パナソニックくらしアプライアンス社、Tableau AIで製造プロセスの改善を加速し、不良率を3.8%から1.1%へ低減、年間3,800万円規模の効果を創出
不良率を3.8%から1.1%へ低減、年間3,800万円規模の効果を創出
生産性指数が+25%改善、1時間あたり生産数が大きく伸長
デジタル日報で1工場あたり月186時間(年間約2,200時間)を削減、改善活動の横展開を加速
目次
パナソニックくらしアプライアンス社は、Tableauを活用したデータにもとづく改善活動により、製造品質・生産性・業務効率の向上を同時に向上しています。製造プロセスを継続的に改善できる仕組みを整備した結果、不良率は3.8%から1.1%へ低減(年間約3,800万円規模の効果と試算)、生産性指数も40から60へと大きく改善しました。さらに、日報業務のデジタル化により、1工場あたり月186時間(年間約2,200時間)の作業時間削減を実現しています。
パナソニックくらしアプライアンス社について
パナソニックくらしアプライアンス社は、パナソニックグループの中核事業会社として、冷蔵庫・洗濯機・エアコン・調理家電など、日々のくらしに密着した家電製品をグローバルに提供しています。「より良いくらし」の実現を使命に、省エネ性能や快適性、安全性を追求した製品開発を進めるとともに、製造・品質・サプライチェーン領域におけるデジタル変革にも注力しています。近年は、製造プロセスの可視化やデータ活用を通じて、品質向上と生産性向上の両立を図り、持続可能なものづくり体制の強化を進めています。
パナソニックくらしアプライアンス社の挑戦
同社では、品質向上や生産性改善を目的に、製造プロセスにおいて日々多くのデータが蓄積されていました。一方で、当時の運用は紙帳票やExcelが中心で、工程データや日報情報は個別に管理されており、現場や工場ごとにデータの見方や使い方が分断されていました。そのため、データは存在していても、改善に必要な情報を迅速に把握し、部門や拠点を越えて共有することは容易ではありませんでした。
生産量の増加や多品種化が進む中、不良やトラブルが発生した際には、要因の特定に時間を要し、現場の経験や勘に頼らざるを得ない場面も少なくなかったといいます。加えて、日報作成や集計作業に多くの工数が割かれ、改善活動に十分な時間を充てられないという課題も顕在化していました。
当時の状況について、同社で製造プロセス改革を推進してきた、ビジネスプロセスイノベーション本部 製造革新センター 拠点強化推進部 部長の杉山 泰臣氏は次のように語ります。
「以前は、不良が発生すると、どの工程で、いつ、どの条件で起きたのかを紙の日報やExcelで確認しており、原因の特定に時間がかかっていました。現在は、工程や状況をデータで確認できるようになり、原因を追えるようになっています。」
同社は、現場主導のデータドリブン経営改革の実現に向け、各拠点でのデジタルデータ活用人材の拡充を進めるとともに、2022年には分科会を立ち上げ、全社的に製造現場でのデータ活用を推進してきました。
製造実行を担うMESに蓄積されるデータを起点に、製造データのデジタル化と可視化に着手。工程データや品質データ、作業工数を整理し、共通指標として扱える基盤を整備しました。そのうえでTableauを導入し、MESに記録されたデータを、現場および管理層が状況把握や意思決定に活用できる表示・分析環境を構築しています。
「Tableauの活用により、工程ごとの稼働状況やボトルネック、不良の発生傾向を横断的に把握できるようになりました。結果を確認するだけでなく、要因を深掘りする分析が可能になり、MESで収集された実績データを改善につなげる情報として活用できています。その結果、要因分析にもとづく改善を継続的に実施できるようになり、不良率は3.8%から1.1%へ低減、年間約3,800万円規模の効果創出につながっています。」(杉山氏)
現在は、MESに蓄積されたデータを起点に、KPIの確認から分析、現場確認までを一連の流れとして回せるようになり、製造現場の判断をデータで支える体制を確立。工場間での共有や横展開も可能な改善モデルの共通化を目指しています。

