全社横串のワーキングチームで Tableau 活用を推進
集計時間の大幅な削減
データドリブン文化の広がり
導入製品:
Tableau Cloud
Tableau Creator
Tableau Viewer
Tableau Data Management
導入の背景
データ活用のために似通った作業が数多く発生
事業効率を高めるためにデータ活用を推進したいが、データ集計やレポート作成のルーチン作業は増やしたくない。この背反する要求を同時に叶えるため、Tableau の活用を推進しているのがアネスト岩田株式会社(以下、アネスト岩田)です。同社は神奈川県横浜市に本社を構える産業機械メーカー。「塗装機器製品」「塗装設備製品」を扱うコーティング事業と、「圧縮機製品」「真空機器製品」を扱うエアエナジー事業を柱に、グローバルに事業活動を展開しています。
「当社では以前から業務改革プロジェクトが進められており、その一環としてデータ活用への取り組みも行われていましたが、集計業務などで似通った業務が様々な部門で実施されているという状況でした」と振り返るのは、常務執行役員で経営企画部 部長も務める鷹野 巧一 氏。主に Excel でデータ集計を行い、その結果を PDF や PowerPoint でレポートしていたため、「その作業だけで1〜2日かけて作成された資料もありました。このような集計報告に時間をかけることが目的となっている事象も確認されました」。
データ活用を効率化していくには、このような作業を削減しなければならないと鷹野氏。データ集計ではなく、データを活用した意思決定を行うことこそが「データドリブン経営」だからだと語ります。そこで2019年4月には BI 基盤を確立するための検討に着手。そこで最終的に選択されたのが Tableau だったのです。
Tableau の導入・運用環境について
対話型の Tableau に感動し BI 基盤として採用
Tableau が候補に挙がったのは2019年7月。「すでに導入されていた Salesforce の担当者から紹介されたのがきっかけでした」と、情報システム部 システム運用グループの山口 浩司 氏は振り返ります。その後すぐに Tableau 社とオンラインでつないだ説明会が開催されています。
「ここで実際に見た Tableau に感動を覚えました」と語るのは、取締役 専務執行役員でコーティング事業部 事業部長も務める大澤 健一 氏です。「PDF や PowerPoint でのレポートを見るたびに感じていたのが、これが対話型になればいいということでした。Tableau ならその願いを叶えられると感じたのです」。
2020年4月には Tableau の導入に向けた取り組みを開始。実際のデータによる検証や、Tableau Prep によるデータ取り込みの仕組み構築などを行った上で、2021年1月に Tableau 活用のワーキングチームを正式に発足、2021年3月に本格的な活用をスタートします。
分析対象のデータソースは、SAP、Salesforce Sales Cloud、Salesforce Pardot、POP データ、Google Analytics など、実に多様です。これらから Tableau Prep フローで Tableau Cloud にデータを取り込み、ダッシュボード上で可視化しています。データソースとのデータ連携まではワーキングチームが担当し、ダッシュボード構築は各事業部の現場で行われています。
環境整備と並行して、ユーザー教育も進められていきました。経営層から各部署の管理職に対してトップダウンで依頼を出し、各部署から Tableau Creator ユーザーを選出、Tableau Desktop と Tableau Prep の研修が行われているのです。また認知度向上のために、Tableau の機能や事例を紹介するメールマガジンも隔週で発行。希望者向けの体験会などを行うため、社内のオープンスペースに Tableau コーナーも設置されています。
多様なデータソースとの連携と可視化が容易です。いったん Tableau にデータを取り込んでしまえば、データを自由自在に可視化できます。
Tableau 選定の理由について
多様なデータソースとの連携と可視化が容易
Tableau が選ばれた理由について、山口氏は「多様なデータソースとの連携と可視化が容易なことを評価しました」と説明します。「Excel で作成されたレポートはその後の加工が困難ですが、いったん Tableau にデータを取り込んでしまえば、データを自由自在に可視化できます。またデータ加工の履歴も残るため、他の人に引き継ぐのも容易です」。
これに加え、Tableau 社のサポートも高く評価されています。「導入の進め方やダッシュボードの作り方など、相談すればすぐに教えてもらえます」と言うのは、経営企画部で Tableau 活用ワーキングチームのリーダーを務める松本 龍博 氏。製品自体のとっつきやすさだけではなく、丁寧なサポートも活用を後押しする要因になっていると語ります。「ユーザー教育のメニューも用意されており、営業担当者から運用や展開も含めたすばらしい提案をいただきました」。
導入の進め方やダッシュボードの作り方をすぐに教えてもらえるだけでなく、ユーザー教育のメニューも用意されており、運用や展開も含めたすばらしい提案をいただきました
Tableau の導入効果について
集計作業が削減され、より能動的なデータドリブン文化へ
BI 基盤として Tableau を採用したことで、次のような効果が生まれています。
集計時間の大幅な削減
まずデータ集計に費やされていた時間が大幅に削減されました。「目標は600時間/月の削減ですが、2021年11月の時点ですでに371時間/月を達成しています」と松本氏。Tableau 導入にかかるコストもこの作業量の削減によって、導入から6か月目で回収できたと言います。また以前は早くとも1日はかかっていた最新データの反映も、現在では15分単位で行えるようになっています。
データドリブン文化の広がり
データによって意思決定する文化も広がっています。すでに営業会議は Tableau ベースで開催されるようになっており、可視化された Salesforce のデータを元に議論が行われています。「Tableau を見れば必要なデータが全てあるので、部下に聞く必要がありません」と鷹野氏。月次報告や報告書に掲載されている数字の説明も不要になり、よりクリエイティブな仕事に注力できるようになったと言います。「売上見込も Tableauで 把握可能。未来を見通すことも容易になりました」。
これまで気付かなかった新たな発見も
Tableau で情報を共有することで、新たな気付きも生まれやすくなっています。「以前は報告書のデータの変化に気づくのは、報告書を受け取る上長だけでした」と大澤氏。今では誰でも Tableau でデータを見ることができるため、より多くの人が変化に気づけるようになったと言います。「データをドリルダウンすることで、意外な発見につながることも少なくありません。このような気付きは仮説立案にも役立ち、生産性改善や問題の未然防止にもつながると期待しています」。
工場の稼働状況や初期不良率などのデータを、Tableau で分析できるようにしたいと考えています。今は工場単位で各々データをまとめ、個別に定期配信していますが、Tableau ならこの問題を解決できるはずです。
今後の展開について
データで全社がつながる世界を目指す
現在は主に営業部門が Tableau を活用していますが、今後は利用部門をさらに拡大し、より能動的な企業文化を醸成していくことが目指されています。
「例えばお客様からの要望に対応できる製品がない場合、これまでは営業担当者が『できません』とお断りしていました。しかしお客様の声を Tableau で開発部門や技術部門とも共有すれば、『こうすればできる』というアイディアが、部門をまたいだ形で生まれてくるのではないでしょうか。またお客様の声から新たな製品開発につながる可能性もあります。他にも部門をまたいだ情報共有によって、可能になる行動があるはずです。将来はこのように、データで全社がつながった世界を作り出したいと考えています」(大澤氏)。
※所属部門・役職は2022年2月現在のものになります。
開発部門や技術部門など部門をまたいだ情報共有によって、可能になる行動があるはずです。データで全社がつながった世界を作り出したいと考えています。