2カ月間全店舗を休業しテレワークに移行し、この間にTableauを積極活用しデータドリブン文化を醸成


可視化機能が決め手となりTableau導入を決定、コミュニティの存在も大きな魅力
全店休業の中、可視化されたデータが社員との情報共有手段として大きな威力を発揮
変化した店頭での顧客行動、今後は店舗の定性情報と組み合わせたデータ分析も

株式会社アイジーエー(IGA)は1962年10月に五十嵐株式会社として設立された、レディースカジュアルウェア専門店チェーンを運営するアパレル企業です。郊外型ショッピングセンターに初のレディースカジュアルショップ「AXES(アクシーズ)」を1988年3月にオープン、2002年8月に現在の社名へと変更し、「axes femme(アクシーズファム)」1 号店をオープンしています。現在は「axes femme」を中心とする単一ブランドで90店舗を展開する他、自社オンラインショップの運営、ファッション通販「ZOZOTOWN」や総合ショッピングモール「Rakuten Fashion」への出店も行っています。これらの事業で重視しているテーマは「つながろう」ということ。店舗・会社と顧客、顧客同士、店舗同士と、あらゆる場面でコミュニケーションを活性化する取り組みを、積極的に推進しています。

IGA 代表取締役の五十嵐 昭順氏は、次のように語っています。
「コロナ禍でこの先どうなるのか全く見通しがつかない状況の中、社長としては会社がいまどのような状況なのか、常に社員全員と共有することを心がけました。Tableauで可視化されたデータは、そこで重要な役割を果たしています。Tableauが生み出す数字が、会社にとっての共通言語になっているのです。このような状況だからこそ、データとコミュニケーションを掛け合わせることで、大きなパワーが発揮されるのだと実感しました」

あるときTableauのデモを見る機会があり、そのビジュアライゼーション機能に一目惚れしました。これなら分析結果を直感的に把握でき、頭の中にすっと入ると感じたのです

可視化機能が決め手となりTableau導入を決定、コミュニティの存在も大きな魅力

IGAがTableauを導入したのは2018年。当初は4~5ユーザーで利用をスタートし、各種システムのデータ分析を、Excelから移行するための試行が進められていきました。新たなデータ分析ツールとしてTableauを採用した理由について、IGA 代表取締役社長の五十嵐 昭順氏は次のように説明します。

「当社には商品データベースや顧客管理システム、受発注のオンラインシステムなどがありますが、以前はExcelなどで分析していたため、帳票を作成するのに膨大な時間がかかっていました。また作成された帳票も、直感的に理解しやすいものではありませんでした。このような状況のなか、あるときTableauのデモを見る機会があり、そのビジュアライゼーション機能に一目惚れしたのです。これなら分析結果を直感的に把握でき、頭の中にすっと入ると感じました」。

導入から1年間はTableau活用の下地作りを行い、その上で全店導入に踏み切ります。現在は各店舗の店長を中心に、約100ユーザーがTableauを活用しています。

その中核となっているのは、6名で構成されるViz作成メンバーです。そのうち1名がTableau DesktopのCreatorライセンスを活用し、データ分析の対象となるデータ群を整備。他の5名がExplorerライセンスでデータ分析を行い、経営層や各店舗に必要なVizを作成します。そして他の社員がこれらのVizをViewerで参照し、仕入れや販売施策、商品開発などの意思決定に活用しています。

「導入当初は勉強会も開催していたのですが、そこに先行企業のユーザーさんにも来ていただき、いろいろと質問に答えていただきました。コミュニティがしっかりしていることも、Tableauの魅力の1つです。Tableauコミュニティでは『Tableau女子会』も開催していますが、当社の女性社員はこの会にも積極的に参加しており、そこからさまざまな知見を得ているようです」。

全店休業の中、可視化されたデータが社員との情報共有手段として大きな威力を発揮

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大は、IGAのビジネスにも大きな影響を及ぼしています。2020年4月7日に発令された緊急事態宣言によって、店舗が全て休業を余儀なくされたのです。また社内業務の多くもテレワークへと移行し、全社員の2/3が在宅勤務となりました。

