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常陽銀行、Tableauで全員参加型のデータドリブン経営を実現し、本部・営業店の連携強化と役員会議の高度化を推進

わずか2年で行内月間定着率が70%超に到達。役員会議資料の可視化により、データドリブンな経営判断を実現

ペーパーレス推進をデータで可視化し、行内印刷枚数を3年間で75%削減

手形・小切手電子化の早期移行を実現し、Tableauによる可視化で現場の行動変容を促進

株式会社常陽銀行は、政府が2026年度末を期限に定めた手形・小切手の全面電子化に向けて、Tableauによる進捗の見える化と現場への浸透を推進し、手形・小切手電子化の削減率で地域金融機関トップ水準を実現しました。さらに、Tableau Serverを活用して本部と営業店を一気通貫でつなぐデータ活用基盤を構築。週次の「寺子屋」ユーザー会や行内ニュース配信、アカウント運用ルールの整備を通じて、約2年で行内月間定着率70%超を実現しています。現在は機械学習や生成AIも取り入れながら、法人営業支援をはじめとする高度なデータ活用を進め、BIとAIを融合した新たな取り組みへと発展しています。

常陽銀行について

株式会社常陽銀行は、1935年に設立された茨城県水戸市に本店を置く地域金融機関です。2016年に足利ホールディングスと経営統合し、現在はめぶきフィナンシャルグループの中核銀行として、茨城県を中心に北関東および首都圏・東北等で事業を展開しています。当社グループは茨城・栃木両県における預金・貸出金残高が各県第1位であるほか、帝国データバンクの調査によるメインバンク数でも地方銀行グループの中で全国第2位の規模を有し、地域経済を支える金融機関として幅広いサービスを提供しています。

近年はDXを経営戦略の重要テーマに位置付け、経営企画部 DX戦略室を中心にデータ活用を推進。経営管理指標の可視化や営業実績管理、リスクモニタリング、BPR指標の追跡など、さまざまな業務領域でTableauを活用したデータドリブンな意思決定を進めています。

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常陽銀行の挑戦

常陽銀行がTableauの試行を開始したのは2022年11月のことです。当時、本部では複数のシステムからデータをダウンロードし、Excelで加工・集計・グラフ化する作業が日常化していました。業務手順は担当者ごとのノウハウに依存しており、異動のたびに引き継ぎや再構築が必要になるなど、属人化が大きな課題となっていました。

また、経営会議では部門ごとに集計定義や計算ロジックが異なり、「どの数字が正しいのか」の確認に時間を要していました。営業店においても、本部から配布されるExcel資料を待たなければ最新の状況を把握できず、自律的な分析や迅速な意思決定が難しい状況でした。

営業企画部 担当部長 丸岡 政貴氏は当時の課題について次のように述べます。

「Excelでは一面的なグラフになりがちで、別の切り口が求められるたびに資料を作り直す必要がありました。役員会議のたびに更新作業を繰り返す状況に非効率さを感じる一方で、利用する人が自ら見たい切り口でデータを確認し、より深い議論や新たな発見につなげられる環境を実現したいと考えていました。」

こうした課題を解決すべく、常陽銀行は2022年11月より経営企画部と営業企画部でTableau Desktopの試行を開始しました。目的は、計数管理業務の効率化、プロセスの可視化・自動化、そしてビジュアル化による新たな気付きの創出でした。

試行段階ではTableau Prepも活用し、Excelによる集計・加工作業について年間約85%の工数削減効果を確認。試行結果と人材育成の手応えを踏まえ、2023年5月にTableau DesktopおよびTableau Prepを本番導入し、さらに全行への展開を見据えて2024年3月にTableau Serverを導入しました。

常陽銀行が目指したのは、一部の担当者に依存した分析ではなく、本部と営業店が共通のデータを基に議論し、自律的に意思決定できるデータドリブンな組織への変革でした。

Excelでは一面的なグラフになりがちで、別の切り口が求められるたびに資料を作り直す必要がありました。役員会議のたびに更新作業を繰り返す状況に非効率さを感じる一方で、利用する人が自ら見たい切り口でデータを確認し、より深い議論や新たな発見につなげられる環境を実現したいと考えていました。

