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オフィス可視化サービス「EXOffice」のダッシュボードにTableauを活用、アフターコロナの安全な働き方をデータで支援


コロナ禍でさらに高まったオフィス可視化のニーズ

柔軟性の高さと組み込みやすさを評価しTableauを採用

新しいダッシュボードはニューノーマルな働き方を支える重要なツール

株式会社WHEREは、現実のできごとをそのままデジタル空間に再現する「デジタルツイン」の実現を通じて「業務アクティビティ」を可視化し、そこに現れる様々な課題を解決するIoTソリューションプロバイダです。同社が提供するIoTインフラ「EXBeaconプラットフォーム」が、様々なセンサーや機器、位置を測るタグなどと接続し、建物施設内の詳細な情報を常時収集します。IoTインフラは、膨大な接続機器からの高頻度でのアクセスに対応する必要があり、従来の情報ネットワークでは対応は困難です。そこで、「WHERE mesh」というBLE独自技術を開発することで、新たなIoTニーズに応えています。

WHEREではこのEXBeaconプラットフォームをベースに、オフィス向け、テレワーク向け、工場向け、物流倉庫向けなど、多岐にわたる分野別ソリューションを提供しています。その主力ソリューションあるオフィス向けの「EXOffice」において、データ分析用ダッシュボードにTableauを活用することに決定。その開発が急ピッチで進められています。

これまでにも経営判断などのためにデータ分析は行われてきましたが、これからのアフターコロナの時代には、従業員の安心・安全を直接守るためのデータ活用が不可欠になります。Tableauによって提供するダッシュボードは、ニューノーマルでの働き方を支える重要なツールになるはずです.

コロナ禍でさらに高まったオフィス可視化のニーズ

「EXOffice」は、オフィスのデジタルツインを実現するソリューションです。従業員が携帯する入退室カードやウェアラブルデバイス、物品に添付したタグなどを使い、人や物品の室内位置情報を収集。フロアマップに人やモノの位置をリアルタイム表示し、誰がどこにいるのか、何がどこにあるのかを可視化します。また、会議室などのスペースの利用実態や、オフィスにおけるエリア単位での在席密度、人と人との間隔なども可視化。進入禁止ゾーンに立ち入った場合のアラート機能や、ウェアラブル健康デバイスと連動した従業員の健康モニタリング機能も実現しています。

「EXOfficeは、2017年3月から提供していますが、働き方改革に伴うフリーアドレス化への対応で導入するケースが多いようです」と語るのは、WHERE 営業本部で営業企画部長を務める斉藤 辰典 氏。フリーアドレスは固定席とは異なり、誰がどこにいるのかがわかりにくくなるため「人探し問題」が常態化しますが、「EXOffice」ならこの問題を簡単に解決できると説明します。「また、人が会議室に入室すると自動的にチェックインされるため、予約された会議室が実際に使われているのかどうかも可視化できます。食堂の混雑具合やトイレの空き状況などを可視化することも可能です」。

このようにインパクトのある機能群が高く評価され、2019年10月には「日経 xTECH EXPO AWARD 2019」で準グランプリ(オフィスIoT賞)を受賞。2020年に入ってからはさらに注目度が高まっていると言います。

「新型コロナウイルス感染症拡大によって、オフィス可視化のニーズはこれまで以上に高くなっています。オフィスでの感染防止のための3密(密閉空間・密集場所・密接場面)対策や、濃厚接触者の追跡などを、EXOfficeで行ないたいというお話が増えています。そのためには、リアルタイムで人やモノの場所をリアルタイムで可視化する機能に加え、そのデータを分析した結果を提供するダッシュボード機能も拡充しなければなりません」(斉藤氏)。

このようなダッシュボードは自社でも開発することは可能であり、これまでもお客様のニーズに応じたダッシュボードの開発・提供を行ってきました。しかし、これから登場する新たなニーズに迅速に対応するには、自社開発では困難だと判断。そこでTableauで「基本的かつ最大公約数的」なダッシュボードをパッケージとして提供し、これをカスタマイズしていくことで、多様なニーズへの対応を果たしていくことになったのです。

