BI ツールとは?

BI ではピンと来ないかもしれないので、まず名称から確認しましょう。B は Business です。仕事、業務、事業、会社、経営。これは問題ないでしょう。I は何か。I は Intelligence です。インテリジェンスというと知性という語感がまず思い浮かびそうですが、それだけではありません。インテリジェンスは、知の働きと情報が一体となったものを意味します。
BI あるいは BI ツールは、会社経営において情報と知性を合わせて利用する場合に、極めて重要な道具 (= ツール) となっており、特に今日の経営にとって非常に重要です。

どんなことに使われるのか?

利用シーンでまず考えられるのが、自分の所属するチーム (一般に、数人から 10 人程度) の成績です。ソフトウェアやブラウザの画面を立ち上げて、売上額、利益率、売上個数、前月との比較といった実績指標を更新することにより、ほとんど瞬時に確認できます。チームであれば、メンバー別、顧客別、商品別、地域別に見るなど、担当者の視点から具体的な行動に結びつくヒントを探すような見方をすることが多くなるでしょう。これは、後述する BI ツールのレポート作成機能を、ユーザーが自分自身で利用する典型的なシーンです。担当者は自分の営業成績を把握し、チームリーダーは自分自身とチームの営業成績を把握し、BI が提供する情報から、次の施策を検討します。

次に、チームを越えて部や事業部でも、同様のレポート作成と参照を行うことができます。部や事業 (おそらく 50 人から 100 人規模) となると、チームごとの比較、部ごとの比較、ランキング、要因分析、ある部ではできていることが別の部ではできていない指標の抽出といった、より次元の高い、多角的な視野から参照することになるでしょう。そしてそこでは、営業部門のデータに、企業の IT 部門が管理する物流部門や製造部門などの複数の部門の基幹データが、様々に結び付けられた形で BI ツールに取り込まれることと思います。こうした複数の部門にまたがる、ときには社外のものも含めて、データの紐づけや、比較、ランキングが行えるのも、BI ツールの強みです。そうして、会議が持たれる場合には、数字の羅列よりも視覚化されたグラフやインフォグラフックスが好まれるでしょう。紙や電子ファイル (PDF) への出力はもちろん、投影やプレゼンテーション用の PC が 1 台あれば、権限を付与されたアカウントでログインするだけで、ソフトウェアやブラウザ上に、それらの視覚情報が瞬時にかつ動的に表示されます。

BI ツールは、これらボトムアップの報告にだけ使われるのではありません。たとえば特殊な使い方では、ある経営者は、むしろ「全社を俯瞰した経営データを現場の社員一人ひとりが見られるようにしたい」という思いから、自らインフォグラフィックスを作成し、参照用の URL を発行し、その下に分析のメッセージを記入して、月次や四半期毎にメッセージを発信していました。とても有効な活用法といえます。

どんな機能を持つのか? メリットは?

今日、BI ツールが備える基本的な機能として、一般に次の 4 つが挙げられます。

  • レポート作成機能
  • 多次元分析機能
  • データマイニング機能
  • ダッシュボード機能

「レポート作成機能」は、文字通り、社内の (時に社外も) データを集約、集計し、経営層が必要とするレポート形式で表現するものです。比較的身近なところでは、必ずしも BI によって生成されているわけではありませんが、企業が外部に公表する四半期の業績レポートが代表的です。また、近年では、ひと目で分かることを重んじて、インフォグラフィック機能を備えた BI ツールも存在します。

「多次元分析機能」は、OLAP とも呼ばれるものです。Online Analytical Processing (オンライン分析処理) を略したもので、売上報告、市場分析、経営報告、予算作成、財務諸表作成等に活用されます。この際に、単に分析を支援するのではなく、企業が保有している基幹データをユーザーにとって、または BI のインターフェイスで使いやすくするために、多次元データモデルなどに事前に変換しておき、その場で短時間に、視覚的にデータを分析、表現できるようにあらかじめ整えておく機能が BI ツールのメリットです。

「データマイニング機能」は、統計学、パターン認識、人工知能といった数理科学 / 情報処理技術を使うことで、人間が手動で集中的に作業しただけでは到底得られないような発見 (パターン、知識、予測等) を、大量のデータから取り出す機能です。特に、その「発見的」な強みを「マイニング」 (掘り出す、採掘する) と表現します。コンピュータの情報蓄積と計算能力の進化により、まさにビッグデータ時代にふさわしい、BI ツールの中でも最も注目される機能と言ってよいでしょう。

「ダッシュボード機能」は、BI ツール上や、ブラウザの画面内で、あたかも専用のコントロールパネル / ダッシュボードのように、「レポート」「多次元分析」「データマイニング」の結果が見られる機能です。従来、インターネットが普及する以前には、専用ソフトウェアを立ち上げ、長い時間をかけてデータをダウンロードし、専任の分析担当者が数日かけて 1 つの結果を取得し、レポートを作成し、経営層に報告を行うのが一般的でした。インターネットの普及、特に近年のクラウドの普及により、基本的にはどこにいても、クライアントコンピュータとインターネット回線があれば、ダッシュボードにログインすると BI ツールの機能によって短時間で集計や分析の結果が得られるようになっています。

BI ツールを強化 / 可能にしているよく使用されている技術とは?

さて、以上の内容を見ると、BI はまるで魔法のツールのように思えるかもしれません。しかし、忘れてはならないことが 2 つあります。1 つは、やはり基幹データの蓄積が基本であり、必要不可欠ということです。企業にその準備がなければ、何もないところから積み上げも、分析も、予測もできません。また、商品システム、経理システム、物流システム、カスタマーリレーションシップマネジメント (CRM) システムなど、複数のシステムとそのデータにアクセスする、いわば高度な「窓口」「分析アシスタント」であることが BI ツールの利点です。

そして、そのような BI ツールが提供する蓄積と分析は、IT 技術の集積と応用によって可能であることを理解することが重要です。たとえば、基幹システムにある二次元のデータを取り出し、結びつけ、重複を排除する…といった処理には SQL が多く用いられます。前項の「多次元分析」や「データマイニング」には、それらの数的処理に適したプログラミング言語 (Python 等) がよく用いられます。また、クラウド上で分散処理を行うために、インフラとして AWS (Amazon Web Services) や GCP (Google Cloud Platform) に対応し、それらを活用することがもはや BI ツールにとって不可欠となっています。この他、Impala (クラウドと親和性の高いクエリエンジン) 、Hive (オープンソースの大規模分散計算フレームワーク Hadoop 上で動作する DB 管理システム)、Spark (Hadoop に続く分散処理のフレームワーク)といった、より先端の技術も BI ツールには積極的に取り込まれ、活用されています。

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