データはもはや単に競争力ではなく、組織の健全性、そして多くの場合、存続に不可欠です。このプレイブックは、データを使ったレジリエンスの構築を従業員から始めたいと望む経営幹部やデータリーダーの方々のために作成されました。データカルチャーを促進することは、組織の各個人が最も複雑なビジネス課題にも取り組める態勢を整えます。


はじめに: データカルチャーがもたらすビジネスインパクトの測定


COVID-19 パンデミックは、アジャイルで戦略的なデータの使用が、組織の市場の変化に対応する能力に大きな影響を与えることを示しました。しかし、データを最大限に活用するには、テクノロジーだけでは十分ではありません。組織のあらゆるレベルでデータドリブンな意思決定を促進する取り組みが必要です。

近年、データと分析に数兆ドルが投資されているにもかかわらず、リーダーは依然としてデータドリブンな社風を作り出すことができていません。

C レベルのエグゼクティブ 64 人を対象とした NewVantage Partners 社の 2019 年ビッグデータと AI に関するエグゼクティブ調査結果 (英語):


72% のアイコン

調査対象者の 72% がまだデータカルチャーを築く取り組みがなされていないと回答。

53% のアイコン

53% がデータをビジネス資産として扱っていないと回答。

52% のアイコン

52% がデータと分析に関して競争力を持っていないと回答。


この世界的な危機下で、こうした失敗が注目され、すべての意思決定をデータ中心に行うという、共通の目標を掲げたデータカルチャーを支える行動や考え方を組織が育成する必要があることを再認識しました。

この危機以前も、データドリブンな企業はさまざまなビジネス上のメリットを得ることができていました。Tableau では、世界規模のマーケットインテリジェンス企業である IDC に依頼し、 データカルチャーに影響を与える主要な目に見える要素・目に見えない要素について調査*しました。IDC 社は、世界中の大企業の従業員を対象に調査を行い、データ主導型組織の、データ採用が初期段階にある組織との差別化要因について調べました。



データカルチャーの段階

出典: IDC InfoBrief: Tableau の後援による 「データカルチャーを重視すべき理由」、2020 年 4 月


データ認識の段階にとどまる企業 (データカルチャー規模の成熟度が最も低い企業) と比較して、データ採用段階の企業では、収益が増加した企業が 18% 多く、利益が増加した企業は 20% 多く見られました。しかし、最も成功を収めている企業は、データ主導型組織、つまり最も成功したデータカルチャーを持つ企業なのです。


データ主導型企業は以下のようなメリットが得られます。


41% のアイコン

データ認識レベルにとどまる企業と比較して、市場投入までの製造パフォーマンスが 41% 向上。

89% のアイコン

データ採用段階の企業と比較して、顧客の維持および獲得が 89% 改善。

45% のアイコン

データ認識レベルにとどまる企業と比較して、従業員の定着率が 45% 改善。


データカルチャーは、今までにないほど重要になっています。McKinsey 社の報告では、COVID-19 の危機から展開を続けている 3 つの分野を強調しています。
  1. 米国では、 デジタルチャネルを初めて使用する人の 75% (英語) が、危機後も引き続き使用するとしています。
  2. ビジネスリーダーや分析リーダーは、デジタル化を強化して 重要な事業分野をサポートする (英語) ために、新しい分析ソリューションを活用しています。
  3. 需要回復 (英語) にはばらつきがあり、過去のデータを利用した予測モデルは、新たな需要が高まる分野を予測するのにほとんど役に立ちません。そこで、再構築された分析モデルが、運用上の決断を行うために不可欠となります。
 

データを活用してビジネスをリードしていますか?

チームのメンバーに以下の質問を尋ねてみましょう:

スタッフはデータを解釈する方法を知っていますか?

スタッフは分析やデータ関連の質問に対して、同僚から支援を受けることができますか?

スタッフに必要なデータへのアクセスを提供していますか?

スタッフは、アクセスまたは作成するデータに責任を持っていますか?

意思決定の裏付けとしてデータが必要ですか?


