このブログは、UBS ロンドン支社のサービスとしてのアナリティクス部門でディレクターを務める、Paul Banoub 氏の寄稿です。Banoub 氏は、世界規模の Tableau 導入環境をゼロから構築し、ビジネス部門と IT 部門のユーザーがビジュアル分析を最大限に活用できるようにした経験を持ちます。vizninja.com (英語) と Twitter (@paulbanoub) では、企業環境への導入に関する Banoub 氏のアドバイスをさらに読むことができます。

Tableau との関わりは 5 年ほどになります。最初は Tableau が好きなユーザーでしたが、後にサイト管理者になりました。その後、今の組織から電話を受けました。サービスのあらゆる面で最終的な責任を負いながら、ゼロから Tableau 導入環境を構築してほしいと言われたのです。本当に大きなチャンスでした。

Tableau 導入のあらゆる部分を私が管理しました。ハードウェアやインフラストラクチャの設定から、アプリケーションの構成やサービスモデルまで、私が決定できました。この経験から、IT サービスマネジメントで今の私が持つスキルのほとんどを身につけることができ、それと同時に数千人のユーザーが優れたアプリケーションを利用できるようにもなりました。

ここで鍵となるのが「数千人」です。実際は数万人でした。Tableau を社内の 80,000 人のユーザー全員が利用できる、真にグローバルな分析プラットフォームにするということです。

そのためさまざまな課題が発生しましたが、中でも最大の懸念はスケーラビリティでした。スケーラビリティとは、増えていく作業量をシステムやネットワーク、プロセスが扱える能力、あるいはその増加に対応するための拡張能力のことだと言っていいでしょう。わかりやすく言えば、現時点では優れたアプリケーションであっても、組織全体で利用した場合にどうなるかということです。アプリケーションは (そしてユーザーも) 対処できるでしょうか。

これは大きなテーマであり、短いブログにまとめるのは難しいのですが、金融組織の IT サービス部門で管理職を務めた 20 年近い経験を基にして、考慮するべきポイントを次のカテゴリーに分けることができます。

インフラストラクチャ

実際には、この決定はすでに行われているかもしれません。多くの企業は仮想サーバー戦略を取っており、物理サーバーの導入には完璧に正当な理由が必要です。私自身は、仮想インフラストラクチャを支持します。導入も管理も簡単で、物理サーバーより優れた利点 (英語) が多いからです。環境はスケールアップしてサーバーを迅速に導入する必要があるため、管理しやすさは重要なポイントです。

次は、オペレーティングシステムを決める必要があります。当社は Windows サーバーを選びましたが、Linux 版 Tableau Server も登場したので、大企業にはそちらの方が魅力的でしょう。私は個人的に、Windows より Linux の方が信頼性が高いと思います。さらにセキュリティと優れたアップタイム (英語) という利点もあります。この分野では多くの企業が明確な戦略を備えているので、それに従えば、インフラストラクチャの要件が拡大したときにスムーズに対応することができます。

Tableau Server のアーキテクチャ

Tableau Server の拡張はとてもシンプルです。まず当初のコストは少額で、プラットフォームの利用が増えるに従って増大します。ほとんどの組織は 8 コアのシングルノードから始め、おそらく 16 コアへの拡張および RAM の増設でスケールアップした後、2 つ目または 3 つ目のノードを追加してスケールアウトします。詳しくは、Tableau が公開しているサーバー導入のベストプラクティス (バックグラウンダープロセスを専用ノードに分離するなど) をご覧ください。また、新しいライセンスモデルも検討する必要があります。

今後の問題を避けるために、テスト用の環境と、フェールオーバーが必要になった場合の同一のバックアップ環境に投資 (英語) してください。

Tableau にはモニタリングと管理のツールも数多く用意されているので、環境の拡張に合わせてパフォーマンスやキャパシティ、ユーザーエクスペリエンスを理解することができます。TabJoltTabMon などのツールのほか、ScoutLogshark など他のさまざまなアプリケーションのメリットを見逃さないようにしましょう。どれも無料で、実に役に立ちます。

また、アップグレードはするべきだと誰もが考えています。しかし、常に良いことだとは限りません。Tableau がアプリケーションに機能を追加すればするほど、インフラストラクチャへの要求は高くなっていきます。バージョンコントロール、他のユーザーのサブスクライブ、データドリブンアラート、Hyper といった機能により、サーバーに求められる情報の量は多くなります。各リリースで用意されているバージョンとスケーラビリティに関するドキュメントを読み、ハードウェアに対する要求の増大について理解してください。

さらに、クラウドについても触れておきます。組織の多くは、クラウドサービスをすでに利用しているか、利用する予定があるかのいずれかです。そこで知っておくべきことは、Tableau はクラウドの分野でも優れていることです。たとえば、SaaS (サービスとしてのソフトウェア) 製品の Tableau Online は、需要に応じて拡張できる環境として優れた選択肢になります。

