではという懸念が広がりつつありますが、その一方で研究は進み、テクノロジーも進化し続け、機械学習はアナリストを助ける有益なツールとして急速にその地位を確立しつつあります。実際に、機械学習はアナリストにとって究極のアシスタントとなります。

たとえば、あなたがアナリストだったと仮定しましょう。ある製品の価格変動の影響をすぐに確認するために、データを線形回帰分析しなければなりません。Excel や R、Tableau が出てくる前は、すべてを手作業で行わなければならず、分析作業に数時間を要したはずです。しかし現在では、機械学習のおかげで、数秒とは言わないまでも、わずか数分で製品の消費量がわかります。こうした分析を手間なく行えるようになれば、さらに別のテーマについて分析を進めることができます。たとえば特定の月の消費量が高いということが判明した場合、それが祝日などの外部要因によって生じているのか、あるいは新製品が出たからなのか、製品の購入や認知度向上に影響するようなニュース報道があったからなのか、という具合に多角的な視点で分析することができます。こうした利点を考えると、回帰分析に時間をかけるべきだとは思えなくなるでしょう。

山のようにたくさんの課題を抱えていて、誰かの力を借りなければ答えを出せないような場合に、機械学習は力を発揮してくれます。

機械学習は、2 つの点でアナリストの助けとなります。第 1 に、効率です。先ほどの例では、アナリストが基礎的な数式処理に貴重な時間を費やさなくても済むというメリットを紹介しましたが、その結果、時間の余裕が生まれて、価格変更によるビジネスへの影響を考察したり、次に打つべき対策を論理的に考えられるようになるでしょう。第 2 に、アナリストがデータ分析の流れを止めることなく考えを巡らすことができるようになります。時間をかけて数値計算をする必要がないため、空いた時間で新たな課題を分析できるのです。これを、スタッフソフトウェアエンジニアである Ryan Atallah は「山のようにたくさんの課題を抱えていて、誰かの力を借りなければ答えを出せないような場合に、機械学習は力を発揮してくれます」と表現しています。

機械学習は、いずれアナリストの分析作業を補助する存在となることでしょう。しかしここで覚えておきたいのは、機械学習が役に立つのは、結果が明確に定義されている場合のみだということです。Tableau のスタッフプロダクトマネージャーである Andrew Vigneault は、「機械学習は、主観的なデータに対しては効果を発揮しません」と言います。たとえば、製品の満足度について顧客調査を実施する場合、機械学習では「質」を表す言葉はうまくピックアップできないことがあります。

また、アナリストが成功指標を理解していなければ、データの意味合いを正しく把握し、適切な行動を起こすことはできません。言い換えると、ただデータを機械に入力するだけでは、意義のある結果は出せないということです。データの持つ意味合いは、適切な量の背景情報を補わない限り理解できません。つまり、単に機械学習を行うだけでは有意義な分析は行えないのです。分析をするときは、この点を念頭に置き、常に適切な分析基準を設け、入出力されるデータの性質を理解しておく必要があります。

自分の仕事が機械学習に取って代わられるのではないかと恐れている方もいるかもしれませんが、現実的には、機械学習はアナリストを支援するもので、効率や精度を高め、ビジネスへの影響力を強めてくれるものです。機械学習のテクノロジーを怖がることなく、それによって広がる可能性を受け入れていきましょう。

IDC 社は、AI と機械学習のシステムから得られる収益の総額が、2020 年までに 460 億ドルに上ると予測しています。

2020 年には、AI による雇用の純創出はプラスに転じ、180 万人の雇用が失われる一方で 230 万人の雇用が創出されるでしょう。(ガートナー社)