Tableauが常陽銀行をどのようにサポートしているか

わずか2年で行内月間定着率が70%超に到達。役員会議資料の可視化により、データドリブンな経営判断を実現

Tableau導入から約2年で、行内月間定着率は70%を超える水準に到達しました。その背景には、複数の定着化施策の積み重ねがあります。

まず、毎週木曜日16時から約1時間開催している「寺子屋」ユーザー会が定着の起点となりました。大きな会議室を確保し、「この時間、この場所ではTableauに集中する」という運営方針を定めることで、日常業務の割り込みから切り離された活用環境を整備しました。半年以上にわたって継続する中で、寺子屋後の個別相談をきっかけに新たなダッシュボード開発プロジェクトが生まれるなど、好循環も形成されていきました。

組織的な後押しも大きく機能しました。経営層からは「仕事で生み出した成果は、Tableauを使って経営層にも伝わる形で示していこう」という強いメッセージが発せられ、各部門に少なくとも1本のダッシュボードを作成する方針が打ち出されました。また、ダッシュボード作成者へのインタビュー記事を行内ニュースとして配信し、「なぜそのダッシュボードを作成したのか」をストーリー形式で共有したことも、活用の浸透につながっています。

 

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図1:行内通達を通じて、ダッシュボードの公開情報や活用方法を案内

 

さらに、2カ月以上ログインのないユーザーにはライセンスを返却してもらう運用ルールを設けることで、ライセンスをアクティブユーザーに集中させながら、「使わなければ返す」という意識も浸透していきました。新しいダッシュボードを公開する際には、行内通達に「詳細はTableau参照のこと」と明記し、別紙で活用方法やクリックすべきポイントまで丁寧に案内しています。銀行員が毎日必ず目を通す公式な業務導線にTableauを組み込むことで、「見てください」ではなく「業務として確認するもの」として定着させています。

利便性の向上にも取り組みました。システム部門の協力のもと、行内ポータルからワンクリックでTableau Serverにアクセスできる自動ログイン機能を実装したところ、閲覧数は大きく伸び、3月から4月の2カ月間だけでMAUは約20ポイント上昇しました。

現在では、役員会議の資料グラフがTableauで作成されています。役員にもViewerアカウントを付与しており、気になった数字を自らログインして確認する方も増えています。

丸岡氏は、Tableauの浸透によって組織文化そのものにも変化が生まれていると語ります。

「今は役員会議の資料グラフがTableauで作られています。役員全員にViewerアカウントを配賦してあるので、気になった数字はご自身で掘り下げていただいています。以前の、部下に情報を持ってきてもらう文化から、自分で見に行く文化に変わってきていると感じています。」

今は役員会議の資料グラフがTableauで作られています。役員全員にViewerアカウントを配賦してあるので、気になった数字はご自身で掘り下げていただいています。以前の、部下に情報を持ってきてもらう文化から、自分で見に行く文化に変わってきていると感じています。

可視化による行動変容 — 事務リスク管理からペーパーレス推進まで

常陽銀行のTableau活用は、成果の可視化にとどまらず、リスクの予兆検知にも広がっています。事務ミスやトラブルが起きやすい営業店を事前に把握するため、過去の事務ミス発生率や事務量、店舗特性など複数の指標をもとに、レーダーチャート形式で可視化した「事務リスクプロファイルダッシュボード」を構築しました。

本部はこのダッシュボードを活用してリスクの高い営業店を特定し、現地確認や指導のタイミングを判断しています。従来のようなランダムな抽出や経験則に頼った管理ではなく、データに基づいて優先順位をつけることで、より効果的なリスク管理を実現しています。

さらに、本部と営業店が同じダッシュボードを見ながら対話できるようになったことで、認識のずれが減少。共通のデータを起点に議論し、改善策を検討するスタイルへと変化しつつあります。Tableauは、銀行業務の根幹を支えるリスク管理のあり方そのものを変え始めています。

 

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図2:複数指標のレーダーチャートで、リスクの高い営業店をプロアクティブに把握

 

同様の「可視化による行動変容」は、ペーパーレス推進にも表れています。全行的なペーパーレス推進を支えるプリンタ印刷枚数のダッシュボードも、常陽銀行における象徴的な取り組みの一つです。

プリンタログをデータソースとして、Tableau Prepでデータを加工し、ブロック別・部署別の印刷枚数を前年比および2021年度比で確認できる形で全行に公開しました。

