4DIN

Tableau を組み込んだ医療情報分析サービスSIMPRESEARCH を提供


豊富な関数

グループ機能

探索的な分析が難しかった以前のBI ツール

医師個人の勘や経験だけに依存するのではなく、症例のパターン化や標準化によって、より効果的な治療を実現する。このようなことを可能にする上で重要なのが、カルテやオーダリングなどの医療データを集約し、研究者が自由自在に分析できる環境の整備です。そのためにTableau Embedded を積極的に活用しているのが、株式会社4DIN です。

「このような環境を整備していきたいという想いは15 年前から持っていました」と語るのは、4DIN 代表取締役の高橋 精彦 氏。しかし当時はすでにカルテやオーダリングの電子化が始まっていたにも関わらず、患者毎の情報を参照する場合にアクセスされる程度だったと振り返ります。「データを蓄積するだけでそこから新たな価値を引き出さなければ、これらのシステムはレガシーコストになってしまいます。蓄積したデータを匿名化し、ライフサイエンス産業全体でこのデータを活用していくことで、未来の医療に貢献すべきだと考えていたのです」。

当初は倫理上の問題や、病院側の体制が整備されていないなどの理由から、なかなか進まなかったデータ活用。膨大なデータを短時間で処理できる技術基盤がまだ存在しなかったことも、大きなハードルになっていました。患者数がわずか30 万人でも検査データは数億件に上り、高性能サーバーをフル活用しても、検索に半日はかかってしまうという状況だったのです。

その後、サーバーのさらなる高性能化や、インメモリデータベースの登場によって、技術的ハードルが解消されるようになりました。そこで4DIN ではSAP Lumira を利用した臨床データベースを構築。病院や研究機関への提供を開始します。

「しかしSAP Lumira では可能な処理が限定されており、できないことが多いという悩みがありました」と語るのは、4DIN でSIMPRESEARCH・アカデミックサービス担当を務める湯田 真弓 氏。そのため利用者から事前に何を行いたいのかを聞き、必要なビュー作成などを手作業で行う必要があったと言います。「その結果、当社にとっては工数がかかり、利用者も探索的なデータ分析が難しいという問題に直面していました」。

 

Tableau の導入・運用環境について
Tableau Embedded を組み込んだSIMPRESEARCH

この問題を解決するために採用されたのが、Tableau Embedded です。2020 年1 月に導入に向けた検討を開始し、5 月に採用を決定。7 月にはこれを組み込んだ「SIMPRESEARCH」の第一次リリースを行っています。

「多くの病院ではすでに電子カルテが導入されていますが、カルテの情報はそのままではビッグデータとしては扱えません。研究者(医師)はデータを使うための申請を行い、承認を得た上でデータを抽出する必要があります。そのためデータを抽出した後に初めて、研究で使えるレベルのデータではないことがわかることも少なくありません。患者の治療を行いながら研究しなければならない医師にとって、このような手戻りは貴重な時間の無駄使いだと言えます」(高橋氏)。

SIMPRESEARCH を活用することで、この問題を解決できると高橋氏。このサービスでは、契約機関の医療情報システムからデータを預かり匿名化した上で、ビッグデータとしていつでもアクセスできる状態にします。そのためどのようなデータが利用できるのかを、事前に確かめることが容易になるのです。

研究者は24 時間いつでも、Web ブラウザで臨床情報の分析が可能。ユーザー認証は多要素認証を採用しており、監査機能の装備やデータダウンロード不可など、セキュリティにも配慮したサービスになっています。なおSIMPRESEARCH の名称は「研究のためのデータ活用をシンプルにしていく」ことを目指して付けられたものだと言います。

4DIN SIMPRESEARCH

SIMPRESEARCH をお使いの研究者の方々に、これまでできないとあきらめていたことができるようになったと言われています。また研究のスピードが早くなった、探索的な研究が容易になったという先生方も増えています

Tableau 選定の理由について
組み込みが容易で豊富な関数も装備

SIMPRESEARCH のデータ基盤としてTableau を採用した理由について、湯田氏は次のように説明します。

「まず必須条件となったのが、自社サービスの中に組み込みやすいことと、分析の自由度が高いことです。Tableau には数多くの関数が用意されており、以前はできなかった分析がエンドユーザー側で可能になると期待しました」。

またセキュリティ要件として、ユーザー管理やアクセス制御が行えることも重視されました。さらに、多くの研究者が利用しているRと連携できることや、多様なデータソースからデータを取り込めることも、譲れない要件だったと言います。

「グローバルで利用者が多く、ネットで情報が得やすいことも魅力の1 つです。さらに機能追加やバグ修正など、頻繁にバージョンアップされていることも評価しました」。

 

Tableau の導入効果について
分析の自由度が向上し事前準備の工数も削減

Tableau の採用で得られた最も大きな効果は、豊富な分析機能によってエンドユーザーの分析の自由度が高まったことです。その代表として、湯田氏は以下の2 つを挙げています。

豊富な関数
Tableau には豊富な関数がありますが、湯田氏が特に気に入っているのがFIXED 関数だと言います。「これは中間テーブルを作成して値を計算する関数であり、これを利用することで投薬初回日を起点に、4 週後、8 週後、12 週後の検査値を群間比較することが可能になりました。これは以前のツールではどんなに頑張っても実現できませんでした」。

グループ機能
医師が入力する病名は、がん一つとっても「腫瘍」「癌」「がん」「ガン」など、様々な表記があります。グループ機能を使うことで、これらの表記をまとめることができます。そのため表記ゆれ対応のため事前処理を行う必要がなくなりました。「この他にも、ディメンションをメジャーにできる機能や、項目をフォルダ別に分類できる機能、ビンの設定機能など、以前のBI ツールになかった機能が多数あります。そのため事前処理などの工数は以前に比べて半分以下になり、利用者にとっての利便性も2~3 倍に高まったと感じています」。

電子カルテと診療報酬のデータのように、バックグラウンドの異なるデータを紐付けて一元化し、データ活用の幅を広げたいと考えています。また病院内のデータだけではなく、製薬メーカーや他の施設のデータを組み合わせて利用することも目指しています

今後の展開について
世界で最も密な日本の医療データの活用を推進

SIMPRESEARCH はすでに4 つの医療機関で活用されています。今後はその数を増やしていくため、チュートリアルの制作やトレーニングの提供も行っていきたいと高橋氏。また解析ツールとの連携強化や、ゲノム情報の取り扱いも視野に入っていると言います。

「日本は国民皆保険制度のもとで手厚い医療が提供されており、他の国よりも膨大なデータが蓄積されています。例えば日本の糖尿病患者は毎月血液検査を受けていますが、このような国は他にはほとんどありません。世界的に見て最も密な医療データを匿名状態で自由に活用できるSIMPRESEARCH の利用者が増えることで、日本はライフサイエンス研究で世界をリードする存在になり得ると考えています」。

4DIN SIMPRESEARCH