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KADOKAWA、Tableauで宣伝・販売データを統合し、メディアミックス戦略を支えるデータドリブンな意思決定基盤を構築

全社2,500超のTableauライセンスを基盤に、IPのメディアミックス収支を一元可視化

広告施策と販売実績を統合した「KADO-VIEW」で、プロモーション効果を横断分析

書店営業担当の100%がタブレットから店舗別データを活用 — データにもとづく発注・提案営業を実現

株式会社KADOKAWAは、2016年よりTableauを全社のBI基盤として活用し、宣伝・販売・営業など幅広い業務でデータドリブンな意思決定を推進しています。現在は2,500超のライセンスを展開。宣伝局とデジタルマーケティング局の合同プロジェクトとして構築した「KADO-VIEW」では、スプレッドシートで個別管理されていた広告施策データと販売実績データを統合し、広告施策と売上を横断的に分析できる環境を実現しました。また、書店営業担当者向けダッシュボード「Ebroccoli」では、全国の営業担当者の100%がタブレット端末から店舗別データを参照しながら商談を行っており、データにもとづく発注や販促施策の提案が営業活動の標準となっています。

株式会社KADOKAWAについて

株式会社KADOKAWAは、出版、アニメ・実写映像、ゲーム、Webサービス、教育・EdTechなどの事業を展開する総合エンターテインメント企業です。世界中から才能を発掘して多彩なIP(Intellectual Property)を創出し、さまざまなメディアで展開。創出したIPをテクノロジーの活用により世界に届ける「グローバル・メディアミックス with Technology」戦略を掲げ、IP価値の最大化を推進しています。

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株式会社KADOKAWAの挑戦

KADOKAWAは2016年よりTableauを導入し、長年にわたり全社のデータ活用文化の醸成に取り組んできました。導入当初は、ドワンゴ社内でセルフサービスBIの文化を根付かせる取り組みの中でTableauを採用。ノーコードで直感的にダッシュボードを作成できるという特長が評価され、エンジニア以外の社員にもデータ活用の裾野が広がっていきました。

Tableauの利用は全社へ広がり、MAU(月次アクティブユーザー数)も着実に伸長するなか、「データ活用をいかに事業成果へつなげるか」という新たな課題が見えてきました。中期経営計画で掲げた「グローバルメディアミックス with Technology」を実現し、IPのライフタイムバリュー(LTV)を最大化するためには、単なるデータの可視化だけでなく、データとAIの活用を通じた意思決定の革新が不可欠だったのです。

特に宣伝部門では、データの分断が大きな課題となっていました。広告施策の実績データ(インプレッションやCTRなど)は代理店から共有される報告書をもとに担当者がスプレッドシートで個別管理し、販売実績は別の基幹システムで管理されていました。分析のたびに担当者が各システムからCSVをダウンロードし、Excelでデータを突き合わせてグラフ化するという手作業が続いていました。

デジタルマーケティング局 マーケティングストラテジー部 課長 浴 知華氏は当時を振り返ります。

「データの形式が統一されておらず、紐付け作業に多大な工数がかかるため、分析が『事後』かつ『限定的』になりがちでした。どの広告が、どれだけ売上に直接寄与したかを簡単に判断する術がなく、経験や勘に頼った施策選定になりやすい状況にありました。」

データの形式が統一されておらず、紐付け作業に多大な工数がかかるため、分析が『事後』かつ『限定的』になりがちでした。どの広告が、どれだけ売上に直接寄与したかを簡単に判断する術がなく、経験や勘に頼った施策選定になりやすい状況にありました。

現場の課題に加え、KADOKAWAでは、データ活用を一部の担当者だけの取り組みに終わらせず、全社の成果につなげるための組織づくりにも力を入れてきました。

デジタルマーケティング局 データマネジメント部 部長 塚本氏は、データ・AI活用を推進するためには「肥沃な土壌」と「種をまくこと」の両方が欠かせないと語ります。

「会社における従業員のデータ・AIリテラシーが低いと、高度なことをしようとしても、リテラシーがボトルネックになって成果を出すことはできません。一方で、リテラシーが高くても、実際に何をやるかという活用案件や、それを推進する人がいなければ花は咲きません。『肥沃な土壌』と『種をまく』こと、その両方が必要です。」

会社における従業員のデータ・AIリテラシーが低いと、高度なことをしようとしても、リテラシーがボトルネックになって成果を出すことはできません。一方で、リテラシーが高くても、実際に何をやるかという活用案件や、それを推進する人がいなければ花は咲きません。『肥沃な土壌』と『種をまく』こと、その両方が必要です。

この考えのもと、2024年には宣伝局とデジタルマーケティング局による合同プロジェクトが始動しました。分散して管理されていた宣伝施策データと販売実績データを統合・可視化し、データに基づくプロモーション最適化を実現する取り組みが本格化していきます。