この取り組みを契機に、全行的なペーパーレス推進が進展しています。取り組み開始時に年間1億500万枚(印刷・コピー・帳票・伝票などの合計)あった印刷枚数は、3年間で75%削減され、約3,290万枚まで圧縮されています。郵送を含めた全体の紙の使用量も、取り組み開始前と比較して約2割の水準まで縮減しました。

 

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図3:印刷枚数の削減率をブロック・部署別にリアルタイムで確認できるダッシュボード

 

丸岡氏は、ペーパーレス推進における可視化の効果について次のように振り返ります。

「ペーパーレスの取り組み開始時には年間1億500万枚にのぼっていた印刷枚数は、3年間で75%削減されました。郵送物も大幅に削減されたことで、紙全体の使用量は取り組み開始前の約2割の水準まで縮小しています。また、営業店におけるプリンタ利用状況を可視化したことで、現場自らが改善に取り組むサイクルが生まれ、継続的な業務改革を後押ししています。」

ペーパーレスの取り組み開始時には年間1億500万枚にのぼっていた印刷枚数は、3年間で75%削減されました。郵送物も大幅に削減されたことで、紙全体の使用量は取り組み開始前の約2割の水準まで縮小しています。また、全国の営業店におけるプリンタ利用状況を可視化したことで、現場自らが改善に取り組むサイクルが生まれ、継続的な業務改革を後押ししています。

手形・小切手電子化の早期移行を実現——Tableauによる可視化で現場の行動変容を促進

政府が2026年度末を期限に掲げる手形・小切手の全面電子化に対し、常陽銀行では期限より1年前倒しで廃止する目標を設定し、全行を挙げて取り組みを進めてきました。その結果、現在では手形・小切手電子化の削減率で地域金融機関トップクラスの水準を実現しており、全国銀行協会や経済産業省、金融庁などからも好事例として注目を集めています。

その推進力の一つとなったのが、Tableauによる可視化です。各営業店やブロックの進捗状況をひと目で把握できるダッシュボードを現場部門が自ら企画し、堤氏が作成を支援。担当者のアイデアを反映した視覚的な表現によって、現場の当事者意識を高め、改善活動を後押ししました。

丸岡氏は、全国的には期限までなお時間的な余裕があったものの、手形・小切手の廃止方針が示された段階で、期限より1年早い目標を設定して取り組みを開始したと振り返ります。

 

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図4:ブロック別の電子化進捗を可視化し、現場の自発的な行動を促すダッシュボード

 

単に進捗を見せるためのダッシュボードではなく、各拠点が自らの立ち位置を把握し、改善につなげるための共通言語として機能したことが、全国トップクラスの成果につながりました。担当部門ごとの創意工夫を尊重しながら、現場が主体となってデータを活用する文化が、行動変容を生み出しているのです。

「もともと全国的にはもう1年くらい余裕があったのですが、手形・小切手をやめるという話が出た段階から、期限より1年早くなくすという目標を立てて取り組んでいました。現在、手形・小切手電子化の削減率は地域金融機関のトップ水準に達しています。そのドライバーの一つが、この可視化です。」(丸岡氏)

もともと全国的にはもう1年くらい余裕があったのですが、手形・小切手をやめるという話が出た段階から、期限より1年早くなくすという目標を立てて取り組んでいました。現在、手形・小切手電子化の削減率は地域金融機関のトップ水準に達しています。そのドライバーの一つが、この可視化です。

他社にはないTableauの価値

「全員参加型」のデータ活用文化を支えるTableau

BI活用の推進では、経営層主導によるトップダウン型のアプローチが一般的です。一方、常陽銀行では、現場が自発的にダッシュボードを作成し、その成果を積み重ねながら経営層の理解と支援を得てきたと、経営企画部 DX戦略室 調査役 堤 亜紀氏は振り返ります。

Tableau活用の裾野を広げる活動は現場主導で推進されています。現場から生まれたアイデアや成果を経営層が支援することで、全行的な活用が進んできました。

多くの金融機関では、BI専門部署や専任担当者が中心となってダッシュボードを作成するケースが少なくありません。しかし、常陽銀行では、丸岡氏が「全員参加型」と表現するように、業務部門自らが主体となってデータ活用を推進しています。