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2 リベラルアーツの影響

分析業界におけるリベラルアーツ (人文・社会科学) 系人材の活躍

分析業界はデータを扱うスキルに長けた人材を求め続け、企業は分析チームのレベル向上を目指していますが、実のところ、必要な人材は私たちのごく身近にいるのかもしれません。読者の皆さんもご存知のとおり、リベラルアーツとストーリーテリングによってデータ分析業界は発展しましたが、これは驚くことではありません。驚くべきことは、従来は IT プロフェッショナルやパワーユーザーの専売特許だった分析ダッシュボードの作成というテクニカルなものが、ストーリーテリングの手法に長けた一般ユーザーの手に渡ったことです。ストーリーテリングは、元来、リベラルアーツ系のスキルでした。さらに企業では、データやインサイトを利用して画期的な変化を起こし、人文科学や説得力を駆使して変革を促すことができる人材を雇用しようとする動きが高まっており、分析以外のスキルも注目されるようになっています。

テクノロジーのプラットフォームが簡単に操作できるようになればなるほど、テクノロジースペシャリストの出番は減っていきます。つまり、深い技術的なスキルがない人でも、必要とあらばデータを活用できるということです。こうした事情を受け、データを扱う人材が不足していた業界や企業では、リベラルアーツ系など幅広いスキルの人材が採用され、ビジネスに影響を及ぼすようになりました。データ分析を重視する企業が増え、リベラルアーツ系のデータ管理者が活躍するようになれば、企業でも「従業員を支援し、その士気を高めることこそが競争力の強化につながる」という認識が定着するようになるでしょう。

新世代のデータ管理者の採用が広く求められるようになった一方、一部のテクノロジー企業でも、創設者が人文系出身者であるケースや、リベラルアーツ系出身者がビジネスに大きな影響をもたらしているケースが確認されています。たとえば、Slack、LinkedIn、PayPal、Pinterest など、高い業績を上げているテクノロジー系企業の創設者や重役が挙げられます。

ある程度のスキルがあればダッシュボードを作成し分析を行うことはできますが、教えることのできない部分もあります。それは、データでストーリーを語る方法です。

テクノロジーを中心に扱う企業にリベラルアーツのスキルを持ち込んだ好例が、Scott Hartley 氏の近著『The Fuzzy and the Techie』に書かれています。日産自動車では、人間と機械のやり取り、特に自動運転車と人間のやり取りに関する研究のため、人類学の博士号を持つ Melissa Cefkin 氏を雇い入れています。自動運転車の技術開発は大きく進化を遂げましたが、それでもなお、人間と機械が共存する環境においては課題が残されています。たとえば、全方向一時停止の標識がある道では、人間なら通常その場その場で状況を判断しますが、その判断を機械に教えるのは不可能に近いことです。このような問題を解消するために、Cefkin 氏は人類学の知識を活かして人間の行動パターンを分析するように依頼されました。そして、自動運転車に習得させるべき人間の行動パターンを特定し、逆にそれを自動車に乗っている人間に伝えました。

分析技術が進化し、科学的アプローチから人文科学的なアプローチへとシフトするにつれて、求められる能力も変化しています。つまり、単にデータを提供するだけでなく、意思決定の決め手となるようなストーリーをデータに基づいて構築する力が求められるようになっているのです。企業や組織は、従来よりもはるかに大規模なデータを抱えるようになっており、ストーリーテリングやデータを形にすることに重点が置かれるようになるのも当然の成り行きです。データのストーリーテリングの黄金時代が到来した今、あなたの会社にもきっと次の大きなインサイトを発掘できる「データストーリーテラー」がいるはずです。

テクノロジー系の企業に採用されるリベラルアーツ系卒業者数の増加率は、テクノロジー系の卒業者より 10% 高くなっています。(LinkedIn 社)

Fortune 500 企業の CEO の 3 分の 1 はリベラルアーツの学位を持っています。(Fast Company 社)

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3 自然言語処理の展望

自然言語処理の展望

2018 年には、自然言語処理 (NLP) が広く普及し、さらに進化し、至る所で利用されるようになるでしょう。開発者やエンジニアが NLP の研究をさらに進めれば、いずれは NLP 未導入の分野でも NLP の採用が増えることが見込まれます。Amazon Alexa、Google Home、Microsoft Cortana などが一般に利用されるようになってきたことで、ソフトウェアに話しかければ希望通りのことをしてもらえるという認識が浸透してきました。たとえば「Alexa、イエローサブマリンをかけて」と話しかければ、ビートルズのヒット曲をキッチンで聞きながら夕食の調理ができます。同じことがデータの世界でも行えるようになり、誰でも簡単に質問をして、手元のデータを分析できるようになりつつあります。