TableauがKADOKAWAをどのようにサポートしているか

KADO-VIEW — 宣伝施策と販売実績をつなぎ、データドリブンなプロモーションを実現

2025年8月にリリースされた「KADO-VIEW」は、宣伝施策データと販売実績データを統合した全社向けダッシュボードです。これまで個別に管理されていた広告施策と販売実績を一つの画面で横断的に分析できるようになり、施策が売上に与えた影響をデータに基づいて把握できる環境が整いました。

 

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図1:KADO-VIEW 宣伝施策一覧 — 媒体・ジャンル・期間ごとにIMP・CTR・CPC・CPAを一覧で確認

 

広告施策の管理ツールとして社内で運用されているkintoneに入力されたデータは、ETLツールを経由してSnowflakeへ集約され、Tableau Cloudで可視化されています。ダッシュボードでは、インプレッション、CTR、CPC、CPAなどの広告指標を媒体別・ジャンル別に分析できるほか、広告掲載前後の販売実績もあわせて確認できるため、施策効果を多角的に評価できます。

 

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図2:KADO-VIEWを支えるデータ連携アーキテクチャ

 

KADO-VIEWによる変化について、浴氏は次のように語ります。

「以前は自分の担当案件以外の状況を把握することが難しく、媒体ごとのCTRやCPCの水準感もつかみにくい状況でした。KADO-VIEWによって、各ジャンル・媒体の施策実績を一覧で把握できるようになり、過去の傾向と比較しながら施策を検討できるようになりました。」

2026年4月からは全社公開され、編集部門や営業部門を含む幅広い社員がKADO-VIEWを活用しています。リリース当初と比べてMAUは約4倍に拡大し、宣伝部門にとどまらず、全社で日常的にデータを活用する基盤として定着が進んでいます。

以前は自分の担当案件以外の状況を把握することが難しく、媒体ごとのCTRやCPCの水準感もつかみにくい状況でした。KADO-VIEWによって、各ジャンル・媒体の施策実績を一覧で把握できるようになり、過去の傾向と比較しながら施策を検討できるようになりました。

メディアミックス収支ダッシュボード — IP単位での事業判断を可視化

KADOKAWAでは、一つのIPを紙・電子書籍だけでなく、アニメ、ライツ、マーチャンダイジングなど複数の事業へ展開する「メディアミックス」を推進しています。そのため、作品単位ではなくIP単位で収支を俯瞰し、媒体ごとの特徴や収益構造を把握できることが、事業判断において重要になります。その意思決定を支えているのが、「メディアミックス収支ダッシュボード」です。

ダッシュボードでは、「Re:ゼロから始める異世界生活」や「ソードアートオンライン」などのシリーズを指定すると、紙・電子・アニメ・ライツ・マーチャンダイジングなど各媒体の売上・利益を一元的に確認できます。さらに、IPどうしを比較しながら、「この作品はどの媒体に強みがあるか」「アニメ化による原作への影響はどれほどか」といった視点で分析し、今後の施策検討に向けた示唆を得られる環境を実現しています。

 

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図3:メディアミックス収支ダッシュボード — IP単位で紙・電子・アニメ・ライツなど全媒体の収支を一元把握し、シリーズ間の比較も可能

 

このダッシュボードの価値について、浴氏は次のように語ります。

「書籍1冊単位ではなく、IP単位での収支をすぐに確認できるのは非常に画期的です。デジタルマーケティング局に所属していて、売上をぱっと見たいというニーズをいただくときに、このダッシュボードをすぐにご案内できるようになりました。」

書籍1冊単位ではなく、IP単位での収支をすぐに確認できるのは非常に画期的です。デジタルマーケティング局に所属していて、売上をぱっと見たいというニーズをいただくときに、このダッシュボードをすぐにご案内できるようになりました。

Ebroccoli — 書店営業の現場でデータがアクションに直結

「Ebroccoli」は、全国の書店営業担当者向けに開発されたTableauダッシュボードです。営業担当者はタブレット端末を持参し、訪問先の書店で店舗別の在庫数、販売数、2週間後の在庫予測などをその場で確認しながら商談を進めることができます。

ダッシュボードでは、自店の販売実績だけでなく、規模や立地などが近い類似店舗の平均実績や全国全店舗の集計データとも比較できます。店舗の状況を客観的なデータで把握できるため、「類似店舗ではこの作品が好調に売れているため、追加発注を検討しませんか」「現在の販売ペースでは2週間後に在庫不足が見込まれます」「近隣店舗ではフェアへの参加が広がっていますので、ご参加を検討されませんか」といった提案を、その場でデータを根拠に行えるようになりました。

 

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図4:Ebroccoli — タブレット端末から店舗別の在庫・販売数・予測を確認し、書店でデータに基づく提案を実現

 

また、ダッシュボードは店舗訪問時だけでなく、営業活動の事前準備にも活用されています。店舗ごとの販売状況や在庫状況をあらかじめ把握したうえで商談に臨めるため、営業担当者はデータをもとにした提案を実践しています。

