データに基づく意思決定についての不都合な真実 (とエージェンティック分析による解決方法)
データに基づく意思決定については、率直に言って、これだけ話題になっているにもかかわらず、あまりにも多くの企業で十分に実践されていないのが現状です。どの組織も、何百、時には何千ものデータウェアハウスとデータレイクにまたがって断片化されたデータの収集、接続、整備に大量のリソースを投入しています。しかし、こうした膨大な投資にもかかわらず、従業員の大半は、そのデータを活用した情報に基づく意思決定を行っていません。なぜでしょうか? それは、データがサイロ化されたままになっており、そのことが見落とされているからです。あるいは、特にアクションを即座に実行する必要があるときに、単純にデータの選別に時間がかかりすぎるからです。
企業はデータばかりが豊富になり、インサイトに乏しい状況に陥るということが幾度となく繰り返されています。それでは、どうすれば最終的にこうした状況を変えられるでしょうか? 企業で働く人々が適切にインサイトを取得し、求めている決定的なアクションを実行できるようにするには、どうすればよいでしょうか?
それは、エージェンティック分析から始まります。エージェンティック分析は、単に物事をよりスムーズに行えるようにするものではなく、根本的なパラダイムシフトです。業務の進め方を再考し、社内の各チームが最善の結果を出せるようにすることで、きわめて重要なメリットをもたらすように設計されています。エージェンティック分析は、現在私たちがデータに関して直面している特に大きな課題に直接対処します。具体的には、データを統合して、データからのインサイトの信頼性を確保し、従業員がすばやく答えを導き出せるようにした後、最も重要なこととして、それらのインサイトをタイムリーなアクション提言に直接変換します。
このようにして、企業で新たなレベルの効率性、俊敏性、競争力が引き出されます。
断片化されたデータを統合して、リアルタイムのインサイトを取得
現代のデータランドスケープがまとまりを欠いていることは、まぎれもない事実です。情報は、無秩序に増え続けるオンプレミスシステムとクラウドアプリケーション全体にわたって分散しています。こうした断片化は、単に不都合なだけでなく、見通しのきかないサイロを生み出し、顧客と企業の一貫したリアルタイムなビューを作成不可能にします。これは、気づかないうちにタイムリーな意思決定を阻害し、従業員が必要なインサイトを、まさに必要な時に得ることを妨げます。
こうした理由から、統合されたデータは、エージェンティック分析のポテンシャルを本格的に発揮させるうえで絶対に欠かせません。組織全体で埋もれているデータを解放するだけで、そうした基盤となるデータレイヤー、つまり、単一の信頼できるビジネス全体のビューを作成できます。そしてこれは、パーソナライズされ、コンテキストを踏まえた、真に実用的なインサイトを、AI エージェントがあらゆるアプリケーションとワークフローの全体で提示できるようにするうえで、不可欠な第一歩となります。
一貫性のある共通の用語により、データの信頼性を確保
乱雑な分散したデータ以外に、ユーザーが各自のデータを信頼していないことが、別の大きな問題として挙げられます。リーダーたちは一貫して、信頼できるデータがこれまで以上に必要だと述べています。ある数字を見て、それがどのように算出されたのか、どの程度正確なのか、または本当に重要かどうかをすぐに尋ねることは、どのくらいの頻度であるでしょうか?「正しいかどうかわからない」、「このデータは使えない」などの発言を耳にすることがありますが、そうした懐疑的な態度は、大きな障害となり、データから本格的なビジネス価値を引き出すことを妨げてしまいます。
このような背景から、セマンティックレイヤーが開発されました。これを使用すると、固有の専門用語、業界用語、KPI の裏にある真意をエージェンティック AI が理解するために必要なビジネスコンテキストを、データに付与できます。こうしたことを理解することで、AI エージェントは高い精度、信頼性、関連性を備えた回答を提供できるようになります。従業員に対しては、データの出典とその処理方法を正確に示すことで、信頼感をもたらします。これにより、誰もが同一の定義と信頼できる情報源を基に業務を行えるようになるため、さらに迅速で適切な情報に基づく意思決定が可能になります。また、得られたインサイトがスマートなだけでなく、思慮深いものであることが保証されます。
誰もが迅速にデータから回答を得られるように支援
