Tableau で時間、コスト、人員の削減を実現しているブルックリン公共図書館


Brooklyn Public Library sunset jeh

ブルックリン公共図書館 (BPL) システムは 250 万人以上のブルックリン市民に利用されており、数千の公共プログラム、何百万冊もの書籍、無料でインターネットにアクセスできる 1,000 台以上のコンピューターを提供しています。 図書館では、利用者に対しできるだけ効率的かつ効果的にサービスを提供し続けていくことを目指していました、CIO の Selvon Smith 氏は、システムのデータに手軽に素早くアクセスしたいと考えていましたが、外注コンサルタントと旧式のレポートソリューションを利用していた当時、その実現は不可能でした。 Smith 氏のチームは Tableau に出会ってから、従来のレポートに取って代わる以上の利点があることに気付きました。意思決定のスピードが上がり、分析力が向上し、ビジュアルを駆使した魅力的な方法で経営陣や一般市民に情報を発信できるようになったのです。

Tableau のおかげで、図書館についての情報を、以前には不可能だった方法で発信できるようになりました。 単なるエピソードではなく、データに基づいたストーリーを伝えるほうが、ここで私たちが行っている仕事の奥深さと幅広さを理解してもらう上ではるかに効果的です。

ブルックリン公共図書館は、ニューヨーク図書館やクイーンズ図書館とは別の独立したシステムです。 「私たちは、ブルックリン市民の生活に関係のあるさまざまなことを行っています」ブルックリン公共図書館の CIO、Selvon Smith 氏はこう述べています。 利用者のニーズに応えるため図書館の機能を常に改良していくことが、Smith 氏とそのチームの使命です。 しかしそのためには、利用者のさまざまなタッチポイントに関連する指標データの分析は言うまでもなく、こうしたデータへのアクセスを改善する必要がありました。 たとえば、図書館では 1 台のコンピューターと Pharos Systems の出力管理ソフトウェアアプリケーションを使用して、PC 予約や利用者延滞料処理など多数の機能を管理していました。 しかし、こうした使い方は Pharos ソフトウェアでは一般的ではなく、このアプリケーションの事前設定レポートはどれもブルックリン公共図書館の要求を満たしていませんでした。そこで代わりに、データの抽出と操作という作業をコンサルタントに外注することが必要でした。

困難だったレポート作成

「4 人のコンサルタントに、Pharos の PC と出力管理システム全体の管理と、Crystal Reports でのレポート作成を依頼していました」と当時を振り返るのは、ブルックリン公共図書館のシステム管理者、Nissa Wibecan 氏です。 この Crystal Reports でデータを分析するのは至難の業だった、と Wibecan 氏は言います。 たとえば、利用者のリソースやキオスクアクティビティに関する定期レポートを作成するのに、毎月丸 2 週間を費やしていました。 データにアクセスするのに時間も手間もかかり過ぎることから、Smith 氏のチームは、データに基づく解決が必要な問題については綿密な戦略を立てなければなりませんでした。 たとえば、ブルックリン公共図書館では、図書館資料の返却遅延や紛失、破損に対して少額の罰金を課しています。何十万人もの図書館カード所持者を対象に、毎月の罰金の発生や支払いの勘定を合わせることは、きわめて困難な作業でした。 こうしたいくつかの課題があったため、ブルックリン公共図書館は Smith 氏のチームが目指していたデータドリブンな環境とは言えませんでした。 「当時得られる回答は、レポートの作成者と、その作成者が使用したパラメーターによって異なるものになる可能性がありました。つまり、ある人からひとつの回答を得たとします。でも他の人に聞くと、別の数値を示される場合があったわけです」と Smith 氏は言います。 Wibecan 氏も、「数値は、それを生成する方法によって異なる結果になる可能性があるため、意思決定の根拠とするには信頼性が低かったのです。レポート作成は行っていたものの、必ずしも図書館事業の運営を推進するものではありませんでした」と同意します。

Tableau での作業は楽しいものです。Tableau 以外に、そんなことを言えるレポート作成ツールはありません。絶対に。

Smith 氏がすぐに気付いたのは、チームで Tableau を使うと、Pharos のデータを使用する Crystal Reports に単に取って代わる以上の効果がある、ということです。 「この製品がもたらすメリットがわかり始めました。Pharos 環境外でも Tableau なら何かができる。その点を上司に説明し、承諾を得ました」と、Smith 氏。 現在、図書館は Tableau で Microsoft SQL Server のデータウェアハウスに接続しています。このウェアハウスではさまざまなデータソースからのデータを保管しています。チームは Tableau を使用して SQL Server と Excel からのデータのブレンドも行っています。 Smith 氏のチームでは新たな目標の一環として、新しい戦略企画室を設置することになりました。それに伴い、戦略イニシアチブの推進担当リード兼プロジェクトマネージャーとして Diana Plunkett 氏を採用し、組織実績管理分析の年間契約、および財務トランザクション分析のためのサービスプロバイダー契約をそれぞれ終了し、さらに管理業務担当の職員 1 名を分析担当に異動するため研修を行いました。 図書館では現在、15 人の職員が Tableau Desktop を使用してダッシュボードを作成しています。インタラクティブなビジュアライゼーションをパブリッシュし、共有するため、Tableau Server への投資も行ってきました。Tableau Server のサブスクリプションを利用して、最新のダッシュボードをメールで直接受信している職員もいます。 一部の一般公開用データビジュアライゼーションには、Tableau Public も使用しています。

