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中部電力、サイロ化したデータを集約しTableauで分析する環境を整備 ユーザー自身が「自走」するデータ活用文化が着実に拡大


大量のデータをスピーディに処理

直感的にデータを可視化

急な要求にも迅速に対応可能

導入の背景

低炭素社会への強い要請や再生可能エネルギーの拡大など、経営環境が大きく変化している電力業界。デジタル技術活用などでこれらの変化に対応しつつ、地球環境に配慮した良質なエネルギーを安全・安価かつ安定的に届け続けているのが、中部電力株式会社です。その一環として、太陽光発電データや電力設備利用状況の可視化も積極的に推進。データ活用も早い時期から取り組んできました。

その従来の方法について「業務要件としてデータ分析が必要な場合にはシステム開発も行っていましたが、アドホックな分析に関しては複数の業務システムからデータを抽出し、Excel などを駆使して分析を行っていました」と語るのは、マネジメントサービス本部 IT システムセンター デジタル化推進グループの鈴木 良尚氏。しかし分析対象となるデータはサイロ化されており、分析手法も属人化されていたため、データ共有がなかなか進まない状況だったと振り返ります。

またきめ細かい分析が行いにくいことも、悩みの1 つだったと指摘します。「例えばスマートメーターに関しては、1,000 万近くのお客様の情報が蓄積されていますが、以前はそのサマリーをまとめる程度で、多様な視点から自由に分析するといったことは行われていませんでした」。

このような課題を解決するため、まずはデータを集約するデータレイク基盤の構築に着手。Hadoopを商用化したMapR を2017 年秋に導入し、分析対象データの集約に向けた試行をスタートします。しかしこれによるデータ分析は、予想していたほどには進まなかったと言います。

データを集約する器を用意するだけではなく、ユーザーがデータを活用しやすい環境を整備することも不可欠なのだと痛感しました」と鈴木氏。そこで2018 年にTableau を導入、データ分析環境の整備も進めていくことになったのです。

数億件レベルでデータを取り込めることや、データを簡単に扱えること、直感的に可視化できることなど、数多くの感動を体験しています。また実際に使い始めたユーザーが自走し、積極的に活用するようになることにも驚いています

Tableau 導入・運用環境

現在は分析対象のデータがMapR へと集約された後、Tableau Server へと抽出され、ダッシュボードによる分析が行われています。他システムからMapR へのデータ集約は、ユーザーからの要望に応じてデジタル化推進グループが実施、その際にデータカタログも作成され、ユーザーが使いやすい形で提供されています。またユーザーの手元にあるデータをTableau に直接インポートすることも可能です。システムの設計・構築では、伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)がパートナーとして参画。障害時の対応についてもCTC が全面的な協力を行っています。

Tableau の利用を社内で広げていくための取り組みも行われています。その1 つが月次で実施されている「Tableau Doctor」です。これはTableau 社員が中部電力に赴き、Tableau の操作方法やデータ分析手法など、ユーザーからの質問にその場で回答するというプログラムです。また社内スタッフで質問に対応する「Tableau Mini Doctor」も週次で開催されており、社内の知見だけで対応できる質問はここで回答されています。

具体的な用途としては、スマートメーターで取得した太陽光発電データの可視化や、電力設備利用状況の可視化に加え、経営層の向けのKPI 可視化なども行われています。またこれらの他にも、Tableau活用事例は急速な勢いで増えていると、鈴木氏は説明します。

Tableau 選定の理由

データ分析環境としてTableau を選んだことについては、大きく3 つの理由が挙げられています。

第1 の理由は、導入のハードルが低く、Excel を使えるレベルの知識があれば、簡単にやりたいことが行えることです。ユーザーフレンドリーなインターフェイスを備えているため、IT に詳しくない人でも簡単に使えます。

第2 は直感的な操作でグラフィカルなレポートを作成できることです。多様な視点でデータを切り取り、それを可視化することで、新たな知見が得やすくなります。 そして第3 が、大量のデータをスピーディに扱うことができ、その結果を複数のユーザーで共有できることです。誰もが同じデータを見ながら分析を行うことで、データを社内の共通言語として利用しやすくなります。

 

Tableau 導入効果

データ分析環境としてTableau を採用したことで、以下のようなメリットが得られています。

大量のデータをスピーディに処理 Excel では扱うことの難しかった数億件規模の大量データも、問題なく扱えるようになりました。これにより、これまでは不可能だったデータ分析が可能になり、その結果を多くのユーザー間で共有することも容易になりました。

直感的にデータを可視化 データを多様な切り口から可視化することで、これまで見えてこなかった知見が得られるようになりました。例えばスマートメーターから得られるデータの分析では、従来のようなサマリーだけではなく、エリア毎や時間毎など、多様な切り口から電気の使用状況を把握できるようになっています。

急な要求にも迅速に対応可能 新たなシステム開発を行うことなく新規データ分析が可能になったため、経営層からの新たな要望にも迅速に対応できるようになりました。例えば今回のコロナ禍では、外出自粛の影響をエリア毎に把握したいという要望がありましたが、これにも即座に対応。アフターコロナを見据えた経営方針の立案にも大きな貢献を果たしています。

これまでは、データ活用のためのシステムをユーザーの要望を聞きながら開発していく、というのが主な仕事でした。しかし現在では、まずTableauで対応できないかを考えてもらい、それを支援することが重要な仕事になっています。本当の意味でのエンドユーザーコンピューティングが実現されつつあると感じています

今後の展開について

実際にTableau を使ってもらうと、その後ほとんどのユーザーが自ら積極的に使うようになります」と鈴木氏。データ分析に対するユーザーの意欲の高さに、驚かされることも少なくないと言います。

またシステム開発に関しても、新たな流れが生まれていると指摘します。従来であればデータ活用のためのシステムを、システム開発部門がユーザーの要望を聞いて開発する、というのが一般的でしたが、最近ではユーザー自らが「Tableauで実現できるのではないか」と考え、取り組むケースが増えているのです。

ユーザーが自走しながら自らの要望を実現するという文化が、Tableauによって着実に広がっています。Tableau はいわば、これまでのシステム開発の限界を、突破する起爆剤になっていると言えます。今後もこの流れを加速するため、ユーザーへの積極的な支援を行いたいと考えています。

 

 

伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(CTC)は、お客様のパートナーとなる総合ITサービス企業です。コンサルティングから設計、開発・構築、運用・保守サポートまで、先進のITソリューションやクラウドサービスを組み合わせてお客様の課題を解決します。通信、放送、製造、金融、流通・小売、公共・公益、ライフサイエンス、科学・工学など、全ての分野で最適なサービスを提供します。また、2019 APJ Partner Awardsで、日本国内におけるTableauソリューションの提供実績が評価され「Partner of the Year, Asia Pacific」を6年連続で受賞しました。