Tableau 9.0 プレビュー: 詳細レベル表現の概要

Tableau 計算言語について詳しく学びます。 言語の変化は、意外なほどわずかですが、データ分析には大きな影響を及ぼします。 Tableau 9.0 で導入される詳細レベル表現 (LOD 表現) は、さらに再利用しやすく充実したビジュアライゼーションを可能にします。

Tableau はお客様の、今のニーズだけではなく将来的なニーズも考えています。新しいリリースごとに、データを掘り下げ有益な情報を得るための設計を続けているのはそのためです。 Tableau 9.0 ブログで Ian A. Coe が執筆した前回の記事「流れるような分析」では、計算がいかに高速かつ簡単になり、作るのも使うのも楽しくなるかをご覧いただきました。 今回は、Tableau 計算言語についての詳しくご紹介します。 それが詳細レベル表現 (LDO 表現) です。 言語の変化は、意外なほどわずかですが、データ分析に対する影響は小さくありません。 Tableau 9.0 で導入される詳細レベル表現 (LOD 表現) は、さらに再利用しやすく充実したビジュアライゼーションを可能にします。

これは、現在はベータ版として公開している Tableau 9.0 に関するシリーズ記事の1つです。 Tableau 9.0 に関する他の記事もお読みください。

いくつかの概念と用語について復習し、例も見てみることにしましょう。

データ分析でしばしば難しいのは、口語表現で明快に表せる質問に対し、答えをデータで見つけることです。 Tableau では、答えをビジュアライゼーションで示すことができます。 分析の際には、複数の集計レベルでデータの比較や参照が必要なことも少なくありません。 ビジュアライゼーションの主眼は1つのレベルに置かれるかもしれませんが、質問によっては別のレベルも参照することになります。 たとえば、国レベルの売上収益をマップ上でビジュアル化していて、その売上を全世界の売上データと比較したいこともあるでしょう。

Tableau では、メインのビジュアライゼーション集計レベルを「詳細レベル」と呼んでいます。 LOD 表現を使用すると、ビジュアライゼーションの詳細レベルを超えてデータを表示することができます。 ビジュアライゼーションでは、多くの場合、データソースからフィルターで絞り込んだ結果のデータが使われています。 LOD 表現では、フィルターを適用する前のデータを参照できるため、より高度な分析が可能になります。

まず、典型的な分析の質問を考えてみましょう。 日常的な言語でも簡単に表せる質問です。

  1. 全世界の売上に対して各国の貢献度はどうか。 全世界の売上に対して、各国の相対的な業績を知りたい。
  2. 州の実績利益と目標利益を比較する方法はわかるが、何パーセントの製品において各州の目標が達成または未達となったか。
  3. 顧客保持期間は購買規模にどう影響するか。

どの質問も、目的や状況は明らかです。

以上の例を使い、他の詳細レベルを参照する方法について説明することにします。 1番目の質問は、より高い詳細レベルを参照します。 2番目の質問は、現在のレベルより1つ下位の詳細レベルを参照します。 3番目の質問は、同じ詳細レベルで2つのデータセットを比較します。 比較し対照して見ることで、 明快さが生まれ、 データからは意味が導き出されます。

Tableau 9.0 で例を見ながら、LOD 表現を使ってどのように以上の質問に答えるかを見ていきましょう。

1. 売上の各国パーセンテージ
マップを使用すると、全世界の収益に対する国の売上収益のパーセンテージをビジュアル化できます。 パーセンテージによって色分けした場合、暗い色ほど貢献度が高いことになります。 すべてのマーカーを確認してみると、全世界の収益に対して米国の貢献度が高い (18%) ことがわかります。

EU のように、絶対値で見た貢献度が小さい新興市場を重点的に調べたいと仮定しましょう。 LOD 表現を使うと、EU 市場にフィルターを適用し、なおかつ全世界に対する貢献度も調べることができます。

EU 市場でフィルターを適用すると、全世界の売上収益がビジュアライゼーション上では見えなくなりますが、LOD 表現を使えば参照できます。 「How To」に進むと LOD 表現を確認できますが、今は細かい点はあまり気にしないでください。 詳しい構文や用例は、今後の記事で紹介します。 重要なのは、EU に焦点を当てながら、全世界の売上も参照できるということです。 EU 以外のデータはフィルターを適用してビューから見えないようになっていますが、全世界の売上合計は引き続き参照できます。

2. 実績と目標
このビジュアライゼーションでは、あるコーヒーチェーンについて実績利益と目標利益との差異をグラフ化しています。 どの州で目標を超えたか、どの州で目標を下回ったかが一目瞭然です。 この利益の差異は州ごとに管理、報告していますが、各州での製品ごとの利益を知りたい場合、 各州を選択すれば、詳細を確認できるようにできるかもしれません。 このような一般的なドリルダウン機能よりも、 Tableau では優れたことができます。

次のグラフでは、単純な LOD 表現を使用して、目標利益を達成した州の中で製品の比率を計算しています。

マサチューセッツ州では、週の目標こそ達成しているものの、製品別に見ると目標を達成しているものは比較的少ないことがわかります。これは、さらに詳しい調査が必要でしょう。

この例では、ビジュアライゼーションの詳細レベル (州) より下位の詳細レベル (製品) で利益の差異を強調しています。 LOD 表現を使用して、州の差異計算に製品を追加しました。

3. 顧客保持期間
LOD 表現は、他のタイプの計算と組み合わせることができ、再利用も可能です。 次の例では、LOD 表現を表計算と組み合わせて、強力なビジュアルでデータの本質を捉えています。

ここで使用している LOD 表現では、顧客それぞれの最初の購買日を計算しています。 こうすると、最初に購入した年が同じ顧客のグループをビジュアル化できます。 次に、売上収益と、合計売上に対するパーセンテージをグループごとに表示します。 同じ LOD 表現を再利用できます。 たとえば、同じ表現を利用して、購入月ごとに顧客のグループを定義することもできます。

以上、LOD 表現を駆け足でご紹介しました。 詳しい情報は、Community Zen Master と Team Tableau によるブログをご覧ください。 LOD 表現と Tableau の他の新旧機能とを組み合わせて、魅力的なビジュアル分析を作成する方法も学ぶことができます。 ビニング、プロポーショナルブラッシング、その他の詳しいコホートの例もご覧いただけます。

そこからさらにデータ分析を進めるのは、皆さんです。 LOD 表現をはじめ、Tableau 9.0 に追加された 80 以上の新機能で、皆さんの世界が広がることを願っています。