JAL、70 万便のフライトデータから目的のデータ抽出、他データと組み合わせて安全性向上に活用


スプレッドシートでは困難だった多種多様な膨大データの組み合わせ分析が可能に
安全性向上に向けた施策立案や安全基準設定の見直しが容易になり、安全性と定時制を両立

日本航空株式会社 (JAL) は「安全性」の確保を最優先に、定時性、快適性、運航効率を追求し続けています。571 路線の国際線、142 路線の国内線を運航し、乗り入れている空港数は全世界で 349 空港に上ります。また米国のFLIGHTSTATS 社からアジア・パシフィック主要航空会社メインライン部門、ならびにネットワーク部門で 6 年連続第 1 位の評価を受けています。

「安全性」を追求する上で重要な役割を果たしているのが、運航本部 運航安全推進部です。ここでは、航空機の各種センサーから得られるフライトデータや、運航情報、乗務員からの報告、ヒヤリハットなどの情報を収集・分析し、安全運航の維持・向上に役立てています。

約 70 万便の膨大なフライトデータから、目的のデータを抽出し可視化する処理を、信じられないスピードで実行できるのが Tableau です。

Tableau: Tableau 導入前の課題について教えてください。

我如古氏: 以前はデータを Access に取り込み Excel で加工していました。しかし多種多様かつ膨大なデータを分析することが難しく、せっかく収集したデータの全てを活かしきれていない状況でした。飛行中の航空機は、速度や高度など 2,000 を超えるパラメーターを秒単位で記録しており、10 時間のフライトで蓄積されるデータ量は 3 ~ 4 万レコードに達します。また過去 5 年間の便数は約 70 万便もあり、これらすべてを Excel で分析するのは現実的ではありませんでした。このような問題を解決するため、品質管理グループは 2014 年 2 月に Tableau の導入を決定。同年 4 月に導入し、Tableau を活用したデータ分析を開始しました。

Tableau: Tableau をどのように利用しているか教えてください。

我如古氏: フライトデータや乗務員からの報告、ヒヤリハットなどの情報を Tableau に集約、これらをデータブレンディング機能で組み合わせ、分析しています。また 2015 年 4 月には、安全管理部門の KPI にあたる「SPI (Safety Performance Indicator)」を可視化するダッシュボードも構築し、多彩な視点から日々データを検証することで、安全運航の維持に活かしています。

Tableau: Tableau 導入の決め手はどのような点でしょうか。

我如古氏: Tableau 導入を決めた理由は大きく 3 点あります。第 1 は分析スピードの速さです。約 70 万便の膨大なフライトデータから、目的のデータを抽出し可視化する処理を、信じられないスピードで実行できるといいます。第 2 は多種多様なデータを組み合わせて分析できるデータブレンディング機能が装備されていることです。これによってフライトデータだけではなく、運航情報や乗務員からの報告、ヒヤリハットなどの情報を組み合わせて分析できるようになりました。そして第 3 がビジュアライゼーションの美しさです。分析結果をわかりやすく表現できるため、安全性向上につながるアイデアも生まれやすくなったといいます。

今後はホームページに Tableau Online のビジュアライゼーションを埋め込むことも検討されています。これによって客観的にデータを見る文化が醸成され、安全意識のさらなる向上につながるのではないかと考えています。安全性の追求に終わりはなく、取り組み続ける必要があります。これからも Tableau による可視化と分析を継続し、安全性向上に貢献し続けたいと思います。

Tableau: Tableau を導入した効果について教えてください。

我如古氏: 一つ目は、これまで見えなかったことを見える化できるようになったことです。データ分析がスピーディに行えるようになったことで、これまで見えなかったことが見える化できるようになりました。Excel では作業負担が大きく、とても手が回らなかった分析も、現在では毎日のように行われています。また会議中に話題に上った指標が実際にはどのような状況なのか、その場で数分以内に示すことも可能になりました。さらにダッシュボードでは、SPI (Safety Performance Indicator) のサマリーに加えて過去のデータと比較したトレンドも表示しており、安全性が向上しているか否かも直感的に把握できるようになっています。

二つ目はよりきめ細かい安全基準の設定が可能になったことです。スピーディなデータ分析は、安全基準の見直しにも活かされています。例えば安全な着陸を行うには、風の強さや向きを考慮し、場合によっては風が収まるまで着陸を見合わせるといった判断が必要で、横風には制限値が設けられています。以前はこの「横風制限」の基準を、すべての空港で一律に設定していました。が、風が航空機に与える影響は、空港の立地や周辺の建物の状況によって大きく変化します。そこでよりきめ細かい分析を行い、空港特性を加味した制限値を設定。安全性と定時性を両立しやすくしています。

三つ目はインシデント発生の可能性を客観的に把握できるようになったことです。インシデントがどのような状況で発生しやすいのかも、客観的に把握しやすくなりました。その一例として我如古氏が挙げるのが、航空機同士の接近です。航空機には TCAS (Traffic alert and Collision Avoidance System: 航空機衝突防止装置) が備わっており、航空機同士が接近すると自動的に警報が発せられます。これがどこで発せられたのかをマップ上に表示することで、接近が起きやすいエリアがわかるようになりました。現在ではこの結果をもとに、注意喚起のインフォメーションを出しています。

Tableau: 今後 Tableau をどのように展開しようとお考えでしょうか。

我如古氏: Tableau の分析結果は PDF 化され、社内のホームページにも掲載されていますが、今後はホームページに Tableau Online のビジュアライゼーションを埋め込むことも検討されています。これによって客観的にデータを見る文化が醸成され、安全意識のさらなる向上につながるのではないかと考えています。安全性の追求に終わりはなく、取り組み続ける必要があります。これからも Tableau による可視化と分析を継続し、安全性向上に貢献し続けたいと思います。

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