株式会社アダストリア

Tableau をデータ活用基盤にすることで「データを見る人」が増大|株式会社アダストリア


データを見る人の裾野が拡大

閲覧者が約 10 倍になったデータも

ダッシュボードの開発も効率的

導入の背景

レガシーシステムの乱立でデータ活用が困難

「Play fashion!」をミッションに掲げ、30 を超えるファッションブランドを展開する株式会社アダストリア。「マルチブランド、マルチカテゴリーの商品の提供」「デジタルの顧客接点、サービスの拡充」「グローカルな事業展開」「新規事業、飲食業など新たな魅力の獲得」という 4 つの戦略を掲げ、現在も成長を続けています。このうちデジタル領域におけるデータ活用は、成長を支える基盤として、店舗開発に次いで重視されています。

「データ活用で目指しているのは、ユーザードリブンかつデータドリブンな組織を実現することです」と語るのは、DX 戦略部でシニアマネージャーを務める甲斐 裕樹 氏。ユーザー部門が能動的に必要なデータにアクセスし、データをもとに課題を発見すると共に、自らアクションを起こして課題解決まで行えるようにすることが、最終的な到達点なのだと説明します。

しかし以前はそのための環境が整っていなかったと甲斐氏。アダストリアは複数の会社が合併して現在の形になったということもあり、複数のレガシーシステムが乱立しており、ブランドやユーザーによって見られるデータがバラバラだったのだと言います。そのため加速するビジネスの変化に対応できるデータ活用が、なかなか実現できなかったのです。

「実際にデータを活用している部門でも、Excel ツールが乱立しており、個人のスキルに依存している状況でした。また手作業による分析作業が多いことも、大きな問題になっていました」。

Tableau の導入・運用環境について

ハイブリッド型 CoE を設置し 3 ステップで Tableau の定着へ

この問題を解決するため、まずはデータプラットフォームを統一。欲しいデータの所在がわかりやすい状態を作り上げました。さらにセルフ BI の基盤としては Tableau を採用。ユーザーが自ら自発的にデータを活用できる環境も整備していきます。

Tableau を導入したのは 2021 年 10 月。しかし「ツールを導入しただけでは利活用は進まない」と判断、利活用を推進する体制を確立するため CoE(Center of Excellence)の設置を予定しています。このCoE の大きな特徴は、全社レベルと部門レベルのハイブリッド型の組織になっていること。全社 CoE は全社横串でのデータ活用をリードしてノウハウを蓄積するとともにデータの品質を担保、部門レベルの CoE はブランドごとに設置され、各ブランドでのデータ活用の取りまとめや、コミュニティ形成、ベストプラクティスの共有などを担っていく予定です。

Tableau の定着は、3 ステップで段階的に推進していく計画です。

ステップ 1 は「データを見る=Tableau 」という考え方の定着です。そのために既存システムのデータ提供機能を Tableau に移管し、既存システムを停止することで、Tableau でなければデータ活用を行えない状況にしています。

ステップ 2 はデータ可視化の定着です。アダストリアでは数字の羅列になりがちなクロスレポートを長年にわたって使い続けてきましたが、現在では Tableau によるグラフを多用したダッシュボードの利用を広げつつあります。

そしてステップ 3 が、自由分析の定着です。これに関しては現在パイロット運用が行われており、自由分析を阻害する課題の洗い出しが進められています。

 

Tableau を活用したセルフ BI

Tableau 選定の理由について

セルフ BI に最適な基盤だと評価

アダストリアがデータ活用基盤として Tableau を採用した理由は、セルフ BI に最適だと評価されたからです。

「Tableau は操作がわかりやすく、グラフやビジュアルを盛り込んだダッシュボードの作成も簡単です。またグラフのデザインも洗練されており、データ群のどこを見るべきか、そこからどのようなポイントを把握すべきかなどを、見る人に伝えやすくなっています」(甲斐氏)。

また用意されている機能やグラフの種類が多く、これらを試しながら最適な表現を探っていく、という作業が行いやすいことも、大きなメリットだと指摘します。実際に甲斐氏自身も、ダッシュボード作成を始めた頃は、このような試行錯誤を行いながらダッシュボードを完成させていったと振り返ります。

「これなら IT リテラシーが高くない人でも、自分が求めるレポートを自分の手で作成できます。IT 部門だけではなくビジネス部門の人でも、自発的に活用できると判断しました」(甲斐氏)。

Tableau の導入効果について

データを見る人が以前に比べて飛躍的に増大

Tableau をデータ活用の基盤とすることで、すでに次のような効果が得られています。

データを見る人の裾野が拡大

現在はステップ 2 を進めている段階ですが、グラフを多用したわかりやすいダッシュボードによって、データを見る人が増大しています。数字の羅列に強くない人でも、Tableau  のダッシュボードであれば直感的に内容を把握できるからです。以前はどれだけの人がExcel のレポートを見ていたのかはわかっていませんが、Tableau にレポートを移行した後は、本部だけで 700~800 人が日常的に Tableau にアクセス。国内 1,300 店舗の店長へも利用者が拡大しつつあります。

閲覧者が約 10 倍になったデータも

よく見られているダッシュボードの代表が「STAFF BOARD」に関するものです。STAFF BOARD とは、アダストリアが運営する EC サイトの 1 機能であり、ショップスタッフがリアルなスタリングを提案するというもの。このダッシュボードでは、EC サイト全体の売上推移だけではなく、ブランドや店舗ごとの売上、どのスタッフの提案が売上にどれだけ貢献しているかまで、ドリルダウンして見られるようになっています。

「STAFF BOARD のレポートは、以前は数名しか見ていませんでしたが、今では毎週 30~40 人が見ています。これだけでもデータを見る人が、以前の 10 倍になっていることがわかります」(甲斐氏)。

ダッシュボードの開発も効率的

現在はまだ主に DX 戦略部(IT 部門)がダッシュボードを作成していますが、開発効率が高いことも大きなメリットになっています。

「簡単なダッシュボードなら、データソースからのデータ取得も含めて、2 日もあればダッシュボードを作成できます。また作成したダッシュボードをユーザーに見てもらって修正するといったことも、アジャイル型で進めることが容易です」。

以前の会社ではユーザーとして BI を使っていたのですが、グラフで見せるといったことはやっていませんでした。いまでは何をグラフ化すればわかりやすいのか、見せるべきポイントは何なのかを考えるようになっています

今後の展開について

データ活用領域を拡大しながら自由分析の定着へ

今後は Tableau によるデータ活用の領域を、段階的に拡大していく計画です。

「まず着手する予定になっているのが、店舗の実績を振り返るダッシュボードの作成です。これまではこのようなレポートがありませんでしたが、実績を可視化できれば業務効率アップにつながるはずです」(甲斐氏)。

また物流・生産領域も、以前はデータそのものが取得できませんでしたが、プラットフォームを統合することでデータ取得が可能になっています。ここで蓄積されたデータも、今後は分析対象にしていく計画です。

もちろんこれと並行して、Tableau 定着のステップ3である「自由分析の定着も進められています。

「2022 年後半から 2023 年にかけて、Explorer の権限をユーザーに展開していきます。またユーザートレーニングや CoE の活動も、これまで以上に本格化していきたいと考えています」(甲斐氏)。

 

Adastria Staff Board Report

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