ガートナー社は、2020 年には分析クエリの 50% が検索、NLP または音声を介して実行されるようになると予測しています。つまり、移動中の CEO がモバイルデバイスに向かって、「ニューヨークでホッチキスを購入した顧客の総売上」を出し、「直近 30 日の注文」でフィルターをかけ、「プロジェクト責任者の部門」ごとにグループ化するように声で指示して、簡単に結果を確認できる日がすぐにやって来るのです。あるいは、あなたの子供が通う学校の校長先生が、「今年の生徒の平均点」を計算して、「中学 3 年生」でフィルターをかけ、「先生の教科」ごとにグループ化するように声で指示できるようになります。つまり、NLP があれば、データに関する細かい質問をしても、それに応じた答えが得られるようになり、日々より良い情報を得て、より良い意思決定ができるようになります。

アナリストは NLP によって新たな発見を得るだけでなく、自分の分析に自信を持つことができるのです。

開発者やエンジニアも、人々がどのように NLP を使うのかについて、研究と理解を大幅に深めるでしょう。研究のテーマは、「人々がどのように質問をするのか」ということです。たとえば、「どの製品の売上が最も高いのか」のように、すぐに答えが出せる質問から、「このデータから何が得られるかわからないが、とにかく自分の部門の業績を知りたい」といったデータ探索目的の質問まで、さまざまなケースが考えられます。Tableau のスタッフソフトウェアエンジニアである Ryan Atallah も、「質問の内容は、ユーザーが質問をしたときの背景事情と強く結びついている」と指摘しています。エンドユーザーがモバイルで利用している場合、すぐに答えが得られる質問をする可能性が高くなります。それに対して、デスクでダッシュボードを見ている場合は、データを探索してより深い質問の答えを探ろうとする可能性が高くなります。

多種多様なワークフローを理解し、NLP によって補強できそうなものを数多く見つけることができれば、分析の効果も最大限に高まります。Tableau のスタッフソフトウェアエンジニアである Vidya Setlur も「曖昧さが大きな課題」であると言っていますが、ワークフローを理解することが、特定の質問の入力そのものよりも重要になってきます。データについて同じことを問うのに質問の仕方がいくつかある場合 (たとえば「今四半期に最も売り上げがあったのはどの営業担当者か」と「今四半期に最も売り上げがあったのはだれか」など)、エンドユーザーは「正しい」質問の仕方を考えることなく、ただ答えを知りたいと思うものです。

つまり、あらゆる状況に NLP を取り込もうとするのではなく、適切なワークフローで利用できるようにすることで、利用者が NLP を自然に使えるようになり、可能性も広がると言えます。

エンタープライズアプリケーションを利用して日常的な作業を行っている労働者の 75% は、2019 年までにスキルとノウハウを補完するインテリジェントなパーソナルアシスタントを利用できるようになるでしょう。(IDC 社)

企業の 50% 以上は、2021 年までの間に、従来型のモバイルアプリの開発より、ボットやチャットボットの開発により時間を割くようになるでしょう。(ガートナー社)

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4 マルチクラウドをめぐる議論

加熱するマルチクラウドの議論

2018 年に向けて、マルチクラウド戦略に関する調査や評価を行う企業は、増えてくるでしょう。

Tableau の最高製品責任者である Francois Ajenstat は、次のように言っています。「データをクラウドに移行したり、コアアプリケーションをクラウドに移行したりする企業が圧倒的に増えています。リフト & シフト方式でとりあえず移行するケースも、プラットフォームを再構築するケースもありますが、いずれにしても従来よりはるかに速いペースでお客様の環境にクラウドが導入されています」

ガートナー社の最近の調査によれば、「マルチクラウド戦略を掲げている企業は現在は 10% 未満ですが、2019 年には 70% になる」と予想されています。また、将来のニーズに対応できない旧式の単一ソフトウェアソリューションを使い続けることに、懸念を抱くお客様も増えています。しかし、切り替えや移行は、同様の機能を持つ API や Linux、Postgres、MySQL などのオープン標準の利用により、比較的容易になりつつあります。