デジタルデータ収集・活用分科会について
Tableauの活用により、工程ごとの稼働状況やボトルネック、不良の発生傾向を横断的に把握できるようになりました。結果を確認するだけでなく、要因を深掘りする分析が可能になり、MESで収集された実績データを改善につなげる情報として活用できています。その結果、要因分析にもとづく改善を継続的に実施できるようになり、不良率は3.8%から1.1%へ低減、年間約3,800万円規模の効果創出につながっています。
Tableauがパナソニックくらしアプライアンス社をどのようにサポートしているか
生産性指数が約25%改善、1時間あたり生産数も大きく向上
パナソニックくらしアプライアンス社では、生産性向上に向けた改善活動の出発点として、「現状をすぐに把握できること」を重視してきました。生産性の変化を早期に捉え、関係者間で共有できるかどうかが、その後の改善スピードを大きく左右すると考えていたためです。
この点について、現場で生産性改善を推進してきた、ビューティ・パーソナルケア事業部 モノづくり総合部 グローバル生産革新課 主務の野出 広樹氏は、次のように語ります。
「今どういう状態なのかをすぐに把握できることが重要でした。彦根工場では、Tableau Pulseで生産性指数などのKPIを確認することで、『いつもと違う』『何か変化が出ている』といった兆しに、早い段階で気づけるようになっています。」
Tableau Pulseは、生産性に関する主要KPIを日常的に確認するための入口として活用されており、製造部門や関係者が集まる会議においても、共通の指標をもとに状況を共有する基盤となっています。現場と管理層が同じ数字を見ながら議論できる環境が整いました。
Tableau Pulseで変化に気づいた後は、工程別の稼働状況やボトルネックを可視化したダッシュボードで要因を深掘りします。野出氏は次のように続けます。
「Tableau Pulseで全体の数字を確認したうえで、必要なところだけをダッシュボードで詳しく見ています。会議の中でも、その流れを止めずに確認できるのが大きいですね。」
このように、同社ではKPIの確認から要因分析までを分断せずに進められる流れが定着。会議で得られた気づきを、そのまま現場の改善アクションにつなげられるようになりました。その結果、生産性指数は従来の40から50へと改善し、約25%の向上を達成。1時間あたりの生産数も着実に伸長しています。

Tableau Pulseを用いた生産性指数の状況把握

会議内で一つのモニターを全員で確認
また、Tableau Pulseでは主要KPIの変化にいち早く気づき、その後の要因分析や探索的な分析はダッシュボードで実施する、という使い分けを行っています。ダッシュボードでは、工程別・時間帯別に不良の発生状況を深く分析・比較することで、どの工程に課題が集中しているのかを把握できるようになりました。
「まずTableau Pulseで大まかな傾向をつかみ、ダッシュボードで時間帯に当たりをつけています。ダッシュボードよりその時間帯の録画リンクへ移動し確認を行っています。これにより、現場で実際に何が起きていたのかを具体的に把握できるようになりました。」(野出氏)
KPIの把握から要因分析までを分断せずに進められるようになったことで、異常への気づきから原因特定までのスピードが大きく向上したと、野出氏は語ります。

