ヤマト運輸

データ・ドリブン経営を目指し Tableau でダッシュボードを提供


集計・可視化業務の時間削減

状況把握までの時間短縮

得やすくなった新たな気付き

導入の背景
データ・ドリブン経営の実現のためデータを可視化

ヤマトホールディングスは、2020 年 1 月に経営構造改革プラン「YAMATO NEXT 100」を策定し、3 つの事業構造改革と 3 つの基盤構造改革に取り組んでいる。この中の基盤構造改革の 1 つとして推進しているのが、データ・ドリブン経営です。4 年間で約 1,000 億円をデジタル分野に投資するとともに、社内外のデジタル・IT 人材を結集、データにもとづく意思決定と施策を強化しています。「以前は社内に膨大なデータはあるものの、それらが散在しており、集計・可視化にかなりの時間を要していました」と振り返るのは、デジタル戦略推進部でシニアマネージャーを務める田中 諭 氏。実際に行われていたデータ集計も、各部署の担当者が Excel で部分的に行うレベルにとどまっており、その作業を行うためには複数システムから SQL でデータを抽出する必要があったと語ります。

このような状況を変革するため、データを集約するための DB 環境を整備。さらに BI 専門チームを立ち上げて、各部署からのダッシュボード開発を請け負う体制を確立したと言います。

「データ・ドリブン経営を実現するには、データをいかにして可視化するかが重要になります」と田中氏。この可視化のための基盤として採用されているのがTableau です。ヤマト運輸では以前から一部のユーザーが Tableau を使い始めていましたが、2019 年に全社で使えるか否かを検証、その結果を受け採用されました。

データ・ドリブン経営を実現するには、データをいかにして可視化するかが重要になります

Tableau の導入・運用環境について
BI 専門チームが事業部門に寄り添う形でダッシュボードを作成

Tableau が展開されているのは、本社や主管支店(全国 89 カ所ある主要拠点)、ベース店(仕分けターミナル)の役職者。その数は約 1,100 名に上り、Tableau Viewer でダッシュボードにアクセスし、可視化されたデータを活用しています。

「ダッシュボードの作成は、BI 専門チームであるデジタル戦略推進部が担当しており、ユーザーに寄り添うために各事業部門に常駐するなどして、データの可視化と分析のあり方を改善し続けています」と語るのは、デジタル戦略推進部でミドルエキスパートを務める矢邉 真也 氏。その人員数は約 120 名に上り、2022 年 9 月までに作成されたダッシュボード数はすでに 470 を超えていると言います。

その 1 つが、コールセンター等で受け付けた問い合わせ内容を分類し、可視化するダッシュボードです。ダッシュボード作成を担当するのは、デジタル戦略推進部 ジュニアエキスパートの磯部 顕矩 氏。コールセンターに寄せられた問い合わせ内容を一元的に把握することを可能にしている。

また輸送部門では、デジタル戦略推進部 ミドルエキスパートの武田 貴文 氏が、全国の荷物の仕分けを行う拠点の車両と、荷物を積んでいるロールボックスパレットの動きを可視化しています。輸送ネットワークは幹線、域内(エリア)、ラストマイルという 3 レイヤで構成されています。このうち、域内の輸送のデータを集約し、Tableau のカスタムクエリで 1 時間に 1 回抽出、地図と表で可視化しています。

「ダッシュボード開発を担当する社員には、勉強会を半日程度実施し、その後は学習動画で自己学習を行ってもらいました。使いこなせるまでの期間は 2 週間程度です」(田中氏)。

ダッシュボードの作成は、BI 専門チームであるデジタル戦略推進部が担当しており、ユーザーに寄り添うために各事業部門に常駐するなどして、データの可視化と分析のあり方を改善し続けています

Tableau 選定の理由について
操作性とデザイン性、BI ツールとしての使い勝手

それではなぜ Tableau が採用されたのでしょうか。大きく 2 つの理由があったと、田中氏と矢邉氏は説明します。

第 1 は操作性とデザイン性に優れていることです。

「まずコンテンツのビジュアル面が優れています」と田中氏。デフォルトの配色もよく考えられており、あえてカスタマイズする必要性はほとんどないと感じます。特に地図表示の見やすさは素晴らしいと思います。表示スピードも速く、ダッシュボードの操作も簡単です」。

第 2 は開発ツールの機能制限がほとんどなく、その動作も軽いことです。これに関しては矢邉氏が次のように述べています。

「BI 製品の多くは、カタログスペック上では使えることになっている機能でも、実際の業務用途では使いづらいケースも少なくありません。たとえば地図プロット機能を使える BI 製品は他にもありますが、その数に制限があることが多いです。これに対して Tableau は、数十万点のプロットでも問題なく動作します」。

また前述のように、すでに一部の社員が使い始めて高く評価していたことや、BI 基盤としての市場評価が高いことも、採用を後押しすることになったと言います。

 

Yamato Transport Dashboard 1

Tableau の導入効果について
集計・可視化の時間を削減し、状況把握までの時間も短縮

データ可視化基盤として Tableau を活用することで、以下のような効果が得られています。

集計・可視化業務の時間削減

データ集計と可視化が自動化されたことで、これらに費やされていた時間が削減されました。「コールセンター部門では、以前はデータ集計だけで 1 日 2 時間が費やされていましたが、今ではその時間が不要になりました」と語るのは磯部氏です。その結果、本来注力すべきお客様対応に時間を費やせるようになったのです。また翌朝には問い合わせ状況が把握できるため、抜け漏れのない迅速なフォローも容易になったと言います。

状況把握までの時間短縮

輸送部門では、輸送状況を確認するまでの時間が大幅に短縮されています。「域内の輸送関連のデータは、蓄積したデータを可視化する画面がなかったため、十分に活用できていませんでした」と武田氏。現在は Tableau で可視化しており、1 時間に 1 回の頻度でデータが更新されるため、全国の域内の輸送状況をほぼリアルタイムで把握できるようになっていると語ります。「以前はベース店から電話で問い合わせが来ることが多かったですが、今ではダッシュボードで状況が把握できます」。

得やすくなった新たな気付き

データを可視化することで理解しやすくなった結果、新たな気づきも得やすくなりました。「Tableau ならデータサイエンティストのような専門職でなくても、簡単にデータ分析を行えます。私が担当する輸送部門の役職者は、可視化された Tableau のデータを自らダウンロードし、さらに深いデータ分析に活用しています」(武田氏)。

 

Yamato Transport Dashboard 2

今後の展開について
『ダッシュボードを作れるメンバー』を事業部門に増やす

現在はダッシュボード作成をデジタル戦略推進部が担当していますが、将来は依頼元である事業部門が、自分たちに必要なダッシュボードを自ら作成できるようにしていく計画です。

「Tableau Prep を使えば SQL のスキルがなくてもデータ抽出が可能です」と矢邉氏。今後は希望する事業部門に Creator ライセンスを展開し、Tableau Desktop だけでなく Tableau Prep も積極的に活用していきたいと語ります。

「事業部門が自らダッシュボードを作るようになれば、システム開発の意識も変化していくはずです」と語るのは田中氏です。参照系システムは BI 基盤で自ら実現すればいいという考え方が浸透していけば、データ活用はさらにスピードアップするはずだと言います。「このように『ダッシュボードを作れるメンバー』を事業部門に増やしていくことで、データの民主化を実現したいと考えています」。

 

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