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レポート作成の作業をTableau+自社開発アプリで自動化


レポート作成時間の大幅削減

新たな知見の獲得

日本のインターネット広告の黎明期から活動を開始し、インターネット広告業界をリードし続けてきたサイバー・コミュニケーションズ(CCI)。「The Media Growth Partner」というビジョンを掲げ、インターネットメディアの広告スペースの価値向上と、それらを活用してより精緻な広告展開を支援し続け、インターネットメディアの成長を支えてきました。

そのためには当然ながら、きめ細かいデータ活用が不可欠です。その基盤として全社的に活用されているのがTableauです。

「当社は様々な広告配信プラットフォーマーとのお付き合いがあり、そこから膨大なデータを収集し、お客様に必要なレポートを提供しています」と語るのは、CCI テクノロジー・ディビジョンでチームマネージャーを務める浦 康高 氏。以前は各プラットフォーマーが提供する管理画面にアクセスしてデータをCSV などの形式でダウンロードし、これをExcel でレポートフォーマットに落とし込むことで、レポートを作成していたと言います。

「レポートの内容や規模にもよりますが、1レポートを作成するのにだいたい30 分から1 時間はかかっていました。レポートの種類も月次レポートや速報などがあり、取引先毎に作成する必要があります。この作成作業のため、膨大な時間がかかっていたのです」。

コミュニティ活動の活発さと情報量の多さです。BI ツールが本当の意味で役立つには、この2 つが非常に重要です。また以前は専門家だけのものだったデータ分析を、誰にでも使えるよう敷居を大幅に下げたことも、素晴らしいことだと感じています

Tableau の導入・運用環境について

この作業を効率化する手段として、浦氏はTableau に着目。そのきっかけとなったのは、上司が1 人で使っていたTableau のライセンスを2014 年に譲り受けたことだったと振り返ります。

当初はExcel で作成していたグラフをTableau に移行する、といった程度の利用方法でしたが、次第にその威力の大きさに気づき、Tableau 活用を全社に広げていくべきだと考えるようになりました。そして2015 年には全社勉強会を開催。その後徐々にユーザーが増えていき、2017 年にはほぼ全社で活用されるようになっています。

Tableau の主なデータソースは、各プラットフォーマーが提供する広告効果などに関するデータベースであり、そこから膨大なデータがTableau Server に取り込まれています。Tableau Server 上のデータ量はすでに50TB に達しており、現在も毎月10GB のペースで増え続けています。

Tableau Server 上には定形のダッシュボードが登録されており、これが自社開発のWeb アプリケーションと連携して動くようになっています。ユーザーはこのWeb アプリケーションにアクセスしてViz を参照すると共に、その内容をレポートとしてダウンロードできるようになっています。

このWeb アプリケーションにアクセスしているのは、合計で約1,000 名に上るユーザーです。その中には社内だけではなく、顧客などの社外ユーザーも含まれています。Tableau Desktopでダッシュボード作成を行うユーザーは各部署におり、その数も合計約60 名に達しています。その多くはTableau に実際に触れたことでTableau の魅力に気づき、自らTableau に乗り換えていったと言います。

またこれと並行してCCI は、社内外向けのキャンペーンデータ分析ダッシュボードの開発にも着手。ここでもTableau が活用されています。このダッシュボードは2016 年に提供が開始されており、2019 年7 月には「lake.bi」へとリブランド。年間7 万本近くに上るレポートがユーザーに提供されています。

Tableau 選定の理由について

それではなぜ浦氏は、Tableau の全社展開を決意するに至ったのでしょうか。その理由は大きく3 つあると説明します。

データレイクとしての活用が可能

Tableau Server には膨大なデータを蓄積でき、データ量が多くなっても高いレスポンススピードが維持できるという特徴があります。そのため必要なデータを集中的に管理するデータレイクとして利用できます。「もともとTableau を使ってみようと考えた最大の理由は、社内のデータをここに集中させたいという思いからでした」と浦氏。Tableau はデータリポジトリとしての管理機能もあるため、データレイクに最適なのだと説明します。「いったんTableau にデータを集めてしまえば、ここにアクセスすれば必ず必要なデータがある、という状況を作ることができ、多様な問題解決を行いやすくなります。このような使い方ができるBIツールは、他には見当たりませんでした」。

JavaScript API の実装

Tableau にはJavaScript API が装備されています。これを利用することでCCI のように、独自のWeb アプリケーションにTableau ダッシュボードを埋め込む、といった使い方が可能になります。またlake.bi のログイン画面にはTableau のログインフォームが流用されていますが、このように部品としての活用が容易な点も高く評価されています。

RLS 機能の実装

RLS(Row Level Security:行レベルセキュリティ)とは、その名の通り行単位でユーザーアクセスを制御する機能です。これにより、ユーザーの権限に応じて表示可能なデータを制御できるようになります。多様なユーザーに対するデータレイクとして使うには、このような制御機能が不可欠です。「この機能を装備したBI ツールも他にはありませんでした」(浦氏)

Tableau の導入効果について
Excel からTableau への移行によって、以下のメリットがもたらされています。

レポート作成時間の大幅削減

前述のようにCCI では、lake.bi だけで毎年7 万本近くのレポートが作成されています。もしこれをExcel で作成し、1 本辺り30 分~ 1 時間の時間を費やしていたとすれば、年間の作業時間は3 万5,000 時間~ 7 万時間に上ることになります。しかし実際にはTableauを活用することで、その時間は不要になっています。ユーザーがlake.biにアクセスした時点で最新のレポートが自動作成され、わずか3秒程度で入手できるようになっています。

新たな知見の獲得

Tableau のダッシュボードでは、定型的なレポートだけではなく、分析軸の変更や対象データのフィルタリングを行うことで、アドホックな分析も可能です。またCCI のTableau Server には多様なデータが格納されているため、これまで単体のデータでは見えてこなかった傾向を把握することも容易です。なおlake.bi では、多様な広告業種の実績データを用いることで、未来の実績予測・シミュレーションを行うことも可能。未来のビジネスに貢献するデータ活用に挑戦したいと考えています。

ビジネスの拡大

Tableau Server をデータレイクとして活用することで、広告配信プラットフォーマー毎のデータを、横並びで見ることも可能になりました。その結果、広告同士の効果の比較が容易になり、より適切な意思決定を下しやすくなっています。これは顧客からの信頼や顧客満足度に直結しており、最近では出稿予算が増額されるケースも増えていると言います。

今後の展開について
今後はレポート業務の効率化にとどまらず、広告業務全体の高度化にも取り組んでいきたいと浦氏は語ります。

「現在でもまだ社内でプランニングを行う際に、大まかな数字だけを利用し、勘で仕事をしている部分がかなり残っています。このような業務でTableau を利用すれば、より精度の高いプランを立案できるようになるはずです。Tableau とAI をつなぐことで、次の提案に活かせるサービスの実現も可能になるでしょう。これからもTableau を積極的に活用しながら、お客様のビジネスを支援するサービスを実現していきたいと考えています」。