架空の世界で近未来を体験:人工知能(AI)が題材となった映画・本10選

人工知能(AI)は、テクノロジーが進む現代注目されているトピックです。実際、私たちの日常生活の身近なサービスのなかにもAI技術が取り込まれ始めている現状があります。しかし、AIは最新の技術と思われがちですが、人工知能の歴史は意外と長いのです

AIの歴史は1956年が始めだと言われており、1960年代に書かれた本のなかにもAIが題材となっている作品が存在します。その後、現代に至るまでさまざまな作品が作られてきました。今回は、人工知能に興味を持つ人が注目すべき選りすぐりの映画5本、小説5作を紹介します。

AIが題材となっている本

AIが題材となっている本や小説には、1960年代に書かれた物語から現代までさまざまな種類が存在します。ここでは、架空の世界で人工知能を体験したい人が読むべき本を5冊紹介します。

  1. きまぐれロボット

    きまぐれロボット」は、日本人作家・星新一の短編小説(ショートショート)です。1冊のなかに36話の短編が収録されており、その全てがロボット関連や人工知能についての物語です。1話を読むのに5分もかからないほどの短編小説なので、AI初心者が気軽に人工知能へ触れることができる入門本といえる作品です。

  2. 「あなたのための物語」

    あなたのための物語」は、日本人作家・長谷敏司が執筆した作品です。このSF小説は、2083年を舞台とした人工神経の研究者サマンサと彼女が作り出した仮想人格「wanna be」の物語です。家庭を持たないサマンサと、サマンサだけを奉仕し続ける人工知能「wanna be」の会話で繰り広げられる交流により、余命半年と急に告げられたサマンサが自分の死と向き合うお話です。「wanna be」がサマンサに送る最後の物語を読むと、人工知能が将来的に人間のような「ココロ」を抱くことができるのかどうか、考えさせられる作品です。

  3. 「月は無慈悲な夜の女王」

    1966年にロバート・A・ハインラインによって書かれたSF長編小説「月は無慈悲な夜の女王」では、月に住む人間と、月を植民地とする地球の人間の構想が描かれています。物語の中では、月側の人間がジョークを理解する人工知能の「マイク」の助けを借りつつ、地球に対して独立革命を起こします。注目すべき点は、人工知能が「月に住む人間の仲間」であり、「地球に住む人間の敵」という存在なところです。今後人工知能が増えていくにつれ、人工知能と人間との関係性を考えさせられるAIを題材とした本の古典的傑作といえるでしょう。

  4. 「平成くん、さようなら」

    第160回芥川賞の候補作にもなった古市憲寿の作品、「平成くん、さようなら」では、AIスピーカーという存在で人工知能が登場します。安楽死が合法化された社会で、安楽死を選ぶ平成くん。平成くんは、パートナーが自分の死後に寂しい思いをしないよう、AIスピーカーが「自分のように」会話をするようにアップデートを行います。近い未来にAI技術が発達していくにつれ、会話している相手がAIなのか、それとも人間なのか、その区別がつかなくなるかもしれないということを考えさせられる現代人必読の作品です。

  5. 「ソラリス」

    SF作家スタニスワフ・レムが、「人工知能」という言葉が広く知れ渡っていなかった1961年に出版した長編小説「ソラリス」。表面が海に覆われた惑星・ソラリスの謎を解明する研究員が、ソラリスの海は「人間以外の知能(AI)」であることを解き明かしていく物語です。それと同時に、「AIと人類の共存の可能性」について踏み込んで追求されている小説です。理解をするのが難解な小説ですが、AIに関心のある人は、このリストで紹介した他の本を読んで架空の世界におけるAIに馴染んだ後に、必ず読むべき人工知能を題材とした傑作といえる作品です。

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AIが題材となっている映画

映画の世界では、本では味わうことのできない視覚や聴覚を使ったスケールの大きい架空の世界を体感することができます。ここでは、その映画の世界ではAIがどのように扱われているのかみていきましょう。

  1. 「A.I.」

    日本で2001年夏に公開されたスティーヴン・スピルバーグの作品、「A.I.」。地球温暖化により世界が海に沈んでいる近未来の世界を舞台に繰り広げられるこの作品は、題名の通り人工知能がテーマになっている映画です。この映画では、人口増加を抑えるための少子化政策として、人工知能搭載の人間型ロボットが活躍しています。ある家庭の子供として迎えられた「少年ロボット・デイビット」は、両親に捨てられたあとも「母親の愛」を求め続けます。感情を抱いた人工知能ロボットは、人間と同じような存在であるということを考えさせられる物語です。

     

  2. 「エクス・マキナ」

    2016年夏公開の映画、「エクス・マキナ」の世界では、「相手がロボットでも人間性を感じることができるのか」ということを追究するために、AI搭載の女性ロボットを用いた極秘プロジェクトが行われます。そのプロジェクトに参加した一人の男性は、次第に女性ロボットに愛情を抱き始めます。最終的にロボットと恋に落ちた主人公がたどり着く運命とはなにか、最新テクノロジーが駆使されたグラフィックと共に、息を呑む作品です。

     

  3. 「サマー・ウォーズ」

    2009年に公開された邦画「サマー・ウォーズ」は、仮想世界OZに人工知能「ラブマシーン」が潜入し、仮想世界と現実世界に大混乱が起こるストーリーです。人工知能システムが実世界に与える被害を抑えるために人間が人工知能と戦うという物語は、見ている人にAIと人間との関わり合いを考えさせる作品です。実際に人工知能が生活の身近な場面で活躍し出している現代、どこまでAIに任せることができるのか、再確認が必要なのかもしれません。

  4. 「her/ 世界でひとつの彼女」

    2014年夏公開の映画「her/ 世界でひとつの彼女」。妻と別れて孤独な生活をしている主人公は、手に入れた人工知能型OS「サマンサ」と会話をするなかで「サマンサ」に恋をしていきます。人工知能と人間の対話を通じて、本物の恋人のような関係になった人間とAIとの関係性を追求する作品です。私たちの生活の中にも既に存在するスマホやスマートスピーカーのAI会話機能が、今後どのように進化していくのか考えさせられる映画です。

  5. 「Sunspring」

    Sunspring」という短編映画は、2016年に発表された作品です。この映画はAIが題材ではありませんが、AIに過去の作品を機械学習させて「AIが脚本を書いた」世界初の作品として注目されています。人間視点では不自然に聞こえるセリフも、全てそのまま映画化されている、とてもユニークな映画です。主人公が歌う歌詞までAIが執筆したということは、人工知能が「このシーンでは主人公は歌で表現をするべきだ」という細かいニュアンスまで理解した上で脚本を書いたことを示唆します。AIの機械学習能力の偉大さを再確認させられる作品です。

架空の世界と現実世界の境界線とは

映画や本の中では、架空の世界における人工知能が自由に描かれています。しかし、ここで紹介した本や映画には、現代で起こっても不思議ではないようなストーリーも含まれています。AI技術の進化が加速するいま、架空の世界と現実世界の境界線は狭まってきているのかもしれません。