データにもとづく営業スタイルについて、塚本氏は次のように語ります。

「書店営業担当全員が、訪問先でタブレットのダッシュボードを確認しながら提案するスタイルが現場に定着しています。」

現在では全国60〜70名の書店営業担当者がEbroccoliを活用し、店舗訪問から事前準備、商談まで営業活動全体でデータを活用しています。分析結果を確認するだけでなく、その場で追加発注やフェアの提案といった次のアクションにつなげられることが、Ebroccoliの大きな特長です。

書店営業担当全員が、訪問先でタブレットのダッシュボードを確認しながら提案するスタイルが現場に定着しています。

他社にはないTableauの価値

現場の声を形にする、Tableauの柔軟なダッシュボード開発

KADOKAWAがTableauを採用した最大の理由は、エンジニアに依存することなく、業務部門が主体となってダッシュボードを開発・改善できるセルフサービスBIとしての使いやすさにありました。GUIによる直感的な操作で高度なダッシュボードを作成できることに加え、SQLによるデータ加工と組み合わせることで、利用者の業務に合わせた分析環境をスピーディーに構築できる点を高く評価しています。

実際にKADOKAWAでは、広告施策と販売実績を統合した「KADO-VIEW」、IP単位で収支を俯瞰する「メディアミックス収支ダッシュボード」、書店営業担当者が店舗で活用する「Ebroccoli」など、それぞれ異なる業務に応じたダッシュボードをTableauで構築しています。Snowflakeを中心に、kintoneなどの業務システムと連携したデータ活用や、営業担当者がタブレット端末から利用するダッシュボードなど、多様な業務シーンでTableauを活用しています。

また、ダッシュボードの開発では、「こんな見せ方はできないか」「このデータも一緒に表示したい」といった利用者からの要望に対し、試行錯誤を重ねながら改善を続けています。複数のデータを組み合わせた複雑な可視化や、振り返り資料にそのまま活用できるような一目でわかる表現など、一見すると難しそうな要望にも応え続けてきたことが、Tableauへの信頼につながっています。

Tableauの強みについて、浴氏は次のように語ります。

「『これは無理かもしれない』という前提を持たずに、ユーザーの使いやすさを探求し続けられるのがTableauの強みだと感じています。」

『これは無理かもしれない』という前提を持たずに、ユーザーの使いやすさを探求し続けられるのがTableauの強みだと感じています。

また塚本氏は、AIの活用が進む時代でも、ダッシュボードの役割は変わらないと考えています。ダッシュボードは単に数値を可視化するためのものではなく、組織全体で共通の指標やビジネス上の意味を定義し、共通認識を形成するための基盤です。GUIでそうした意味づけを行えることこそが、Tableauの大きな強みであり、AI時代においてさらに重要になると、塚本氏は次のように語ります。

ダッシュボードを作ることは、メタデータを定義することでもあります。GUI操作でビジネス上の意味を丁寧に定義できるTableauの強みは、AI時代においてますます際立ってくると考えています。ヘッドレスがあれば全部いいということは絶対にない。ダッシュボードという形で組織共通の視点を提供し続けることは、これからも変わらず重要です。

今後の展望 — AI時代のデータ活用基盤の進化

KADOKAWAでは、Tableauを活用したデータ分析基盤をさらに発展させる取り組みを進めています。

注目している領域の一つが「BI as Code」です。現在、ダッシュボードの指標定義や配色などを変更する際には手作業が発生しますが、TWBファイル(TableauワークブックのXMLベースフォーマット)をコードとして管理することで、生成AIを活用した一括編集や品質保証を実現できる可能性があると期待しています。

また、Tableauで定義したビジネスロジックや指標を活用しながらセマンティックレイヤーを整備し、自然言語によるデータ分析(ヘッドレスBI)へ展開する構想です。ダッシュボードで組織全体が共通の指標を確認し、さらに詳しく分析したい場合は自然言語で深掘りする――ダッシュボードと自然言語分析を組み合わせた二層構造のデータ活用環境の実現を目指しています。

塚本氏は、こうした技術を最大限に活かすためには、人材育成も欠かせないと考えています。KADOKAWAでは、内製のデータリテラシートレーニングや社内コミュニティによる知見共有を継続するとともに、各部署でデータ活用を推進する人材の育成や、業績から逆算してプロジェクトを牽引する「ビジネストランスレーター」の育成にも取り組んでいます。

人材育成の考え方について、塚本氏は次のように語ります。

「全社のデータ・AIリテラシーが高まることで、より高度な取り組みが可能になります。肥沃な土壌を整えることと、具体的な活用案件を推進する人材を育てることを、両輪で進めていくことが重要だと考えています。」


マーケティング、経営、営業と、それぞれ異なる業務課題に対して一つのTableau基盤でデータ活用を推進するKADOKAWA。AI時代を見据えながらも、組織全体で共通の指標を共有し、データに基づく意思決定を支える基盤として、Tableauの活用はさらなる進化を続けていきます。
 

全社のデータ・AIリテラシーが高まることで、より高度な取り組みが可能になります。肥沃な土壌を整えることと、具体的な活用案件を推進する人材を育てることを、両輪で進めていくことが重要だと考えています。