データリーダーが取り組んでいる別の課題として、優れたアナリストが直面している過剰な負荷の問題があります。アナリストは、反復的な手作業に膨大な時間を費やしています。これには、データの接続とクリーニング、複雑な計算の作成、特定のチームに合わせたダッシュボートの調整などが含まれます。その一方で、多くのビジネスユーザーと経営陣は単純に、複数のダッシュボードでインサイトを探し回らなくても、回答が得られることを望んでいます。これは、極めて非効率的で、イノベーションの抑制をもたらしかねません。
エージェンティック分析は、会話型の分析によって、ビジネスユーザーと経営陣が平易な言葉で、データに関する質問への信頼できる回答を即座に得ることを可能にします。分析に関する専門知識は問われません。「一番の商機はどこにあるか?」のように質問すると、ワークフローの中で直接、明確なインサイトと推奨アクションを取得することができます。さらに、問題が起こる前から AI エージェントが主な指標をモニタリングし、変化や傾向に関するアラートを即座に発するため、すぐに対応することができます。また、これによってアナリストは、戦略的な思考、より深い分析、創造的な問題解決に注力するための時間を、さらに多く確保できるようになります。
既に作業中の環境でインサイトをアクションに変換
優れたデータがあっても、きわめて重要なインサイトが見落とされたり、気づかれなかったりすることがよくあります。その理由は、インサイトが有益でないからではなく、必要な人の日常的なワークフローに直接表示されていないからです。従来のビジネスインテリジェンスでは多くの場合、ユーザーはデータを分析した後、行動に移すには別のシステムに切り替えることが必要です。このようにコンテキストを常に切り替える必要があるため、効率性が低下し、データに基づいたアクションから得られる実際の効果も制限されてしまいます。
エージェンティック分析は、こうした状況に変化をもたらします。AI エージェントが、コンテキストに基づく、AI を活用したインサイトを、業務の流れの中で直接ユーザーに提示します。これは、ユーザーが有益な情報に基づいて行動するうえで役立ちます。自ら有益な情報を探しに行く必要はありません。単にインサイトを提示するだけでなく、それに基づいてすぐに行動に移せるようにすることが可能になります。
エージェンティック分析を活用して、より適切な情報に基づく意思決定を実現
エージェンティック分析の中核は、AI の力とインテリジェントな AI エージェントを活用して、多くの企業を悩ませている「データは豊富だが、実用的なインサイトに乏しい」という問題を、最終的に解決することにあります。
こうした理由から、Tableau は Tableau Next を構築しました。Tableau Next の特徴として、まず、統合され、ハーモナイズされたデータレイヤーが挙げられます。また、ゼロコピー統合により、スピードとセキュリティが確保されているだけでなく、ストレージ費用の削減にも役立ちます。さらに、搭載された Tableau Semantics が AI を活用して、あらゆる生データと企業で日常的に使用されている用語の橋渡しを行ないます。この結果、担当者から経営幹部まで、誰もが一貫した定義を活用して、コンテキストに合わせたインサイトを得られるようになります。
Tableau のビジュアライゼーション機能に加えて、API ファーストの設計により、インサイトがダッシュボードに埋もれることを防ぐだけでなく、それが既にユーザーが作業中のツールやワークフローなどの環境に統合されるため、シームレスに行動に移すことを可能にします。そして、アナリストは分析アセットを作成、再利用、共有、管理して、格段にすばやくデータをインサイトに変換できるようになります。
Workday 社のマーケティング分析ディレクターで、Tableau Next を早くから使用している Siddarth Pawar 氏は、Tableau Next によって、自身のチームの BI でレポート作成だけでなくリアルタイムの意思決定も行えるようになった過程について、次のように述べています。「私のチームでデータをさらに活用できるようにサポートしてくれるだけでなく、Workday 全体でより多くの従業員によるデータの活用を促進しています。」
従業員がデータを活用して情報に基づく意思決定を行うことができていないなら、ぜひ、世界初のエージェンティック分析プラットフォームである Tableau Next をチェックして、実際の活用例をご覧ください。