優れた意思決定の実現

チームではさまざまな種類のデータソースに注目し、図書館利用者へのサービスを改善できる機会を特定しようとしています。 たとえば、Plunkett 氏は人口統計データと熱心な利用者の図書館利用パターンを分析するため、利用率のビジュアライゼーションを作成しました。 「視覚的に説得力がありました。 一目見るだけで、利用している分館や年齢など、利用者像について多くのことを把握できるので、それを基に判断を下せるようになりました」と、Plunkett 氏は言います。 Wibecan 氏はこう述べています。「巨大な複数のスプレッドシートと大量のデータポイントが存在するので、以前は分析など到底できませんでした」 図書館の管理部門は、この情報を経営判断や開発計画の際に参考にしています。 別の例もあります。Smith 氏が月ごとの PC セッションの追跡を始めたところ、WiFi ユーザーセッションが毎月増加していることに気付きました。事実、WiFi セッションは PC ステーションの利用状況を上回っているのです。 「状況をすぐに目で見て確認できます」と語る Smith 氏。「以前は、このデータを Excel のスプレッドシートで、単なる数字の羅列として受け取っていたため、 この傾向をつかめていなかったと思います。WiFi セッションが増加していると推測はしたかもしれませんが、視覚化することで、はっきりと認識できるのです」

「結果はあとからついてくる」

「この組織に Tableau を広く導入したことでもたらされたのは、結果はあとからついてくる、という感覚でした。それは今でも続いています」Smith 氏はそう語っています。 Tableau の導入以降、図書館でいくつもの効果があがっていることに気付きました。 「図書館事業の運営のために使っている各種システムからデータを取り出すのは大変でした」と、Wibecan 氏は言います。「Tableau に移行して良かった点のひとつは、あらゆるデータを単一のソリューションにまとめて、さまざまな方法で多角的に分析できることです。それは、以前は不可能なことでした」 Plunkett 氏が「特に満足いくことのひとつ」は、他の図書館職員が Tableau を使った成功談を自分に伝えに来るとき、だそうです。 「最近、ある職員が私のところにやって来ました。その分館では世界の言語に関する書籍の貸し出し状況について把握し、それを受けて陳列方法を変更した、と教えてくれたのです」と振り返りました。

  • データドリブンな意思決定を実現。「私たちは今、カルチャーを変えているところです」」と、Smith 氏。管理職から分館の司書に至るまですべての職員が、意思決定の参考にするためデータに目を向けるようになりつつあることに、チームは満足しています。
  • 勘定照合を改善。図書館ではこの数か月、Tableau で作成する財務レポートの助けを借りて、利用者のキオスクアクティビティを細部まで照合しています。「レポートに見とれてしまいます。美しいんですよ」Wibecan 氏は言います。「自慢に思います」
  • 毎月 2 週間の作業時間を解放。Wibecan 氏が丸 2 週間を費やしていたキオスクの定期レポートの作成が、今では 1 時間以内に完了します。解放されたこの時間に、何をしているのでしょうか。

「これから調査しないといけませんね」笑いながら語る Smith 氏。データドリブンなカルチャーが新たに生まれたことで、Wibecan 氏やチームメンバーは新たなリクエストに対応できるようになり、今まで以上に忙しくなる、と指摘します。 「Nissa が以前レポート作成に費やしていた 10 日間という価値ある時間を取り戻せた、と言っていいでしょう」と、Smith 氏。 「実際 Tableau はとても柔軟性が高く、すごく簡単に、データについていくつも質問することができます。 これが重要なことなんです」と、Wibecan 氏は言います。「特定のレポートの 10 日ごとの結果が見たいと言われれば、たとえばですが、簡単に出せますよ。その方法を恒久的にレポートに取り込むこともできます。 大げさではなく、他のシステムではこれが本当に大変なのです」 Tableau ではアドホックなレポートリクエストにも素早く対応できることや、管理部門が Tableau を使用して独自に回答を得られるため時間が節約できることも、チームにとっては大きなメリットです。 Wibecan 氏と Plunkett 氏は、図書館が Tableau を導入したことで個人的に感じているもうひとつの利点があると言います。それは、日常業務に楽しさがプラスされたことです。 「Tableau での作業は楽しいものです」と、Nissa 氏が言います。「Tableau 以外に、そんなことを言えるレポート作成ツールはありません。絶対にね」 Plunkett 氏も同意見です。「みんなに言っています。Tableau で作業する必要があるとき、自分は他の仕事を全部先に片づけるようにしている、と。Tableau に取り掛かると、他のことを忘れて夢中になってしまうんですよ」