柔軟性の高さと組み込みやすさを評価しTableauを採用

WHEREがTableauを活用するのは今回が初めてであり、以前はその存在も知らなかったと斉藤氏。Tableauの存在を知るきっかけとなったのは、親会社である株式会社協和エクシオが、2019年9月にTableauを導入したことだったと振り返ります。しかし、仮に親会社がTableauを導入していなかったとしても、最終的にTableauの活用を決めていたのではないかと語ります。そしてその理由は大きく2点あると説明します。

第1はダッシュボードの柔軟性です。Tableauで基本的なダッシュボードを作成しておけば、ユーザー側で分析軸の変更やデータのフィルタリングなどを行うことで、アドホックな分析も容易に実現できます。またその操作もマウスのドラッグ&ドロップというわかりやすいものであり、特別な専門知識は必要ありません。

第2は、他のアプリケーションに組み込んで利用できることです。TableauにはJavaScript APIが用意されており、利用企業が作成したWebアプリケーションの中に、ダッシュボードを簡単に埋め込めるようになっているのです。

「Tableauを組み込んで利用することで、自社サービスの一部としてダッシュボード機能を提供できます。また、ダッシュボード自体に柔軟性があれば、基本的なダッシュボードをパッケージとして提供し、お客様側で自由にカスタマイズして多様なニーズに対応する、といったことも実現しやすくなります」(斎藤氏)。

2020年4月にはTableauに話を持ちかけ、EXOfficeにTableauのダッシュボード機能を組み込むことに決定。その開発は現在も進められており、2020年9月に正式リリースされる予定となっています。

Tableauを組み込んで利用することで、自社サービスの一部としてダッシュボード機能を提供できます。また、ダッシュボード自体に柔軟性があれば、基本的なダッシュボードをパッケージとして提供し、お客様側で自由にカスタマイズして多様なニーズに対応する、といったことも実現しやすくなります

新しいダッシュボードはニューノーマルな働き方を支える重要なツール

「EXOffice」ではすでに、会議室の稼働率やフロア密度などを分析する「空間稼働分析」、従業員の出社率やオフィス内のコミュニケーションの様子を可視化する「交流分析」、作業場所と作業内容を紐付けて分析する「業務アクティビティ分析」といったダッシュボードが提供されています。今後はこれらに加え、誰と誰が近くにいたのかを追跡して分析する「濃厚接触者追跡」や、オフィス内に密集場所が発生していないかどうかを分析する「エリア別密度表示分析」などのダッシュボードも提供する予定です。これによってオフィス内でのソーシャルディスタンス確保を支援し、従業員をウイルス感染から守りやすくすることを目指しています。

さらに、これらの分析結果の中から個々の従業員のデータを抽出し、利用者である従業員個人が利用できる「マイページ」の提供も計画されています。これによって個人レベルで自分の行動を振り返り、今後の行動指針につなげることが容易になります。

「これまでにも経営判断などのためにデータ分析は行われてきましたが、これからのアフターコロナの時代には、従業員の安心・安全を直接守るためのデータ活用が不可欠になります」と斎藤氏。Tableauによって提供するダッシュボードは、ニューノーマルでの働き方を支える、重要なツールになるはずだと語ります。「これからのBCPは災害などが発生した時だけではなく、日常生活の中で取り組むものになるでしょう。そのためには日々のPDCAを回すためのファクトが不可欠。このデータビジネスは将来の収益の重要な柱になると考えています」

今後はTableauで「濃厚接触者追跡」や「エリア別密度表示分析」といったダッシュボードを提供する予定です。これによってオフィス内でのソーシャルディスタンス確保を支援し、従業員をウイルス感染から守りやすくすることを目指しています