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FOOD & LIFE COMPANIES、会計・販促・出店・海外KPIをTableauで可視化—人間主導のデジタル戦略でグローバル経営を加速

SAPの会計データを活用したレポート業務を自動化し、約半年で累計約2,000時間の業務を削減

商品画像や地図、財務データを組み合わせ、販促企画や出店検討、海外事業の意思決定を支援

独自のTableau人材育成プログラム「Tableau Jedi Academy」で、現場が自らビジネス課題を解決できる人材を育て、自律分散型のデータ活用組織へ

回転すし「スシロー」を中核に、国内外で外食事業を展開する株式会社FOOD & LIFE COMPANIES(以下、F&LC)は、グローバル展開の加速を見据え、Tableauを全社共通の分析・可視化基盤として活用しています。SAPの会計データを用いたレポート業務を自動化する「予実分析」をはじめ、商品画像と販売実績から過去の施策を振り返る「販促分析」、地図と財務データを組み合わせて出店検討を支える「マーケット分析」、海外拠点の業績やKPIを把握する「海外KPI分析」など、データ活用領域を着実に拡大。デジタル戦略課が各部門の業務改革に伴走しながら、現場が自らデータを活用し、ビジネス課題を解決できる体制づくりを進めています。

F&LCについて

F&LCは、回転すし「スシロー」や「鮨 酒 肴 杉玉」を展開するグループです。日本全国47都道府県に加え、アジアを中心に北米など海外へ事業を広げ、すしを軸とした外食・中食事業を通じて、さまざまな食のシーンに美味しさと喜びを届けています。

「FOOD & LIFE COMPANIES」という社名には、日々の食を美味しくすることで、お客さまの生活や人生までゆたかにしたいという想いが込められています。F&LCは、こうした想いの実現を支えるデジタル戦略の方向性として、「Human-led, Digital-powered」を掲げています。高いWILL(意志)を持つ社員を定型業務から解き放ち、自らのWILLに基づいて意思決定する時間を創出することで、お客さまへの提供価値をさらに高めることを目指しています。

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F&LCの挑戦

F&LCが直面していた課題の背景には、海外展開の加速がありました。出店する国・地域が広がるにつれ、アプリや各種システムから集まるデータも急速に膨らんでいきます。従来のExcelやスプレッドシートを中心とした方法では、処理や集計はやがて限界に近づいていきました。今後のさらなる事業拡大を支えるには、データ活用の環境そのものを見直す必要があった―デジタル戦略部 デジタル戦略課 課長の高井 将吾 氏は、そう振り返ります。

課題は、データの土台にもありました。人事をはじめとする各種マスターが部署ごとに存在し、それぞれで個別にメンテナンスされていたため、どれが正しいデータなのかが分かりにくい。ダウンロードや貼り付け、組み替えといった手作業が積み重なり、データを集計すること自体が目的になりかねない状況でした。すでにいくつかのBIツールも導入していましたが、構築は外部の開発に依存し、コストがかさむ一方で現場での活用スピードは上がらない。データを見て意思決定するという風土も、なかなか根づきませんでした。

F&LCは、これを個別のツール選定の問題ではなく、経営インフラの問題として捉え直します。その象徴が、2024年に始まった全社横断の「データマネジメントプロジェクト」を、高井氏が「売上1兆円を支えるデータインフラ」を目指すものへと引き上げたことでした。現場が負荷なくデータを取れる仕組みをどう設計し、その品質をどう担保するか。そこまで踏み込みながら、基幹システムからSnowflake、そしてTableauへとつながるデータプラットフォームを構築していきました。

高井氏は、データ利活用における基盤づくりへの思いを次のように語ります。

「各人にとって、データを集計することが仕事じゃないですよね、と常に言っています。例えば品質管理業務であれば、衛生状況を集計して出すことが仕事ではなく、衛生レベルを高めてお客さまに安全・安心を届けることが仕事ですよね、と。」

各人にとって、データを集計することが仕事じゃないですよね、と常に言っています。例えば品質管理業務であれば、衛生状況を集計して出すことが仕事ではなく、衛生レベルを高めてお客様に安心・安全を届けることが仕事ですよね、と。

