FujiFilm Lab Japan

データ可視化・分析高速化でサービス業務を改善


Tableau 導入でデータ・ドリブン・ディシジョンが浸透、

お客様の機器安定につながる未来へ大きく前進

導入の背景

印刷機器のログデータ分析の効率化が長年の課題

富士フイルム株式会社のグラフィックコミュニケーション事業部は、印刷会社などで多く採用されているインクジェットデジタル印刷機「Jet Press」シリーズをはじめ、商業印刷用の機器と関連ソリューションを主な商材とし、それらに関する研究や開発、商品の技術的評価、アフターサービスなどに日々取り組んでいます。

そうした業務においては、取引先での印刷機器の利用情報やエラー情報などのデータの収集・分析が不可欠です。実際、同事業部のエンジニアは、2010 年代から、専用 Web サイトに蓄積されたログデータをダウンロードして Excel マクロで分析するといった方法で、開発や予防保全におけるデータ活用を進めてきました。

ただ、その取り組みには多くの課題がありました。同事業部サービスソリューショングループチーフの田口浩資氏はこう振り返ります。

「従来は印刷機器 1 台分のログデータをダウンロードするのに約1時間、それを Excel に読み込ませてビジュアライズした PDF を作るのにまた約1時間、という使い勝手の悪さで、社内ではきわめて不評でした。また、データ収集・分析のソフトウェアを構築・管理するコストも、ウォーターフォール型の開発に数千万円、改修にさらに数千万円かかるという状況でした。BI ツールを活用することで、そういう状況から脱却したい、という思いがずっとありました」

 

Tableau の導入・運用環境について

データ収集・ビジュアライズの高速化で業務効率化を実現

 

実は富士フイルムの社内では 2015 年頃から、Tableau を利用する社員が増え始め、同社は 2019 年、トラディショナル BI からセルフサービス BI への移行を目指し、Tableau の導入を決定。その流れに乗り、同事業でも Tableau の本格的な導入・活用が始まったのです。

 

検討から約 4 か月で Tableau の運用開始までこぎつけた同事業部は、早速、主力製品であるインクジェット方式のデジタル印刷機「Jet Press」のログデータのビジュアライズに取りかかりました。同事業部サービスソリューショングループの渡邊啓倫氏は次のように解説します。

「お客様がどういう大きさや厚さの紙にどのぐらいのインク量で何枚印刷したか、どんなエラーが出ているか、といった印刷機器のログデータを、サーバから Tableau Bridge で Tableau に接続し、可視化・分析しています。従来のシステムと比べ、データへのアクセスやビジュアライズのスピードが格段に向上しました」

同事業部 DS 品質保証・サービスグループの服部和雅氏は、アフターサービス業務における Tableau の有用性についてこう語ります。

「従来は、お客様先の印刷機器が故障するたびに、担当者が訪問して修理していたため、人件費や対応時間がかかっていました。印刷機器のログデータ自体は 2010 年頃から取得していましたが、うまく活用できていませんでした。Tableau によって、データをすばやく分析して故障の予兆を見極め、定期的なメンテナンス訪問のタイミングで先手を打てるようになり、お客様の機械のダウンタイムの低減につながりました」

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Tableau 選定の理由について

選定のポイントは直感的な操作性と Viz 作成の自由度の高さ

Tableau の導入を決めた理由の 1 つとして、田口氏は直感的に使える操作性を挙げます。

「説明書などを見なくても、『こうすればできるんじゃないか?』と思った通りに動かすと、実際にできてしまう。そういう簡単さ、とっつきやすさが魅力的でした」

服部氏は、Viz 作成の自由度の高さも選定理由の 1 つになった、と語ります。

「自分の手できれいな Viz を作ることができ、変更が簡単なのも Tableau の大きなメリットです。加えて、ライセンスがあれば誰でもデータを見ることができ、定期配信やアラート機能で情報を送れるという、データ共有のしやすさや手離れのよさが、とても気に入った点です」

ほかにも、Excel より大量のデータを扱うことができ、Viz を一度作ればデータが増えても再作成が不要であることや、機能が豊富で機能追加の頻度が高いこと、多角的で深いデータ分析が可能であることなどが選定のポイントになったそうです。

直感的に使える操作性と Viz 作成の自由度の高さが最大の魅力です。それから、データ共有の容易さも大きなメリット。Excel だと最新のデータがどれかわかりにくいですが、Tableau だとリンクで最新版がひと目でわかります

Tableau の導入効果について

大幅な工数削減を実現し、新たな施策も実行可能に

Tableau 導入による定量的な効果について、服部氏は次のように話します。

「従来のトラディショナル BI だったら、Viz を 1 つ作成・修正するのにもソフトウェア部門による開発が必要だったため、リードタイムが数週間必要だったのですが、今は Viz の作成・修正を 1 時間ほどで実施でき、すでに数百個の Viz が存在しています」

加えて、データの取得から可視化までの時間を短縮し、迅速な分析が可能になったことも大きな成果だ、と渡邊氏はいいます。

「印刷機のデータ量が膨大なので、従来はデータの取得と読み込みに非常に時間がかかっていました。一例を挙げるとインクジェットプリントヘッドに関しては数十億行のデータ取得と分析が必要なのですが、Tableau ならボタン 1 つで計算結果の一覧を出せるので、これだけでも年間で約 250 時間の削減を実現できました」

そうした定量効果もさることながら、より重要なのは、これまで実現できなかった施策が Tableau によって可能になったことだ、と田口氏は強調します。Tableau の導入後、同事業部では新たな取り組みが次々に始まっているのです。

「その 1 つがパーツ在庫の最適化です。印刷機器のパーツには、膨大な種類と量があります。従来のシステムでは、ワールドワイドで、どのエリアにどのパーツの在庫があるかの把握に時間がかかったり、拠点ごとに在庫のばらつきがあったりすることが問題となっていました。それが、Tableau で在庫状況を可視化することにより、拠点間で連携して在庫を適正化できるようになったのです」

たとえばアフターサービスの担当者が現地へ行く際に、事前に機器の状態をデータで確認して持っていくべきパーツを選ぶなど、各人がデータにもとづいた活動を意識するようになった面は確実にあると思います

今後の展開について

各自が BI を積極活用する未来へ大きく前進

「先ほどお話ししたインクジェットプリントヘッド分析の時間短縮などは、実現できれば大きな効果があるけれども、できないものと長年考えられてきた領域でした。それが Tableau によって急にできるようになって、皆ちょっと引くぐらい驚いていました。そこから一気に、Tableau という新たなツールを皆が受け入れてくれるようになったのです。心の壁を取り除く、まさにブレイクスルーでしたね」

そう語る田口氏は、Tableau のさらなる活用拡大に期待を寄せます。

「『Jet Press』が成功事例になったことで、新機種の担当者に対して『この機種でも同じことをしたいので、こういうデータをください』という会話を障壁なくできる状況に変わってきましたし、皆からも『Tableau でこんなことをしてほしい』という前向きな意見がどんどん出てくるようになりました。世界中のお客様先の機器を安定して稼働させていくために、一人ひとりのメンバーがもっとデータを活用するという、思い描いていた未来へ向かって大きく前進している、と実感しています」

将来的にデジタルツインを導入して、ライブのデータを超高速で処理し、機器の稼働状況をタブレットなどでリアルタイムに把握できるようになれば、現場へ行かずに迅速に機器を直すことができて、お客様の機器の稼働を一層向上できますし、アフターサービスの効率も飛躍的に向上するだろうと期待しています。