データセンターの設計と運用の評価を行っている企業も少なくないでしょう。IT 部門はリスク、複雑性、スピード、コストなど、さまざまな基準でホスティング環境を評価していますが、こうした要素を考慮すればするほど、組織のニーズすべてに応えてくれる統合ソリューションを見つけるのは困難になります。

マルチクラウド環境を評価、導入すると、最高のパフォーマンスと自社の状況に応じたサポートを提供してくれる事業者を判断しやすくなります。Boston Herald 社によれば、GE 社ではクラウドホスティング戦略の見直しを行い、Microsoft Azure と Amazon Web Services の両方を利用しています。その目的は、最もパフォーマンスに優れたホスティング環境を見極め、顧客に最も安価なコストでサービスを提供できそうなクラウドを見極めることにあります。

マルチクラウドやハイブリッドクラウドの戦略は、リスクを軽減し、顧客により豊富な選択肢と柔軟性を提供するうえで、ますます重要になりつつあります。

しかし、マルチクラウドに移行する際には、移行によるメリットと、その課題の両方をしっかり認識しなければなりません。柔軟性は 1 つのメリットですが、マルチクラウド環境では、組織のワークロードを複数のプロバイダーに分散することによって、間接費が増加します。そして、マルチクラウド環境では、社内の開発チームは複数のプラットフォームについて習熟することが求められ、サポート対象のそれぞれの環境に応じてガバナンスのプロセスを余分に設けなければなりません。

さらに、マルチクラウド戦略によって、企業や組織の購買力が減退する可能性もあります。購入先を複数のプロバイダーに分割したことで、ボリュームディスカウントが受けられなくなる場合があるからです。そうなると、選択肢が狭まるばかりか、不利な価格でサービスを購入することになります。

ここで紹介したガートナー社のデータを始め、さまざまな調査や統計でマルチクラウドの導入が拡大していることが示されています。しかし、特定のプラットフォームがどの程度導入されているかは示されていません。マルチクラウド利用している組織の多くは、プロバイダーの 1 社を大半の用途に利用し、その他のプロバイダーの利用をわずかに控えています。ただし、こうした利用事例のほとんどのケースで、第 2 のクラウドホスティング環境は、メインのクラウドホスティング環境で障害が発生したり対応できないことがあったりした場合のバックアップとして導入されています。

マルチクラウドは 2018 年に導入件数が増加すると見込まれていますが、マルチクラウドを導入した組織は、各クラウドプラットフォームの導入割合や、社内での使用状況、ワークロード要件を測定し、導入コストを加味しながら、クラウド戦略を評価していく必要があります。

2019 年までに、企業の 70% がマルチクラウド戦略を導入するでしょう。(ガートナー社)

テクノロジー企業の最高財務責任者の 74% は、クラウドコンピューティングが 2017 年の自社のビジネスに非常に大きな影響を与えると予測しています。(Forbes 誌)

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5 最高データ責任者の台頭

最高データ責任者 (CDO) の台頭

データと分析は、どの組織にとっても最重要課題となりつつあります。このことに議論の余地はありません。組織が発展すれば、分析に関して従来より高度な戦略的目標や説明責任が課されるようになるでしょう。

これまでは、BI に関する取り組みは、そのほとんどが最高情報責任者 (CIO) の担当でした。CIO は、組織全体のデータ資産の標準化、一元管理、ガバナンスについて監督し、これらについては一貫したレポートが必要でした。このため、BI 関連のイニシアチブ (データガバナンス、分析モデルの構築など) は、CIO の管轄である戦略的課題 (IT アーキテクチャ、システム、セキュリティ、ネットワーク戦略など) と競合することになり、そのために BI の成果や影響が十分に出ない結果となることも少なくありませんでした。

