ビジネスコミュニケーションにプラスの変化をもたらすのは「データ」 - リーダーの見解

グローバルの調査で、パンデミックが職場の会話に与えた影響を否定的にとらえたのは、日本だけでした。日本のビジネスリーダーは、会話におけるデータの重要性を認識しながら、パンデミック中にデータを活用したのはわずかでした。この原因と、組織にデータドリブンな意思決定をもたらすデータカルチャーを醸成する方法について解説します。

新型コロナウイルス感染拡大の影響により、職場がリモートワークや在宅勤務に移行したことで、ビジネスリーダーはリーダーシップの再考を迫られ、多くの企業や組織が新しい環境に適応せざるを得なくなりました。

そのようなコロナ禍で、リーダーは改めてステークホルダーとの関係について考え直すことを余儀なくされました。「会話」は、リーダー、従業員、顧客、パートナー間の生命線といえ、大きな役割を果たしています。

 

日本のビジネスリーダーは、パンデミックが職場の対話に与える影響について、他のどの国よりも不安を感じています。

様々な課題にもかかわらず、多くのリーダーは、この機会を活用してビジネス上の対話をより良い方向に変革していますが、日本のリーダーはそうではありません。

日本の経営幹部の3割が、パンデミック以降、議論の質の低下を認識しており、ポジティブな変化を経験しているのは、26%だけです。日本は、調査対象の9カ国のうち、ビジネスコミュニケーションの変化をより否定的に見た唯一の国でした。これはデータ利用の低下が原因とわかりました。なぜなのか? このブログで調査結果を解き明かしたいと思います。

データを理解するのに苦労している日本のビジネスリーダー

調査によると、日本の回答者の8割以上が、質の高い会話を実践する上でデータが果たす役割として意思決定を加速させることを期待しています。あらゆる規模や形態の組織の従業員が、定期的にデータを扱っているという事実は、驚くべきことではありません。しかし多くの場合、価値はデータそのものではなく、データを基にした意思決定から生まれるのです。これにはデータリテラシーが必要です。

しかし、日本の経営幹部の41%は、データ主導のビジネス会話の大きな障壁として、複雑でアクセスしにくいデータを理解できないことを挙げています。リーダーは意思決定におけるデータの重要性に同意しながら、データを理解することができないというパラドックスがあります。

日本のリーダーは、データ利活用を組織の文化に組み込むことを意図的に行う必要があります。

データリテラシーの習得度の大部分は、データ使用量の頻度と規模に依存しています。1日で新しい言語やスポーツを習得できないことと同じです。データリテラシーを得るためには、継続的に実践する必要があり、日々の業務に、ITスペシャリストの役割を担う人だけでなく組織のすべての機能に取り入れる必要があります。多くの組織にとって、これには真の変革が求められます。つまりアナリストチームの枠を超えて、ビジネスにデータを取りいれることを意味します。 

しかし、データ使用の頻度と規模は、データを扱うスキルと共に、依然として課題となっています。パンデミックをきっかけにデータの使用を増やしたリーダーの組織はわずか26%で、ビジネスの誰もが意思決定のためにデータを使用している組織は、14%に過ぎません。

 データドリブンなリーダーが、データドリブンの従業員を育成

リーダーとは、組織に活力を与える責任があり、従業員の力を引き出す能力があると考えています。方向性を設定し、それを組織全体に広げていく責任があります。

ビジネスリーダーのデータ利活用と、その組織におけるデータ利活用との間に強い相関関係が見つかりました。仕事の課題解決に少なくとも週に1度、分析ツールを使用しているリーダーは、組織全体で同じ頻度で分析を利用しています。

重要なことは、ビジネスでデータ使用量を増やした日本のリーダーは、増やさなかったリーダーと比較して、コロナ禍における会話に肯定的な改善を見ている割合が3倍以上高くなっています。

リーダーは、データ活用の日々の習慣を身につけるために極めて重要な役割を果たします。知識労働者のチームを構築するには、リーダーは、人々が実際に使用する場にツールとプロセスを提供する必要があります。そのためには、データ利活用の明確なチーム目標を設定し、データ中心の意思決定によって指標を改善し、定義された目標に対してチームが責任を持つことが必要です。これらは、データカルチャーの構成要素です。

 

データカルチャーを作る手順

ビジネスリーダーは、ビジネス上の会話でデータが重要であると感じているのは明らかですが、組織にデータカルチャーを十分に確立している人はほとんどいません。データカルチャーを作る際、ビジネスリーダーは、次の3つの重要な分野を出発点と考える必要があります。

  1. 模範を示してリードしていく決意を示す
  2. データに対する人々の思考や行動の意識を変革する
  3. データを直感的に使える社員を採用・育成し、スキルを向上する

データは具体的なものです。データは、会話を支える普遍的な言語です。このレポートの調査結果は、リーダーが自らのリーダーシップのスタイルを検証し、議論やデータを使って、組織を未来に導くための方法を考える機会となることでしょう。



これらはTableau が最近実施したYouGov 調査の調査結果で、英国、ドイツ、日本など世界9カ国で約2,000人のグローバルビジネスリーダーを対象としています。パンデミックが始まって、ビジネスリーダーがどのように意思決定と従業員とのかかわり方を適応させたかを検証しようとしました。



ビジネス上の会話がどのように変化しているか、またビジネスリーダーがデータドリブンになる方法についての詳細はこちらをご覧ください。レポートの結果はこちら、viz はこちらからご覧いただけます