Logshark によるイントロスペクション

TabMon によるイントロスペクション

サービスモデル

ユーザーが Tableau をどのように操作するかによって、スケーラビリティの課題は大きく変わります。私の組織の場合、選択したのは完全なセルフサービス、つまりユーザーが、必要に応じてコンテンツを作成しサーバーにパブリッシュできる自由度を持っている環境です。組織によっては、実稼働前のチェックポイントの役割を果たすサポートチームを設けているところもあり、それには確かにメリットがあります。しかし、完全なセルフサービスとはチームがボトルネックにならず、ユーザー数が増えるにつれて容易に操作できることを意味します。重要なのは、強力なガバナンスを実現できるセルフサービス (英語) を導入することです。

サポートチーム

Tableau には多くの機能があります。真のセンターオブエクセレンスを求める場合、優秀なサーバー管理者、優れた Desktop 担当者、ビジュアル分析に精通した人々が必要です。そしてそうした人々は、ユーザーが Tableau プラットフォームを最大限に活用 (英語) できるように支援したいという、情熱と意志を持っていなければなりません。そうした人々を集めたら、次は適所に配置する必要があります。また、世界中にユーザーがいる場合は、できるだけ多くのタイムゾーンに対応するように努めてください。そして、サポートスタッフ 1 人当たりに必要なユーザー数を理解するようにし、要求を予測して経営陣に伝えましょう。人員を増やすには非常に正当な理由が必要になります。

サポートのもう 1 つの重要な仕事は、すべてを自動化することです。チームが繰り返し行っているプロセスや作業があれば自動化しましょう。

ベンダーに対する期待

サービスが拡大するにつれ、Tableau により多くのことが期待されるようになります。ユーザーイネーブルメントとトレーニングを役立てるとともに、サポートチケットが効率的に処理されていることを確認してください。また、さらに追加の支援を得られる Tableau のプレミアムサポートプログラムや、臨時のコンサルティングサービス契約を検討してもいいかもしれません。ためらわずに助けを求めてください。Tableau は進んで支援を提供し、サポートの面で非常に大きな付加価値を提供することができます。

トレーニングとコミュニティ

絶対に欠かせないのが、最初に優れたコミュニティハブを取得することです。できれば、Jive、Workplace by Facebook、Convo などの優れた企業向けソーシャルプラットフォームを利用するといいでしょう。使い始めのユーザーに対しては、すべての初心者向けドキュメントを提供して、チームに基本的な質問をしなくても済むようにしてください。ベストプラクティスをまとめたドキュメントと、組織で Tableau を使用する際のルールも作成しておく必要があります。また、ユーザーに Tableau の機能と用途 (英語) を確実に理解してもらうことも大切です。

トレーニングの面では、ユーザーが初日から、自己学習用の公開されている幅広い教材を利用できるようにしてください。サービスが拡大し始めたら、正式なトレーニング実施計画 (英語) を設定し、補助として 1 対 1 の Tableau ヘルプセッションを社内で実施します。また、社内の Tableau チャンピオンプログラムも検討してください。ユーザーこそが最大の資産であり、最も熱心なユーザー (英語) は大きな助けになる可能性があります。

さらに、ユーザーを初心者から、データリテラシーを身につけた立派なアナリストへと育てるために、「プレイブック」とも呼ばれる正式な学習の道筋 (英語) を検討するのも良い考えです。やはり、環境のスケールアップと同じように、ユーザーもスキルを高める必要があるのです。

Tableau プレイブックの一例 (提供元: VizChic (英語))

コスト

サービスが普及するにつれて、コストも増大します。間もなく、ライセンスとメンテナンスのコストが目立ち始め、社内の複数の経理担当者が注意を払うようになります。また、競合他社もその状況に気づいて、独自のツールを導入しようと試みます。私は、そのような場面を何度となく見てきました。そこで、ハードウェアやソフトウェア、人件費、プロセスなど、サービスから生じる全コストを必ず追跡してください。すべてを記録して視覚化し、問い合わせがあった場合に情報を提示できるようにしておきましょう。

同種の製品と必ず比較してください。Tableau の場合は全機能がライセンス費用に含まれていますが、他のツールでは含まれていないこともあります。他の製品の方が低価格に見えても、おそらくそうではありません。他社製ツールと比較した、コストの詳しい内訳を用意しておいてください。必ず必要になります。

また、拡張するにつれ、チャージバックモデルでコストを回収し、利用されていないインフラストラクチャは解除して、購入したライセンスを確実に回収して利用していることを確認できます。

忘れてはならないのは、Tableau は組織に付加価値をもたらすということです。ビジネス上の利点を記録するために、使用事例を文書化し、ユーザーが得るあらゆる経済的な利益を示してください。

そこから、非常に大まかではありますが、Tableau 環境をどのように拡張するべきかが見えてきます。いつものように、詳細を喜んでお話しします。ご遠慮なくお問い合わせください。

まだ見ていない方は、Tableau の評価、導入、管理、拡張について詳しく解説した、オンデマンドセミナーシリーズ「モダン BI の進化の活用」をご覧ください。

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