場合によっては、インサイトを速やかに引き出したいビジネス部門と、データのセキュリティやガバナンスを担う CIO との間に溝が出来るケースもありました。こうした事例を踏まえ、今ますます多くの企業が、「分析に投資し、データから有益なインサイトを引き出すには、経営幹部が責任をもって分析文化を築くことのメリットを訴え、実証していく必要がある」と考えはじめており、組織のあらゆるレベルで、ビジネスプロセスの変革を主導し、文化的障壁を乗り越え、分析のメリットを伝える担当者として、最高データ責任者 (CDO) や最高分析責任者 (CAO) を任命する組織が増えています。これにより、CIO は、データセキュリティなどの課題を、より戦略的に解決していけるようになります。

私の仕事は、ツールとテクノロジーを導入してチームに力をもたらすことです。

現在 CDO や CAO に任命された人達が、自らの責任において業績向上に努め、ビジネスへの影響を把握、説明していますが、こうした傾向は、現在の企業組織にとって、データや分析が戦略的価値を持っていることの表れと言えます。経営幹部たちは、分析戦略をどのように展開していくかについて、先を見越した話し合いを始めており、リクエストされるのを待つという受け身の姿勢から脱却しています。彼らが考えているのは、「どうすればビジネス部門からの依頼を先読みできるか、どうすれば依頼を受けたときに迅速に対応できるのか」という点です。

今企業は、こうした経営幹部陣の下で効果的なチーム運営を行っていくために、ますます多くの資金やリソースを投入しています。ガートナー社は、2020 年までには大企業の 80% で、CDO を中心とした組織が形成されると予測しています。現在、CDO 組織に属する従業員の平均人数は 38 人ですが、調査対象の 66% の企業が、この組織に割り当てられる予算は拡大すると予想しています。

Tableau のマーケットインテリジェンスディレクター、Josh Parenteau は、CDO の役割は「結果重視」だと言います。「単にデータをデータウェアハウスに置いて、誰かが使ってくれることを期待するのではなく、用途を明確にし、確実にユーザーがメリットを得られるようにする必要があります」と言うのです。結果を重視する姿勢は重要であり、ガートナー社が 2016 年に行った CDO 調査でも、CDO の目標トップ 3 (顧客との親密な関係の構築、競争優位性の強化、効率性の向上) はいずれも結果を重視したものでした。こうした目標に刺激を受けた Wells Fargo、IBM、Aetna、Ancestry などの企業は、ワンランク上のデータ戦略を実現するために CDO を導入しており、CDO を中心に 2018 年のビジネスを展開しようとしています。

2019 年までに、大企業の 90% は CDO の役職を導入するでしょう。(ガートナー社)

2020 年までに、業界をリードする組織の 50% は CDO のポジションを用意し、CIO と同等の影響力と権限を与えるようになるでしょう。

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6 ガバナンスのクラウドソーシング

データガバナンスの将来はクラウドソース型

モダン BI のあり方は進化しています。かつてはデータやコンテンツはユーザーにとって手の届かない存在でしたが、今ではユーザーがどこにいても、適切に管理されたデータを利用してインサイトを引き出せるようになりました。そして、さらにユーザーがさまざまな状況でデータを利用するようになったことで、優れたガバナンスモデルを構築するためのフィードバックがユーザーから寄せられるようになり、これが組織にとって大きな力となっています。

セルフサービス分析は、単に BI の世界に大きな変化をもたらしただけではありません。このパラダイムシフトにより、誰もが分析を行えるようになり、組織の至る所で重要な質問を立て、その答えを自分で見つけられるようになっています。ガバナンスの分野でも、同様の革新的な変化が起こっています。セルフサービス分析の幅が広がるにつれて、価値のある情報や見解が収集され、そこから、データをよりよく管理するための新しく革新的な手法が生まれているのです。

ガバナンスとは、集合知を活かして、適切なデータを適切な人に届けること、そして、不適切な人から発信されたデータを遮断することです。

ガバナンスとは、集合知を活かして、適切なデータを適切な人に届けること、そして、不適切な人から発信されたデータを遮断することです。

ビジネスユーザーにとって、データセキュリティに関する責任は、極力背負いたくないものですし、適切なガバナンスポリシーがあれば、ビジネスユーザーは自分で質問をして、その答えを得ることができ、必要なデータを必要な時に見つけることができます。

