UX ノートブック: Tableau Prep の統合されたワークスペースを設計する

データ準備作業で「ズームイン」して細かい情報を見ることができる、Tableau Prep の新機能をご紹介します。

まず、初めての街に来たところを想像してください。最初にすることは何でしょう。 どこに向かうか決めようとして、次のような疑問を思い浮かべるのではないでしょうか。 北はどっちだろう? 最寄りのコーヒーショップはどこだろう? 近くで誰でもすることといったら何だろう?

周囲に何があるか知るために利用するものと言えば、スマートフォンのデジタルマップでしょう。いろいろなビューがあり、周辺を見渡した地図に行き先への道順を細かく示してくれます。デジタルマップではズームインして細かく見て、途中で立ち寄ってみたい場所を見つけることもできます。

では、デジタルマップのズーム機能をデータ準備に応用するとどうなるのでしょうか。私たちが Tableau Prep のワークスペースを開発した当時、次のものを使って、ユーザーの皆さんを支援したいと考えました。

  • データ準備作業の概要 (フローペイン)
  • 自動の変更履歴機能によりデータのクリーニングに要した操作をすぐに理解できる、データ全体のサマリービュー (プロファイルペイン)
  • データが細かく表示される見慣れた行レベルのビュー (データグリッド)

この 3 つのビューは連携しているので、たとえばプロファイルペインでデータ値を選択すると、データグリッドでもフィルタリングされ、同じ値を持つ行のみが表示されます。また、粒度のレベルが異なると得られるインサイトも異なるため、各ビューにはそれぞれの用途があります。これが、データ準備を視覚的に直接行える Tableau Prep 環境の基盤となる要素です。

フロー

フローペインの設計前に、私たちはインスピレーションを求めて地下鉄の路線図に注目しました。地下鉄路線図は複雑ですがわかりやすく、中でも優れたものはデフォルメされた地図を使ってグリッド上にプロットしています。私たちも、地下鉄路線図と同じように視覚的にわかりやすいフロー図を作りたいと考えました。

Tableau Prep のフローペインでは、地下鉄路線図がインスピレーションの源になりました

従来のデータ準備フローでは、すべてが個別のステップとして記録されます。そのため、非常に大きく、ステップがぎっしりと詰まった複雑な図になることがあります。しかし、フロー内でのユーザーによる操作を評価すると (多数のユーザーの方からお話を伺いました)、データへの接続、データのクリーニング、データの結合というように、連続して行われたと思われる操作が数多くありました。こうした操作はフロー内のステップとして明らかに区別できるため、操作をグループ化するための判断基準として、このインサイトを利用しました。そして、クリーニングの操作を視覚的に示すために、フローペインにアイコンを表示することにしました。これによって、データ準備フロー内の主な操作をシンプルで明確に表す大まかなマップという、私たちの求めるビジョンの効果がさらに高まっています。

Tableau Prep のフローペイン

プロファイル

プロファイルは、特定の列やフィールドで値の分布を理解するのに役立つ、非常にパワフルな情報です。Tableau Prep のプロファイルペインは、約 50 種類のプロトタイプ (コードは 5 種類) を経て、今の製品の形に落ち着きました。

プロファイルペインはシンプルな役割を持っており、フィールドにあるそれぞれの一意の値に対してレコード数を表示し、膨大な量のデータの中から外れ値を簡単に見つけられるようにします。開発プロセスの中で、私たちはその役割を明確にするために多くの質問を設定しました。データの全体像をどのように確認すればいいのだろう? 不連続データと連続データでは、それぞれに異なる表示手法を使った方が良いだろうか?

私たちが行った調査の結果、データ型とデータ量の範囲に対してプロファイルペインでサポートしなければならないタスクは、多岐にわたることがわかりました。そして、単一のビューではサポートが難しい可能性があるため、私たちはデータのコンテキストによって決まる既定の設定と、ユーザーがコントロールできる表示オプションを提供しながら、最も一般的なタスクに集中することにしました。

たとえば、ユーザーの皆さんは外れ値を見つけ、データの範囲を理解したいと希望していました。そこでプロファイルを提示して、NULL 値も含めた外れ値、正規分布から外れた値、期待から外れている特定の値が簡単に見つけられるようにしています。

フィールドでは、NULL 値の有無を判別することが欠かせないのは言うまでもありません。そのため、どのプロファイルでも一番上に NULL 値が常に表示されるようにしました。また、値をクリックすると関連する値が Tableau Prep によりハイライトされるため、たとえデータが数千行、数百万行あってもデータセットを把握することができます。たとえば、以下のスクリーンショットは、[Minimum Wage] (最低賃金) フィールドにあるすべての NULL 値のソースが簡単に特定できることを示しています。

Tableau Prep のプロファイルペインは、データの外れ値や NULL 値が簡単に見つけられるように設計されています

データグリッド

データグリッドには、データが行レベルで表示されます。データを扱う人々には非常になじみがあるレイアウトです。数多くの調査を通じてわかったのは、ユーザーはプロファイルペインで見ている情報をデータグリッドで確かめたいと考えており、完全なレコードを調べられるようになりたいと望んでいるということです。そして、プロファイルペインのハイライトやデータグリッドのフィルタリングにより 3 つのペインが連携するとき、データを見て理解できる、非常に素晴らしいユーザーエクスペリエンス (UX) が実現しました。

各要素が連携している Tableau Prep ワークスペース

データ準備作業はとても手間がかかり、複雑で、どうしたらいいかわからなくなることもあります。そして Tableau が目指しているのは、使いやすくシンプルで、美しい製品を生み出すことです。そこで、Tableau Prep でも時間と労力を十分に注いでコンセプト、操作性、そしてインターフェイスを含む全体的なユーザーエクスペリエンスを磨き上げ、さまざまなスキルレベルのユーザーに対応できるようにしました。

日々の業務で Tableau Prep をご活用いただけることを大変うれしく思います。データフローを 1 つずつ変えていくことが、やがては世界の変革につながるでしょう。