データカルチャーの構築は、最も良い環境下でも、面倒な作業だと思われがちです。これには、組織のあらゆるレベルから、データインサイトに対する考え方や行動を変えていくというコミットメントが必要です。しかし、現実には、今後のステップが近い将来および将来の回復力に重大な影響を与えることを認識していれば、今これらの機能を構築するための段階的なステップを取ることができます。

プレイブックの利用方法


このプレイブックは、データカルチャーを構築するためのシンプルで効果的なロードマップを示しています。特定の重点分野をそれぞれ含む 4 つの章で構成されています。


各分野について、その実現方法、つまり、これらの機能を構築、実行する方法、および準備が整った時に、これらの機能を拡張し、成熟させる方法について説明します。


構築、実行、拡張の画像

構築

データから価値を引き出すための基本的なステップ。

実行

組織全体で測定可能な価値を生み出すプログラムや活動。

拡張

この先長年を見据えて、データへの取り組みを最適化し、将来に備えたものにするためのアクション。


データカルチャ-は線形ではなく、進化し続ける生き物のようなものであることを念頭に置いてください。組織の目標とニーズに合った段階的なアプローチを取ることを強くお勧めします。このプレイブックの各ステップは、データカルチャーが生み出される時と、その確立後の両場面で、実行し、繰り返すことができます。

第 1 章:

リーダーシップのメトリクス (指標) を
ビジネスの優先事項を基に決定する

 

目標:

組織全体の各リーダーが、最も差し迫ったビジネスニーズについて合意し、データに関するリソースをどこに傾注すべきかを決定する。

説明:

リーダーシップで賛同を得ることは、個々のリーダー全員が同じ目標に向かって取り組み、最も大きな影響を与える分野にデータリソースを割り当てることを確かなものにします。急速な変化の時代において、アジャイルな組織は、状況が変化し経験から学ぶ中で、主要な優先事項を評価および再評価します。

ビジネスが優先事項に対してどのように実行されているかを理解するために、データリーダーシップ委員会は、主要なメトリクスのセットを作成し、適切な担当者 (通常はアナリストチーム) と連携して、これらのメトリクスをサポートするデータソースを検索、作成、および調整します。この段階では、データソースは、リーダーシップレベルで概要を提供するのに役立ちます。これらのソースは理想的には定期的またはリアルタイムで更新されるものであるため、リーダーは各指標に期待するパフォーマンスを定義できます。これは、後の分析のためにより詳細なデータソースを優先する方法に影響します。

リアルタイムのデータに基づいたビジネス運営を実現する Abercrombie & Fitch 社

Abercrombie & Fitch 社は、ほぼリアルタイムのデータを利用して、四半期ごとに経営幹部、ビジネスグループリーダー、および製品チーム間で会議を行っています。迅速にインサイトが得られることは、リーダーが目標を策定し、問題意識を共有し、どこに重点を置いて取り組むべきかを判断するのに役立ちます。

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エグゼクティブダッシュボード

この エグゼクティブダッシュボードでは、上位のビジネスメトリクスが 1 つのビューにまとめられます。この例では、収益性、製品、配送、実績、注文の詳細すべてを 1 つのワークブックにまとめ、監視します。

実現に向けて:

構築

データリーダーシップ委員会を結成し、データで価値を生み出す業務に取り組む。この委員会には、ビジネスおよび分析機能全体に関する利害関係者が含まれます。

最も高価値のビジネス課題を評価し、優先順位を決定する。これが、データドリブンな変革の焦点であるべきです。

指針となる主要メトリクスを定義し、最大 10 種の主要業績評価指標 (KPI) を使ってビジネスの健全性を把握する。

実行

リーダーシップレベルでメトリクスをサポートするデータを引き出す。このデータは、数種の高レベルのデータソースとビジュアライゼーションで構成され、共有できる情報源となります。

過去のパフォーマンスと照らし合わせてメトリクスを分析して、過去の経営状況および将来の予測と比較したビジネスの現状を理解する。

予想されるパフォーマンスに対して定期的にメトリクスを追跡し、予想外のトレンドを迅速に特定し、ビジネス上の課題に積極的に対処する。

拡張

最も緊急かつ高い可能性を持つプロジェクトにデータリソースを再展開し、焦点を当てる。長年の取り組みが差し迫ったニーズを持ち合わせていない場合、その取り組みを中止することをためらう必要はありません。