今後は、BI 戦略や分析戦略に最新のガバナンスモデルが採り入れられるようになるでしょう。IT 部門やデータエンジニアがデータを収集してまとめ、信頼性の高いデータソースを準備し、さらにセルフサービスが主流になることで、エンドユーザーは信頼性と安全性を備えたデータを自由に探索できるようになります。今後は、IT 管理のみに主眼を置いたトップダウン型のガバナンスプロセスではなく、IT 担当者とエンドユーザーが協力し合い、相互の能力を活かしてガバナンスプロセスを作ることになるでしょう。両者が協力すれば、ガバナンスの対象として最も重要なデータを特定し、セキュリティを犠牲にすることなく、分析のビジネス価値を最大限に引き出すことができるルールとプロセスを策定できます。

データユーザーの 45% が、自身が作成したレポートのうち、質の高いデータを使えたのは全体の半分未満だったと述べています。(Collibra 社)

経営幹部の 61% が、自身の所属する組織ではデータにもとづいた意思決定があまり (またはほとんど) を行われていないと述べています。(PwC 社)

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7 データ保険

データ保険によって脆弱性に対応

多くの企業にとって、データはきわめて重要なビジネス資産です。しかし、そのデータの価値はどのように算定するのでしょうか。データが紛失や盗難にあった場合、どうなるでしょうか。著名企業で最近起こったデータ侵害事件を見るにつけ、企業のデータに対する脅威は、大きな打撃となりかねず、ブランドに対して回復不可能なまでのダメージを与える可能性をはらんでいると言えます。

Ponemon Institute による 2017 年の調査では、データ侵害による被害総額の平均は、360 万ドルと推定されています。

しかし企業では、データの保護や保険について、できる限りのことを行っているのでしょうか。データ侵害に対応して急速に成長している業界の 1 つが、サイバーセキュリティ保険の市場です。この業界は、前年比 30% の成長率を実現しており、2020 年には年間の総計上収入保険料が 56 億ドルに達すると見られています (AON)。

データ侵害では、顧客の個人情報が公開されたり、ハッカーに盗まれたりしますが、そうしたデータ侵害に対する企業の責任を補うのがサイバーセキュリティおよびプライバシー保護に関する保険です。

しかし、このように市場が成長し、データ侵害による脅威が続いていても、データ侵害やサイバーセキュリティに対応する保険に加入している米国企業はわずか 15% です。しかも、保険に加入している 15% の米国企業の内訳を見ると、大部分が実績ある大手の金融機関です。

必要なのは、何が痛手になるかを判断することです。会社にとって本質的なリスクは何かということです。

金融機関が保険を必要とするのは自明なことです。しかし、データ侵害の脅威に影響を受けない企業はないのですから、このトレンドは他の業界にも広がっていくでしょう。

ガートナー社のアナリストである Doug Laney 氏が最近、『Infonomics: How to Monetize, Manage, and Measure Information for Competitive Advantage』という書籍を出版し、その中で、金融系、非金融系をはじめ、どの業界の企業にも応用できる、独自のデータ価値評価モデルを紹介しています。

非金融系の評価モデルは、データの実態価値、事業価値、パフォーマンス価値に焦点を当てたもので、これらの価値によって、その企業のデータの利用に関する独自性、正確性、妥当性、内部効率性、および総体的な影響度が測れます。

金融系のモデルは、データの原価価値、経済的価値、市場価値に焦点を当てたもので、これらの価値によって、データの取得や社内でのデータ管理にかかるコスト、およびデータの販売やライセンス供与による価値を測ることができます。

データが商品として扱われるようになれば、その価値は上昇の一途をたどることになるでしょう。そして、このデータという素材を使って、ビジネスを進化させ、他社をリードするためにはどうしたらいいか? といった質問や議論が生まれるはずです。そして、他の商品と同じように、盗難にあっても重大な結果に至ることがなければ、どんなに良いことでしょう。

データ侵害による平均総コストは 362 万ドルに上ると試算されました。(Ponemon)

データ専用の保険契約を結んでいるのは、米国企業のうちわずか 15% に留まります。(Ponemon)