堤氏が各部門と伴走しながら課題を整理し、ダッシュボードづくりを支援することで、BI活用に対する理解と認知が広がっていきました。現在では、堤氏は相談役として各部門を支援する立場となり、スキル習得やダッシュボードの作成・改善は各部門が自律的に担っています。

堤氏は、「Tableauの取り組み自体も、その裾野を広げる活動も、基本的にボトムアップです。ボトムアップの取り組みを、経営層が後ろから支えるような形で進んできました」と語ります。

こうした推進体制が成立した背景には、業務部門の担当者が自ら使いこなせるTableauの操作性があります。専門部署に依存することなく、現場が主体となってダッシュボードを作成し、改善を重ねながら活用を広げていく――。常陽銀行のデータ活用文化を支えているのは、誰もが扱いやすいTableauの使いやすさにあるといいます。

Tableauの取り組み自体も、その裾野を広げる活動も、基本的にボトムアップです。ボトムアップの取り組みを、経営層が後ろから支えるような形で進んできました。

一気通貫のプラットフォームと、現場が習熟のしやすい操作性

常陽銀行がTableauを選定した理由の一つが、データ加工(Tableau Prep)から可視化(Tableau Desktop)、共有・ガバナンス(Tableau Server)までを一つのプラットフォームで完結できる点でした。比較検討した他製品では、データ加工と可視化を別々のツールで担う必要があったり、独自の関数体系に学習コストがかかったりするケースもありました。

堤氏は、「他のBIツールも検討しましたが、データ加工(Prep)から可視化まで一気通貫で対応できること、そして行内の人材が短期間で使いこなせる操作性で、Tableauが頭一つ出ていると感じました。他製品では関数体系が独特で難しく感じましたが、TableauはExcelと同じような感覚で使えるという点が行内展開のしやすさにもつながっています。」と振り返ります。

他のBIツールも検討しましたが、データ加工(Prep)から可視化まで一気通貫で対応できること、そして行内の人材が短期間で使いこなせる操作性で、Tableauが頭一つ出ていると感じました。他製品では関数体系が独特で難しく感じましたが、TableauはExcelと同じような感覚で使えるという点が行内展開のしやすさにもつながっています。

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BIとAIの融合で、データドリブン経営の次のステージへ

Tableauで築いてきたデータ活用の文化を土台に、常陽銀行では機械学習や生成AIを組み合わせた次のステージへと歩みを進めています。今後の展望について、丸岡氏は「真のデータドリブン化」を目指すと語ります。リスク管理・人事・監査など、まだダッシュボード化が進んでいない領域にも展開を広げながら、TableauがExcel以上に当たり前の存在として全行員の日常業務に溶け込む状態を目指しています。

その先を見据えた取り組みとして、機械学習と生成AIを組み合わせた法人営業支援ダッシュボードの開発も進んでいます。企業が今後6カ月以内に融資を必要とする確率を統計解析によって算出し、その結果をレーダーチャートで可視化。さらに生成AIが「その企業の経営者とどのような会話をすればよいか」というヒントをコメントとして提示し、業界ニュースなどの最新情報も一画面に集約します。

銀行員1人当たり平均150〜200社の法人顧客を担当する中、限られた訪問機会の中で資金需要が高まっている顧客を優先し、タイムリーな提案につなげるための仕組みとして機能しています。

 

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図5:融資需要スコア・提案ヒント・業界ニュースを1画面に集約した法人営業支援ダッシュボード

 

資金需要が高まっている顧客を優先してタイムリーな提案につなげるこの仕組みは、現在営業担当者を対象に運用されており、今後さらなる展開を見据えています。

常陽銀行では事実の可視化にとどまらず、予測や生成AIを組み合わせながら、データ活用の高度化を進めています。

丸岡氏は、今後のデータドリブン化の目指す姿について、次のように述べます。

「データで考え、データでモニタリングし、データからヒントを得るという癖や文化をちゃんと作っていきたい。そういう聖域のない状態になれば、ExcelよりTableauが当たり前になって、組織が自走していくと思っています。」

データで考え、データでモニタリングし、データからヒントを得るという癖や文化をちゃんと作っていきたい。そういう聖域のない状態になれば、ExcelよりTableauが当たり前になって、組織が自走していくと思っています。

※ 本事例は2026年7月時点の情報です