その基盤を現場の実践へと広げるうえで、F&LCが徹底したのがボトムアップの姿勢です。トップダウンで利用を強制するのではなく、社員一人ひとりのWILL(意志)を起点に、現場が実現したいことをベースに広げていきました。各部門へは、まず「本来やるべきことは何か」「その足枷は何か」というヒアリングから入り、部長や現場とミーティングを重ねながら、データ活用の合意形成を図っていきます。単にデータを提供するのではなく、業務改革に伴走し、手を動かしながら一緒にデータを整えていく。そんな泥臭い取り組みを積み重ねてきた、とデジタル戦略部 デジタル戦略課の狹間 隆人氏は話します。

現場と徹底的に向き合うなかで、業務部門の社員から寄せられる相談の質にも、変化が表れてきたといいます。
「データ利活用を進めるなかで、社員からは、時間を浮かせて楽をしたいというニュアンスよりも、創造的な業務やお客さまの体験価値をもっと向上させることに時間を使いたい、という思いが伝わってきて、全社でのデータドリブンな改善のサイクルが回りつつあります。」

データ利活用を進めるなかで、社員からは、時間を浮かせて楽をしたいというニュアンスよりも、創造的な業務やお客様の体験価値をもっと向上させることに時間を使いたい、という思いが伝わってきて、全社でのデータドリブンな改善のサイクルが回りつつあります。

TableauがF&LCをどのようにサポートしているか

SAPの会計データを活用したレポート業務を自動化し、意思決定のスピードを高める

F&LCのTableau活用は、会計レポート業務の刷新から始まりました。かつては基幹システムからExcelアドオン経由でデータを取り込み、月次決算のたびに40〜50ものExcelファイルを手作業で更新してレポートを作成していました。国ごとに1ファイルずつ細かくつくり込む必要があり、海外拠点の増加とともに負荷は増す一方だった、と高井氏は語ります。

現在は、月次決算後からレポート作成までのプロセスを自動化し、予実分析や経営会議の資料を、誰もがダッシュボードで迅速に確認できるようにしています。PLレポートでは、国や表示条件を切り替えるだけで、拠点ごとの数値が瞬時に表示されます。この領域だけで、レポート作成にかかっていた時間はほぼゼロになりました。部署立ち上げから約半年間で約2,000時間の削減効果が生まれ、その削減時間は今なお加速度的に増え続けています。決算から経営層への資料提出までのリードタイムも、分析時間の短縮を含めて約2日短縮されました。

この会計レポート業務の刷新が、社内にTableau活用を広げるきっかけになったと、高井氏は振り返ります。

「Tableauは、F&LCを支える会計業務の取り組みから始まったと言っても過言ではありません。会計レポート業務で確かな改善を出せた。だから、これは良い、ほかの業務領域にも広めていこう、につながりました。」

Tableauは、F&LCを支える会計業務の取り組みから始まったと言っても過言ではありません。会計レポート業務で確かな改善を出せた。だから、これは良い、ほかの業務領域にも広めていこう、につながりました。

キャンペーン画像を交えた販促分析で、施策の振り返りと将来の企画づくりを支える

ほかの業務領域へと活用が広がるなかで生まれたのが、販促分析です。スシローでは週単位、月単位で数多くのキャンペーン商品を展開しており、それぞれの売上への貢献度を、施策時のビジュアルとあわせて振り返れる仕組みを整えています。

たとえば、ある食材やジャンルで絞り込むと、過去に展開した商品が一覧化され、いつ、どのような打ち出し方で売れたのかを直感的につかむことができます。こうした振り返りは、企画開発チームが次の施策を考えるための起点として活用されています。

ビジュアルを伴う形で情報を共有できることは、文字情報だけでは伝わりにくいニュアンスをひと目で理解できるようにし、言語の異なる海外拠点においても認識をそろえやすくするという利点につながっています。

 

エリア毎の事業状況を可視化し、今後の出店検討に活かす

事業状況や業績の傾向をわかりやすく可視化し、エリア毎の特性を読み解くのが、グローバル・マーケット分析です。店舗の所在情報を地図上で確認しながら、事業の広がりや運営状況を俯瞰的に把握できるようにしています。地域の特徴を踏まえた事業運営や、今後の展開を検討する際の参考として活用しています。

 

海外拠点のKPIと事業成長を可視化し、現場と経営の双方の判断を支える

海外事業では、それぞれの立場に応じた形でダッシュボードを展開しています。店舗向けには、その日の状況がひと目で分かる情報を用意し、店舗ごとに必要な範囲の情報だけを安全に閲覧できるようにしています。

また、店舗に寄せられるお客様の声についても分析を行っています。寄せられたコメントを翻訳・要約したうえで感情や傾向を整理しビジュアル化することで、お客様がどのような点を評価しているのかを、社員の国籍を問わず、誰でも簡単に把握できるようにしています。