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8 データエンジニアの役割

データエンジニアの重要性の高まり

1 つ確かなことがあります。ダッシュボードを構築するには、すべてのチャートが作成済みで、自分が伝えようとするストーリーを理解できている必要があります。また、次のような原則もおそらくご存知でしょう。信頼性の高いデータソースを確保するには、まず、システムに取り込まれるデータの種類とその取り出し方を理解しておく必要があります。

企業では今、データを利用してビジネス関連の意思決定が行われています。こうした中、データエンジニアは、今後も重要な役割を演じていくでしょう。2013 年から 2015 年の間には、データエンジニアの数が倍以上に増加しています。そして 2017 年 10 月現在、LinkedIn では「データエンジニア」という肩書きの求人が 2,500 件を超えており、この専門職に対する需要が引き続き拡大していることがわかります。

モダン分析プラットフォームでセルフサービスを実現するうえで、データエンジニアは欠かせない役割を果たします。

それでは、データエンジニアとは一体どのような役割で、なぜそれほど重要なのでしょうか。データエンジニアは、企業の事業運営や分析に必要なデータベースの設計、構築、管理について責任を負っています。言い換えれば、ビジネスの基盤となるシステムからデータを抽出し、インサイトの取得や意思決定に活用できる状態にするのが、データエンジニアの役割です。データとストレージの容量が増加するにつれ、さまざまなシステムやアーキテクチャについて深い技術的な知識を持ち、ビジネスユーザーの需要やニーズを理解できる人材が、これまで以上に重要になってきます。

さらに、データエンジニアには、特有のスキルセットが求められます。バックエンド、データの内容、どうすればデータがビジネスユーザーに役立つか理解し、さらにデータを利用できるように技術的なソリューションを開発できなければなりません。

Tableau のシニアリクルーターである Michael Ashe はこう言っています。「私はそれなりに経験を重ねてきました。技術系の採用に携わって 17 年以上になります。データとストレージの容量が増加の一途をたどってきたことは当然と言えるでしょう。実際、私はデータが飛躍的に増加するのを目の当たりにしてきました。データには常に何らかの調整が必要であり、ビジネスにも、この役割を取り入れる必要があります。データエンジニアは、データを巧みに活用し、ビジネス上の意思決定を助ける役割を担うのです。データエンジニアは間違いなく、今後も成長を続ける職種となるでしょう」

2016 年のガートナー社による調査では、データの低品質が原因で発生した損失額は、回答した組織の平均で年間 970 万ドルに上ったことが明らかにされています。

データサイエンティストとアナリストは、データのクリーニングと準備に最大で業務時間の 80% を費やすこともあります。(TechRepublic)

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9 モノの位置情報 (LoT)

モノの位置情報 (LoT) が IT イノベーションを促進

モノのインターネット (IoT) の普及によって、コネクテッドデバイスの台数は世界中で激増しています。これらすべての機器が情報をやり取りし、データを収集することで、「インターネットを介したつながり」をより良く活かせるようになります。実際に、ガートナー社は、2020 年までに消費者の利用できる IoT 機器の台数は 2 倍に膨れ上がり、「204 億台の IoT 機器がオンラインで接続されるようになる」と予測しています。

このように機器が増大しているのに対して、IoT データのユースケース、活用事例は、同じような望ましい経過をたどっていません。多くの企業は、セキュリティに関する懸念を感じていますが、その一方で、IoT データをサポートするのに必要な組織的スキルセットを持ち合わせていない、あるいは社内に技術的なインフラストラクチャやアプリケーション、プラットフォームを備えていない、といった問題を抱えています。

たいていの人は、位置や地理空間の情報を「範囲や規模」のようなものと考えています。つまり分析できるものです... 分析プロセスでそうした情報を利用するのが新しいトレンドです。

最近の傾向として好ましいのは、IoT 機器から得られる位置情報データがさまざまな用途に活用され、メリットを生み出しているという点です。この IoT のサブカテゴリである「モノの位置情報 (LoT)」は、IoT 機器に検知能力を与え、その地理的な位置情報を伝達するものです。IoT 機器がどこにあるのかがわかれば、何が起きているのかをより明確に理解し、特定の場所で何が起こるのかを予測するためのコンテキスト情報が得られます。

