Tableau Cloud のデータ準備状況を改善するには
「適切なデータがなければ、適切な AI が得られない」という言葉をよく耳にすると思います。それは簡単なように聞こえますが、Salesforce がまとめた「 データとアナリティクスの最新事情 」によると、分析に関して組織が直面する最大の課題の 1 つは「スケーラブルで信頼性の高いデータの確保」であることが明らかとなっています。この課題はダウンストリームに重大な影響を及ぼします。信頼できるデータがあることを確信できない組織は、自信を持って AI やセルフサービス機能を導入することができません。責任を持って AI とセルフサービス主導の機能を拡張するには、それらを推進するデータソースを調査、改善、検証するための優れたプロセスが必要です。
このブログでは、Tableau データソースをより効果的に監視するためのツールと、反復的な改善を推進するためのフレームワークを紹介します。これらによってデータに対する信頼を高めることができます。
このフレームワークは次の 4 つのステップで構成されます。
ステップ 1: データソースを監視する
データの信頼性を高めるためには、まずデータの基本的な理解から始めます。最も重要なレベルの Tableau プロジェクトの 1 つを検討し、次の質問を自問します。
- そのプロジェクトにはデータソースがいくつあるか?
- ユーザーは信頼できる管理されたソースと実験的なソースをどのように区別するのか?
- 新規ユーザーがデータを理解するのに役立つサポートドキュメントはあるか?
これらの質問に答えられない場合は、AI のためのスケーリングやセルフサービスでのディスカバリに不安を感じるかもしれません。こうした懸念を軽減するための最初のステップは、データソースを監視し、調査することです。Tableau Cloud 管理者は誰でも、Data Source Manager アクセラレーターを Tableau Cloud サイトに接続し、他のユーザーが閲覧できるように共有することで、これを実行できます。
まず、「Know your data sources」セクションを確認して、ユーザーがデータをどのように操作できるかを確認します。
パブリッシュされたデータソースにより、権限を持つユーザーが単一のデータソースにアクセスできるようになるため、セルフサービス機能や Tableau Pulse 機能が有効になります。認証済みデータソースはさらに一歩進んで、そのデータが組織のガバナンス標準に合格しており、信頼できることが保証されます。しかし、埋め込みデータソースは Tableau ワークブック内に埋め込まれるため、Web 作成や Tableau Pulse を通じてダッシュボードの外部からアクセスして探索することはできません。これらのカテゴリに沿ってデータアセットを監視および管理すれば、Tableau サイトで Tableau の AI およびセルフサービス機能を導入する準備ができているかどうかを評価できます。
ステップ 2: 意義ある目的を選択する
一度にすべてのデータを改善しようとして自分自身に負担をかけるのではなく、意義ある目的に対して短期的な成功を収めることに焦点を当てます。そのようなユースケースを特定するには、潜在的なイニシアティブを取り上げ、デジタルホワイトボードを使用して、そのイニシアティブに関する次の質問に答えます。
焦点を当てることを選択したイニシアティブについて、上記のすべてを確認する必要があります。組織の関連目標に影響すること、Tableau に取り込むことが可能なデータを使用していること、分析によって実際に有意義な進歩を促進できることを実証する必要があります。確認が完了すれば、それは焦点を当てる価値のあるユースケースとなります。そのための Tableau プロジェクトを作成し、次の手順に従って、探索可能なデータアセットをユーザーに提供します。
意義ある目標を選択するのに役立つ価値マップの作成の詳細については、当社の Web サイトをご覧ください。
ステップ 3: データアセットを作成し、その利用を拡大する
上記のステップ 2 で、イニシアティブに必要なデータソースをリストしたら、Data Source Manager アクセラレーターを参照して、それらが Tableau サイトで使用できることを確認します。
ここでは、ステップ 1 で説明したように、すべてのデータソースが「認証済み」、「パブリッシュ済み」、または「埋め込み」として分類されます。Tableau プロジェクトに合わせてアクセラレーターをフィルタリングし、ダッシュボードの次のセクションを参照してデータの詳細を確認します。
埋め込みデータソース (右下)
右下には、すべての埋め込みデータソースが繰り返し順に並べられ、表示されています。これらのデータソースはダッシュボード内に埋め込まれているため、Tableau Pulse や Web 作成では探索できないことに注意してください。このセクションを確認して次のことを実施します。
- 機能と一貫性を実現するために、頻繁に使用される埋め込みデータソースをパブリッシュすることを検討する
- 埋め込みダッシュボードの接続をパブリッシュ済み/認証済みの同等のもの (存在する場合) にリダイレクトする