「この先どうなるのか全く見通しがつかない状況の中、社長としては会社がいまどのような状況なのか、常に社員全員と共有することを心がけました」と五十嵐氏。そのために毎日、全社員約600名に向けたメッセージを動画配信で伝えると共に、全店長とのWeb会議も頻繁に行っていたと語ります。「会社の状況を全社員に理解してもらう上で、Tableauで可視化されたデータは重要な役割を果たしています。これが会社にとっての共通言語になっているのです。このような状況だからこそ、データとコミュニケーションを掛け合わせることで、大きなパワーが発揮されるのだと実感しました」。

店舗休業期間中は、オンラインショップの運営に専念。データ分析を行いながら運営に取り組んだ結果、2か月間でオンラインショップの売上は2倍近くに増大しました。その背景としては、外出自粛の中で消費者によるオンライン通販利用が増大したことが上げられますが、データ分析にもとづく対応も功を奏していると言えそうです。IGAには複数のオンラインチャネルがありますが、これらを横断した形できめ細かい分析を行うことで、売上施策の立案や追加発注などを、迅速に行うことが可能になったからです。

「Tableauのライセンス数を一気に増やしたのは2020年1~2月にかけてですが、その後にコロナ禍を経験したことで、当社のデータ活用文化は一気に前進しました」と五十嵐氏。これまで手作業で作成されていた資料はすべてTableauへと移行しており、ペーパーレス化も進んだと言います。「社内のありとあらゆるデータを可視化できる体制を、この間に整えることができました」。

Tableauのライセンス数を一気に増やしたのは2020年1~2月にかけてですが、その後にコロナ禍を経験したことで、当社のデータ活用文化は一気に前進しました。これまで手作業で作成されていた資料はすべてTableauへと移行しており、ペーパーレス化も進んでいます

変化した店頭での顧客行動、今後は店舗の定性情報と組み合わせたデータ分析も

現在は緊急事態宣言が解除され、店舗営業も再開しています。しかし店舗における顧客の購買行動は、以前とは大きく変化しているようだと五十嵐氏は指摘します。

「営業再開後の店舗では、お客様の滞在時間が以前に比べて短くなっています。以前は店頭で時間をかけて商品を選ぶお客様が多かったのですが、最近では目的の商品をすぐに手に取り購買する、といったケースが多いのです。その理由としては、オンラインで事前に商品を検討し、目的買いをするお客様が増えているのではないか、という仮説を立てています。当社ではまず店舗があり、それを補完する形でオンラインショップを運営していますが、このバランスも今後は変えていく必要があるかもしれません。このような現場での定性情報を組み合わせたデータ分析もこれから進めていく計画ですが、ここでもTableauを積極的に活用したいと考えています」。

その一方で、将来は仕入先とのコミュニケーションをより深め、市場の変化に対して弾力的に対応できる関係も創り上げていきたいと、五十嵐氏は語ります。

「アパレル業界は半年サイクルで商品を作っているため、先を読んだ上で発注をかける必要があります。しかし実際に予測通りに売れるとは限りません。売上が減少した場合には仕入れを抑える必要があり、予想以上に売れた場合には追加発注することになります。このような依頼に迅速に対応してもらうには、取引先とより深いコミュニケーションを行う必要があります。その一環として、当社の売上データなどを取引先と共有することも検討しています。Tableauはそのためのツールとしても利用できるはずです」。

わずか2か月という短期間で、データドリブン文化の醸成に成功しつつあるIGA。コロナ禍は人類にとって大きな厄災ですが、通常とは大きく異なる環境に置かれたことで企業変革が一気に進む、といった影響ももたらしているのです。

営業再開後の店舗では、お客様の購買行動が大きく変化しているようです。このような現場での定性情報を組み合わせたデータ分析もこれから進めていく計画ですが、ここでもTableauを積極的に活用したいと考えています