このようなデータの収集を模索している企業や組織では、さまざまなテクノロジーが利用されています。たとえば、病院や小売店、ホテルでは、屋内位置情報サービスを実現するために BLE (Bluetooth Low Energy) というテクノロジーの利用が始まっています。コンテキストを備えた位置情報の提供は、GPS では難しかった分野です。このテクノロジーを使用することで、特定の資産や人を追跡したり、スマートウォッチやバッジ、タグなどのモバイル機器と通信したりすることができ、個々のユーザーに応じた対応を実現できるようになります。

データ分析の観点から見れば、位置情報に基づく情報は、入力に対する結果の出力と見ることができます。アナリストも、データを利用できることによって、その情報を分析に盛り込むことができます。何が起きているのか、どこで起きているのかをより良く把握し、その状況でどのような事態が起き得るのかを、詳しく予測できます。

2020 年までに、IoT のエンドポイント数は 300 億に上昇するでしょう。(IDC 社)

IoT は爆発的に成長すると見込まれます。2020 年の年末には 50 億ドル規模を超えるでしょう。(ガートナー社)

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10 教育機関による投資

大学はデータサイエンスと分析のカリキュラムを強化

ノースカロライナ州立大学は、Master of Science Analytics (MSA、分析科学修士) 課程発祥の地です。MSA は Institute of Advanced Analytics (IAA) に属していますが、この IAA は「世界最高クラスの分析の専門家、すなわち大規模なデータモデリングのための複雑な手法や手段を修得した人材、(かつ) 難解な課題を解決しようという熱意をもった人材を育成する」というミッションを掲げるデータハブです。ノースカロライナ州立大学のプログラムでは、このタイプとしては初めて、データサイエンスおよび分析のカリキュラムに学術機関として先駆け的に大がかりな投資を行っています。

今年に入って、カリフォルニア大学サンディエゴ校は、同校として初めて、データサイエンスを学部の主専攻および副専攻科目として導入しました。それだけにとどまらず、卒業生からの寄付を受けて、データサイエンスの研究所を設立する計画も立案しています。これに倣う形で、カリフォルニア大学バークレー校、デービス校、サンタクルーズ校も、学生に提供するデータサイエンスや分析のカリキュラムを増やしていますが、その需要は予想を上回っています。それはなぜでしょうか?

私は学生のアイデアにいつも驚かされており、データを直感的に見て操作し、ビジュアライゼーションを作り上げられる様子には感心しています。

PwC 社の最近の調査によれば、2021 年までに雇用側の 69% が採用候補者に対してデータサイエンスおよび分析のスキルを求めるようになると予想されています。2017 年には、キャリア情報サイトを運営する Glassdoor 社が、「データサイエンス」が 2 年連続で「職業ランキングの第 1 位」になったことを公表しています。雇用側の需要も伸びており、いまや高度なデータ管理能力を持つ人材を集めることが、企業にとって急務の課題となっています。しかし、現実にはなかなか簡単なことではありません。同じ PwC 社のレポートでは、雇用側の求める水準に匹敵するスキルを持っているのは、大学出身者のわずか 23% とされています。MIT が最近実施した調査では、マネージャーの 40% が、分析スキルに長けた人材を採用するのに苦労していることが明らかになっています。

分析に関する専門知識は、もはや「あれば尚可」ではなく、必須のスキルとなっています。2018 年には、学生たちが現代の働き手として羽ばたくために必要なスキルを身に付けられるよう、さらに進んだ教育アプローチが増え、企業は、価値の高い情報を引き出すために、データ活用のアプローチをさらに洗練させていくでしょう。こうした状況の中、高度なデータスキルを備えた人材の需要は、なくならないどころか、さらに拡大していくものと予想されます。

2021 年までに企業の 69% は、求職者に不可欠なスキルとしてデータサイエンスとデータ分析を求めるようになるでしょう。(PwC 社)

MIT が最近実施した調査では、マネージャーの 40% が、分析スキルに長けた人材を採用するのに苦労した経験があることが明らかになっています。(MIT)

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