時系列での生産数とピッチタイム時間

ダッシュボードから録画へ遷移し、問題時間帯を確認
まずTableau Pulseで大まかな傾向をつかみ、ダッシュボードで時間帯に当たりをつけています。ダッシュボードよりその時間帯の録画リンクへ移動し確認を行っています。これにより、現場で実際に何が起きていたのかを具体的に把握できるようになりました。
デジタル日報で1工場あたり月186時間(年間約2,200時間)を削減、改善活動の横展開を加速
また、生産性や品質の改善を継続的に進めていくうえで、同社が課題として捉えたのは、日報作成や集計にかかる工数そのものが現場の負担になっている点でした。
紙の日報への記入やExcelへの転記・集計作業に多くの時間が割かれ、本来注力すべき改善活動に十分な時間を充てられていなかったといいます。
そこで同社は、日報業務のデジタル化に着手。作業実績や工程情報をデータとして一元管理し、Tableauで可視化することで、日報作成・集計にかかる作業負荷を大幅に削減しました。その結果、八日市工場では1工場あたり月186時間(年間約2,200時間)の作業時間削減を確認しています。
日報のデジタル化によって得られた変化は、工数削減にとどまりません。改善活動の進捗管理にはMicrosoft Plannerを活用し、関連資料や情報はSharePoint上で共有。これらをTableauのダッシュボードで可視化することで、日報データと改善活動をひも付けて把握できる環境を整備しました。
「日報のデジタル化によって、作業工数を減らせただけでなく、どの工程で、どの改善が進んでいるのかをデータで共有できるようになりました。現場と管理層が同じ情報を見ながら状況を確認できるようになったのは、大きな変化です。」(野出氏)
現在では、こうした取り組みで得られた成果や運用ノウハウを、八日市工場から他工場へ横展開することも視野に入れています。改善の進め方そのものをデータで共有することで、個別の取り組みにとどまらず、全工場で再現可能な改善モデルの確立を目指しています。

彦根工場:ラインの稼働状況

製造現場の改善活動の進捗管理
他社にはないTableauの価値
製造プロセスのKPIから現場確認までを一本でつなぐ改善スピード
パナソニックくらしアプライアンス社がTableauに価値を見出しているのは、KPIの把握から要因分析、現場確認、改善の実行までを分断せず、現場が一つの流れとして回せる点です。
他社のBIツールでは、KPIの確認、詳細分析、現場確認が別々のツールや担当者に分かれやすく、気づきが生まれても改善アクションにつながる前に流れが途中で止まってしまうケースも少なくありません。一方でTableauでは、複数のツールや担当者を介することなく、現場自身がその場で一連のプロセスを進められることが、改善スピードを大きく高めています。
この点について、ビューティ・パーソナルケア事業部 デバイス商品部 デバイス製造課の伊藤 弘樹氏は次のように語ります。
「直感的な操作性と分かりやすい可視化によって、分析の流れを止めることなく深掘りできる点を評価しています。グラフも洗練されていて見やすく、使っていく中で若手社員でも簡単に操作できるところが良いですね。」
また、Tableau Prepを活用することで、分析に必要なデータ整備までを現場で完結できる点も大きな特長です。処理の流れをフローとして可視化・共有できるため、データ整備が属人化せず、改善活動を継続的に支える前工程として定着しています。
このようにTableauは、単にデータを集計・可視化を行うツールではなく、改善活動そのものを日常業務の中に組み込み、回し続けるための意思決定のプラットフォームとして機能しています。KPIの変化に気づき、要因を掘り下げ、現場で確かめ、次の改善につなげる——その一連の流れを現場が自ら回せることが、他社にはないTableauの価値だといいます。
直感的な操作性と分かりやすい可視化によって、分析の流れを止めることなく深掘りできる点を評価しています。グラフも洗練されていて見やすく、使っていく中で若手社員でも簡単に操作できるところが良いですね。
データ活用で現場を変える、Tableau AIによる継続的な改善の実現
パナソニックくらしアプライアンス社では、こうした取り組みを通じて、データを一部の担当者が使うための分析ではなく、現場で日常的に改善を進めるための情報として活用する取り組みが定着しつつあります。
これまで、「ダッシュボード作成は難しい」「見たい切り口の変化が多く対応に時間がかかる」「限られた担当者だけでは対応が追いつかない」といった現場の課題がありました。こうした課題に対し、Tableau Pulseを活用することで、「誰が作成しても簡単な操作で同じ外観になる」「短時間で多くの内容を作成・共有し、活用までを素早く展開できる」「閲覧者が見たいさまざまな切り口を対話形式で幅広くカバーできる」といった効果が生まれています。
Tableau AIによる迅速な分析と、ダッシュボードによる製造プロセスの可視化によって、製造現場で起きていることをタイムリーに共有できるようになりました。その結果、工場内での議論が活性化し、会議の生産性向上とともに、データを起点に現場が改善を回し続ける活動へと進化しています。