パブリッシュされたデータ (左下)
左下には、すべてのパブリッシュされたデータソースがユーザーアクティビティ別に並べられ、表示されています。これらのデータソースによって Tableau の機能が強化されますが、データがガバナンスチェックに合格したかどうか、つまり信頼できるかどうかは示されません。このセクションを確認して次のことを実施します。
- 使用されていないデータソースの廃止を検討する
- 頻繁に使用されるパブリッシュされたデータソースの認証を検討する
- 認証候補について、データ所有者やエキスパートと協力して認証チェックリストを完成させる
データソースをパブリッシュする方法の詳細については、当社の Web サイトをご覧ください。
認証チェックリスト (ダッシュボードのチェックリストにカーソルを合わせる)
認証チェックリストは、組織がデータソースを審査するためのプロセスであり、これによってユーザーは、そのデータが信頼できる理由を理解できます。このチェックリストには通常、データの正確性とサポートドキュメントの存在を確認するためのさまざまなチェックが含まれています。このアクセラレーターではデータの正確性を直接監視することはできませんが、他の変数を追跡することで、データ所有者が認証作業を整理できるようになります。ダッシュボードのチェックリストにカーソルを合わせると、各データソースについて次の 6 つのチェックリスト項目が表示されます。
- ライセンス所有者: データ所有者が現在もライセンスを付与された Tableau ユーザーであることを確認できます。
- 過去 30 日間に更新: データソースが過去 1 か月以内に更新されたことを確認できます。
- 説明: データソースの説明に、データに関する具体的な背景情報が含まれていることを確認できます。また、質問があるユーザーに、どこにアクセスするべきかを示します (形式はカスタマイズ可能)。
- データソースのタイプ: データが優先ソースおよびデータベースから取得されていることを確認できます。
- タイトルの形式: タイトルが特殊文字なしで判読可能であることを確認できます。
- 過去 90 日間にアクセス: ユーザーが引き続きデータを使用していることを確認できます。
注: これが出発点となります。アクセラレーターの「Score_」の計算を編集するか、新しい計算を追加して、チェックリスト項目をカスタマイズしてください。
データエキスパートがデータの正確性を保証すると、データ所有者はこのアクセラレーターを使用して、必要なサポートドキュメントが含まれていることを確認できます。このダッシュボードの内外で実行されるこれらのチェックの組み合わせにより、データソースは Tableau で認証済みとラベル付けできることになります。
認証済みデータ (上部)
上部には、Tableau Cloud で認証ラベルが付けられたすべてのデータソースがユーザーアクティビティ別に並べられ、チェックリストへの準拠を確認するアイコンも表示されます。
これらは重要なデータアセットです。データエキスパートのレビューによって正確性が保証され、サポートリソースが保持されているためユーザーの質問に対応できることが保証され、組織のガバナンス基準に合格していることで信頼性と一貫性が保証されています。このセクションを確認して次のことを実施します。
- データの採用状況を確認する
- 認証チェックリストへの準拠を確認する
- 使用されていないデータの廃止を検討する
- ステップ 2 のデータソースで不足しているものがないか特定する
データソースを認証する方法の詳細については、当社の Web サイトをご覧ください。
ステップ 4ユーザーが活用できるように周知し、支援する
信頼できるデータを区別するための定義済みのシンボルと、それを支える信頼性の高いプロセスができたら、次はユーザーが活用できるように周知し、支援します。まず、ディスカッションフォーラムやユーザーグループミーティング、その他のチャネルを通じて、新しい高品質のデータソースにアクセスできるようになったことをユーザーに通知します。次に、Trailhead の Tableau モジュール (無料) に案内して、それらのデータアセットを検証し、探索する方法に関するベストプラクティスを指導します。そして、Data Source Manager アクセラレーターを定期的にチェックして、データの採用レベルが期待どおりであることを確認します。
データの準備状況を改善するためのフレームワーク
意義ある目標に向けた 4 ステップのフレームワークを導入することで、「スケーラブルで信頼性の高いデータを確保する」という課題を、継続的に取り組む話し合いに変換できました。この話し合いにより、新しい機能が利用可能になり、ユーザーがインサイトを得るまでのスピードが向上し、ビジネス全体で AI とセルフサービスに対して情報を提供できる質の高いデータのカタログが作成されます。そして、次の意義あるイニシアティブを特定し、このプロセスを繰り返しましょう。最終的には考え方が逆転し、「私たちには優れたデータがあるので、優れた AI を持つことができている」と言えるようになります。
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