 

 F&LC

店舗に寄せられるお客様の声の分析(アンケートデータ)

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他社にはないTableauの価値

デジタルに苦手意識のある人にも分かる直感的な操作性と、豊富な学習リソースが支える現場の内製化

F&LCがTableauを選び、社内に広げてこられた背景には、デジタルに苦手意識がある人でも、UIの操作だけで直感的にグラフを作成できるという分かりやすさがある、と狹間氏は語ります。

同社は、ビジネス部門がTableauでビジネス課題を解決することを目的に、「難しすぎず優しすぎない」独自の教育プログラム「Tableau Jedi Academy」を内製で用意しました。Googleサイト上の学習ポータルに、入門から実践までを段階的に学べる動画コンテンツを整備し、2025年11月の運用開始以降、本社社員の約3割にあたる約100名が受講しています。「楽しく学ぶ」をテーマに、学習が堅苦しくならないようゲーム要素やお互いの学習状況が見える仕掛けを散りばめ、3ヶ月に一度は事例発表やワークショップのイベントを開催して、社員のモチベーション向上と社内コミュニティの拡大を図っています。ここで「データを活用し、自らビジネス課題を解決できる人材(ジェダイ)」が育つと、自律的にデータドリブンカルチャーを社内に広げることができると考えています。

狹間氏は、Tableauの価値を学習とコミュニティの観点からこう語ります。

「デジタル人材を育てる観点で、Tableauは学習リソースの豊富さが魅力です。自分で独学で進めてもいい、動画を見てもいい、本を見てもいい。楽しく学べる。社内外のコミュニティが活発で、互いに助け合い、高め合おうとする方が多いので、憧れて真似してみよう、と始めやすいんです。」
 

デジタル人材を育てる観点で、Tableauは学習リソースの豊富さが魅力です。自分で独学で進めてもいい、動画を見てもいい、本を見てもいい。楽しく学べる。社内外のコミュニティが活発で、互いに助け合い、高め合おうとする方が多いので、憧れて真似してみよう、と始めやすいんです。

IT/デジタル部門がすべてを作らずとも、現場主導で改善スピードを高める

現場の内製化が進んだことで、分析の質そのものが変わってきた、と高井氏はユーザー育成の効果を語ります。ヒアリングをもとにデジタル戦略課がつくったダッシュボードとは違う、現場の部署起点の発想を持ったダッシュボードが、各部門から次々と生まれています。多種多様な取り組みが自然に立ち上がる状態をつくれていること、そして現場を理解する人が自ら改善の意志をもってデータを利活用できることが、こうした広がりを支えています。

高井氏は、現場主導への手応えをこう語ります。

「ビジネス部門が、データを用いて自らの課題を解決するようになりました。現場の部署ならではの独自の視点を持ったダッシュボードが生まれている。現場主導で会社が変わっていくことを実感しています。」

ビジネス部門が、データを用いて自らの課題を解決するようになりました。現場の部署ならではの独自の視点を持ったダッシュボードが生まれている。現場主導で会社が変わっていくことを実感しています。

BIとAIを両輪に、判断から実行までを支える基盤へ

AIの進化に伴い、「AIによってBIは不要になる」「ダッシュボードはもう必要ない」という声も聞かれます。しかしF&LCは、BIとAIを掛け合わせたデジタル戦略を描いています。

高井氏は、AIによって進化するデータ活用の先に見据える世界をこう語ります。

「AIが自律的に動く世界では、データだけでなく、現場の「コンテキスト」「ビジネスロジック」「業務プロセス」の整備が欠かせません。今後は、人材・スキル・環境の重要性がさらに高まり、BIが担う現場との接点も、より大きな意味を持つと考えています。」

AIが自律的に動く世界では、データだけでなく、現場の「コンテキスト」「ビジネスロジック」「業務プロセス」の整備が欠かせません。今後は、人材・スキル・環境の重要性がさらに高まり、BIが担う現場との接点も、より大きな意味を持つと考えています。

F&LCが目指すのは、各部門にデジタル人材を育て、その人材が次の人材を育てる、自律分散型の組織です。データ集計に費やしていた時間を、「お客様においしい寿司を届けたい」という理念に基づく価値創造の時間へと変えていく――F&LCの事例は、現場一人ひとりのWILLを起点に据えたセルフBIが、全社のデータ活用文化とグローバル展開を支える基盤になり得ることを示しています。