組織の幹部レベルでメトリクスを監視するエグゼクティブスポンサーを割り当て、成功と失敗を早期に警告し、継続的に改善を図る。

組織全体で定期的にコミュニケーションを取ることでメトリクスの可視性を拡大し、経営幹部が定期的にデータの戦略的利用を促すようにする。

第 2 章:

重要な意思決定ポイントに対処するための
データソースを構築する

 

目標:

ビジネスのメトリクスがデータの取り組みの優先順位付けの指針となり、ビジネス上の最も重要な質問に取り組むために必要なデータソースを構築する。


第 3 章:

特定の使用事例で
価値を高める

 

目標:

優先的な使用事例に対する価値とエンゲージメントをすぐに創出し、ダッシュボードとデータビジュアライゼーションを通じて重要なデータインサイトを共有する。


説明:

優先分野に合わせた使用事例を作成して、データの利用を促します。これらの使用事例は、データ資産 (ビジュアライゼーション、レポート、ダッシュボード、ワークブックなど) の形式をとり、急を要するビジネスニーズに対応するのに役立つ有用性、魅力的な情報、およびインサイトを提供します。組織全体のチームは、これらの資産をそれぞれのチームのニーズに合わせて進化させ、追加のデータ資産やデータソースからメリットを得られそうな他の分野を特定できます。これらの資産が進化するにつれて、各チームがリーダーシップのメトリクスで概説されている定義を参照し直し、全員が同じ用語を使うようにします。勝利と成功のパターンを共有して、組織全体のエンゲージメントを拡大し、深める好循環を作り出せるようにしましょう。

自然な興味と信頼を生み出す Red Hat 社

Red Hat 社のエンタープライズデータおよび分析チームは、主要なパフォーマンスダッシュボードを開発し、すべての分野や部門のビジネスリーダーと緊密に連携しています。これにより、相乗効果と信頼関係が生み出され、データコミュニティが成長し、Tableau ユーザー数が 3 倍に増加しました。

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営業パイプラインダッシュボード

この サンプル営業パイプラインダッシュボードは、COVID-19 によって取引がどのように影響を受けているかを示しています。この例は、さまざまな使用事例に既存のダッシュボードを適応させる方法を示しています。



実現に向けて:

構築

各部門で専門分野のエキスパートを特定することで、迅速なフィードバックを提供でき、データチームや分析チームがデータ資産を開発するために必要なビジネスコンテキストを確保することができます。

各チームが主要なデータソースへのアクセスによりメリットを得られる使用事例を特定し、緊急対策チームが特定のニーズに対処できるようにする。

データ資産の要件を概説し、他のユーザーに関連付けるために必要な補足データを判断する。カスタマイズされたメトリクスとディメンションが、標準化された定義に分類し直せることを確認します。

実行

インタラクティブなビジュアライゼーションのような専用のデータ資産を作成し、主要なビジネスプロセスと意思決定ポイントに対応する。特定の対象ユーザーに対してアセットを調整し、親しみやすさに焦点を当てます。

重要な会議にデータ資産を取り込むことで、出席する利害関係者、エグゼクティブ、および役員に対し、浸透している見解に対してデータベースのアプローチを奨励し、エグゼクティブスポンサーを紹介する。

プログラムによる取り組みを開始し、チャンピオンを指名する。正式な会議またはチャットグループや会社のポータルのような非公式なコミュニケーションを通じてサポートとコーチングを提供します。

拡張

従業員の既存のワークフローやアプリケーションにデータ資産を組み込む。メールサブスクリプション、チャットアラートを設定する、または、CRM などのワークフローアプリケーションに埋め込むなどの方法があります。

新しいデータを検索して、より高度な使用事例向けの予測分析と処方的分析をサポートするデータソースとダッシュボードに組み込む。

データ知識の開発をサポートする。これは、定義、説明、メモ、メタデータをデータ資産に追加し、その作業途中でユーザーからのフィードバックを収集して行います。

第 4 章:

広範にわたる
データディスカバリを促進する

 

目標:

あらゆるレベルの人々が、できる限り自分自身でデータディスカバリサイクルを続ける自信と知識を持ち、データインサイトを利用してビジネス上の意思決定を推進する。


説明:

データに自信を持ったユーザーは、より複雑な疑問を持ち、新しいデータ資産を自分で作成したいと考えるようになります。つまりこのことは、データが明確に記述され、適切に管理され、アクセス可能でなければならないことを意味します。また、 データリテラシー (データの探索、理解、および操作の能力) の普及も必要となります。この段階では、基本的なデータスキルが学べるデータリテラシートレーニングプログラムが有効です。コミュニティプログラムを促進することで、質問をしたり、ベストプラクティスを共有したり、エンゲージメントを促進したりするための専用スペースが提供されます。これらのプログラムは、最初から大規模な取り組みである必要はありません。会話が既に行われている場所で行うことができ、エンゲージメントの高まりに合わせて専任のオーナー、リーダー、プロセスを割り当て、取り組みを正式化していくことができます。

コミュニティとデータリテラシーを重視する JPMorgan Chase 社

30,000 人のコミュニティ全体でエンゲージメントを深めるために、JPMorgan Chase 社は、スキルベルトを用いるゲーミフィケーション構造を使用しました。このシステムでは、経験に応じて異なるレベルのデータトレーニングを受講できます。

プレゼンテーションを聴く

実現に向けて:

構築

部門レベルの目標やイニシアティブに対するコラボレーションの優先順位を付け、組織のあらゆるレベルにおいて各個人が責任ある意思決定とデータに基づいた行動を起こすことができるようにする。

データ探索を拡大する。これは、権限の付与と制御のバランスを取るガバナンスを備える共通の BI プラットフォームを通じて、データセットと資産を利用できるようにすることで実現することができます。自然言語ツールやビジュアル分析ツールにアクセスすることで、アドホック分析を可能にします。

イノベーションとデータコンペティションのような問題解決のイニシアチブを開始し、ビジネスの仕組みに関する既存の概念を覆す新たな仮説を提案する。

実行

コンテンツを作成するのではなく、有効にすることに重点を置くために、トレーニング計画を拡大する。すべてのスキルレベルに、自信を育てデータリテラシーを構築する機会をもたらします。人々がいち早く適切にこなせるようになるために、関連する例を提供しましょう。

コミュニティ構築プログラムを実施する。これには、ランチミーティング、ユーザーグループ、またはより大きなプログラムへの出場を目指すコンペティションなどがあります。これらの機会に、質問したり、ヘルプを求めたり、データスキルを強化したりできます。

堅牢なデータリネージに投資する。これは、データの共有と信頼の構築の鍵となります。BI プラットフォームを使用して、使用率が最も高いソース内のデータ品質問題を特定し、対処します。

拡張

学んだ内容をキャプチャするメソッドとリポジトリを作成する。これには、内部ポータルや Wiki などが含まれ、従業員がこの作業ができるように時間を割り当てます。

データディスカバリの優れた方法を文書化し、成功した方法を把握して他のユーザーにインスピレーションを与える。これらの慣行を積極的に維持し、データカルチャーの発展に合わせて調整していきます。

データチャンピオンを発表し、祝い、プロモーションサイクル、キャリアアップ、リーダーシップの機会を通じて報酬を与える。データカルチャーの発展に伴い、正式なデータリーダーの役割を検討してください。

まとめ

あらゆる状況に対応する
将来性を確保した組織に

 

あらゆる状況に対応する将来性を確保した組織に

COVID-19 パンデミックは、企業文化の骨組みにデータと分析を積極的に組み込んでいるリーダーと、その実行に必要なプログラムや技術への投資をためらい遅れを取っているリーダーの間のギャップを広げつつあります。データ主導型組織は、必要に応じて方向転換し、絶えず革新に取り組み、一貫して改良を行うことで、厳しい状況下において明確な競争優位性を得ることができます。

データカルチャーの構築は、一瞬で実現できることではありません。今こそ、従業員から始めて、段階的に変更を加える時です。個人やチームがデータの利用を拡大するための基盤となる重点分野を構築しましょう。これらのステップを実行すれば、正しい方向に進み、あらゆる可能性に備えたデータカルチャーを確実に実現できます。


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*出典: IDC InfoBrief: Tableau の後援による 「データカルチャーを重視すべき理由」、2020 年 4 月

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